お問い合わせCONTACT
MENU

BLOG

部員ブログ

背景

2023.10.31 引退ブログ

「一縷の光」(勝又航大)

今この場で綴る言葉を、あの頃の自分はどう感じるだろうか。
ソッカー部への入部を決め、ピッチから逃げることを決めたあの頃の自分は。

初めて下田を訪れた時、目の前を歩く大きな背中に目を惹かれた。
彼らは背中に大きなUAマークを背負い、語るまでもない信頼を醸し出していた。
今になってあれが誰だったかなんてことは分からないし、どんな会話があったのか、なかったか、なんて知ろうとも思わない。
ただ、彼らはカッコ良かった。
大学生、かっこいいなあと素直に思った。

そしてもう一つ、確かな感情を得た。

彼らのようにはなれない。ならない。と。

少し時が遡りソッカー部への入部を決めた頃、私は小中高と嫌いだったながらもいつの間にか没頭して、自らのほとんどを確立していたあのピッチから逃げる選択をした。

理由は単純で、大学のレベルでプレーすることなんて到底無理だと思ったからである。(特に体力的に。)
そう、そんな単純な理由で私は戦うことを諦めた。

私は、それほどに弱い人間だった。
ただ環境を、立場を変えただけ。成功するためには賢い選択だったと捉えることも可能であろうが、私にとってはただの逃げの選択だった。

しかし、意図せぬ所からチャンスが転がってきた。
部活への仮入部2日目、玄関で監督とすれ違った際、「勝又、フットサルのゴレイロやってみない?」という言葉をいただいた。
そんな些細な一言が、この部活におけるハイライトを大きく変えることになった。

それから、先行きの分からないマネージャーとGKの両立生活が始まった。

隠すこともないので述べておくと、さすがに身体的にきつい時はあった。
早慶戦の次の日にフットサルの試合に出ることが確定した時は驚愕で寒気がした。
(健翔、早稲田の怜央君は早慶戦の日にも仕事をしてその夜にプレーをしていたが、彼らのことは尊敬を通り越して崇拝まで行くレベルである。)

でも、その時はなんだかんだいいプレーができた。

その要因であったり選手とマネージャーの両立を通して感じたことであったりは過去のブログで綴ったためこのブログでは割愛するが、きっと両立しているからこそ人よりも多くのことを体験し、感じることはできた。

特に最後の1年は多くのことを感じた1年だった。
この1年はきっと誰にとっても波瀾万丈、山あり谷あり、激動、どんな言葉を使っても表現できるような年である。
卒業ブログの4年目パートが総じて長いことにも頷ける。

その中でも特に、「4年として何を残すのか」という題には悩み続けた。

マネージャーとして、選手として、頭抜けているわけではないけど、何かを残さなければいけなかった。
口下手だし、めんどくさがりだし、後輩と関わっているとすぐふざけちゃうけど、何かを残さなければいけなかった。
当初逃げた自分だからこそ学べたことを、自分だからこそ分かるみんなの素晴らしさを、残さなければいけなかった。

きっと、そのような葛藤を経た偉大な先輩方が残してきたものによって今のソッカー部は創られてきたのだから。

亮平くん、彬くん、景くんが主務としてチームを支えながら最後まで関東を目指す姿も、グラマネ/学生コーチ/マネージャー/学連の先輩方が日々淡々とチームのために仕事をこなしていく姿も、誉貴さんと勝俣さんが怪我から復帰して早慶戦で共闘している姿も、フットサルの先輩方が全国優勝を掴み取るために足掻き続ける姿も、偉大な足跡をこの部に残していた。

そして、「何か」を残すことは、逃げてしまったのにも関わらず貴重なチャンスを頂き、かけがえのない経験をさせてもらったこの部へのせめてもの恩返しだとも思った。

そんな風にカッコつけて意気込んでいた今期だったが、この夏にマネジメントとしての緩みが出た時期と、監督に練習中の振る舞いを指摘されたことが重なった。
また逃げてしまった、と思った。

これを機に私は変わった。等と格好の付く話をかければ良かったのだが、私はそんなにできた人間ではなかった。
でもそんな私にも、一つだけ分かったことがあった。
それは、残された時間、機会は限りなく少ないということ。
即ち、残りのこの少ない期間で、何がなんでも、地べたを這いずり回ってでも、この窮地にしがみついて、「何か」を残せるような人間にならなければいけないということであった。

そこからは、そんな悩みとの共生が始まった。

一度マネージャーでMTGをしている時、自分は仕事をしている自負があると言った。
多分、あれは強がりだった。しかし、素直にその先の自分の覚悟を示した言葉でもあった。
その後、その言葉は呪縛となった。今まで以上に、誰からも見られている気がした。
でも、その言葉から逃げてはいけないと思った。

最後の山中も何とかついていこうと思った。
同期や後輩は気を遣って、なんでやってんの、やらなくていいでしょ、と何度も言ってくれた。
そんなこと、死ぬ程思った。
でも、苦しまなければいけないと思った。多分これが、最後に苦しめるチャンスだと思った。
ここで逃げていたら何も変わらないと。逃げ続けていたら何も残せないと。
(あんなに走れなかったのに生意気にすみません。香山、Win-Winだったかもしれないけどとても助けられました。ありがとう。石田さん、荒木くん、かせちゃん、本当にありがとうございました。)

山中で走った後、髙橋さんから「みんなにここで支えてもらった分、下田に帰ってみんなを支えてほしい」という旨の言葉を頂いた。
この部に入った当初の思惑とは順番が逆になってしまったけど、その言葉はスッと自分の中に入ってきた。
その瞬間、自分の中で無数の糸が繋がった。
「支える」という言葉の真意が再定義され、チームスポーツとしてのサッカーを再認識した瞬間だった。
勝手に自分だけが支えているつもりになっていたけど、いろんなとこでやっぱり自分達は「支え合って」いた。
1人じゃなんもできないなんて分かりきっていて、誰に言っても当たり前でしょって言われることだとは思う。
でもその言葉の本当の重さを、価値を、知ることができた。

それは、暗闇の中に一縷の光が射した瞬間だった。

「何か」を残そうと当てもなくただ暗闇を彷徨っている中で、とても重要なことを手にした瞬間だった。
自分が残さなければいけないものを、掴み取れた瞬間だった。

『人の瞳は、一番暗い色をしているときに光を多く集める』
自分の好きな著書にこのような言葉が綴られていた。
この期間は間違いなく暗闇で、苦しい期間だった。
でもだからこそ、些細な言葉に眩い程の美しい光を感じることができた。

暗闇のように感じられる森羅万象は所詮通過点で、過程にすぎない。

マネージャーとして自分が引退した後もこの部が回っていくような仕組みを作ること。
早慶戦を創り上げること。
偉大な先輩方から学んできた基準を伝えること。
選手としても最低限の基準を示し続けること。
運営担当の仕事を手伝うこと。
健翔、豪のサポートをすること。
コーチ陣のサポートをすること。
4年として「何か」を残すこと。

そして何より最大限、「チームを支える」こと。

全てが苦しかったわけではないし、そんな悲劇を演じられるわけではない。
しかし、大学サッカーにおける幾多の通過点を通過し終えた今、私たちはチームとして、個人として、光を掴まなければいけない時期に入っている。

チームとしては「3部初代王者」を掴み取り、個人としてはこの4年間を「いい通過点だった」と感じられるようにしなければいけない。

チームとしては、4年が掲げた「3部初代王者」という目標を達成するために全員が死に物狂いで努力をしている。
Iリーグも終わった今、全ての選手が、スタッフが、目の前の関東に勝利するために、それぞれの役割で戦っている。

私は実体験を通して、「支え合う」ことの素晴らしさを改めて実感することができた。
だからこそ、最後までその全員を支えたい。
幸いにも私は、ピッチの側でも、見えないところからでも、彼らを支えることができる。

笹が幾多の葛藤と時折の息抜きを踏まえながら奮闘している姿。
創太が想像できない程の時間と手間をかけて途轍もないクオリティのものを創り出す姿。
健翔、豪が主務副務の責任を果たしながらもピッチで躍動する姿。
石川がビビリ散らかしながらも段々と逞しくなっていった姿。
友香ちゃん、凌万、一葉が頑張って鬼丸を支えている姿。(なんか構造がおかしいような。)
鬼丸は、んー。これからも頑張れ。
早稲田のマネジメント陣が早慶戦を創り上げるために途方もない仕事をこなしていく姿。

古川が感動的なゴールでチームを勝たせる姿。
春哉が真心込めてトレバを作っている姿。
風間が苦しみながらも自分で決めた道を歩み続ける姿。
板倉がリベロばりに攻撃参加して走り続ける姿。
竹内が逞しくGK陣を引っ張る姿。
雄介が苦労も苦悩も感じさせない程の笑顔でサッカーをする姿。
蛯名が試合に出場できない中でも副将としてチームにベクトルを向け続ける姿
今西がTOPの雰囲気を醸成し、Cチームを引っ張っていく姿。
タカが刀野さんと抱きついている姿。
祖父江が足を攣りながらも関東リーグで奮闘している姿。
星夜が涙を流す程悔しがりながらも、チームのために行動する姿。
塩貝が自分なりに、自分の言葉でチームを引っ張ろうとする姿。
道家が明学戦で最後まで全てを振り絞って走り続ける姿。
歩武が葛藤を消化して感情的になる程にチームを応援している姿。
慶人が下級生をまとめ上げてリサーチを牽引する姿。
熊澤があんなに無口なのにピッチで想いを背負って戦っている姿。
天風が怪我から復帰して献と並んでいる姿。
Pが自分なりにチームを想ってくれるようになっていった姿。
直井のIリーグ最終節、結果で背中を見せている姿。
千代田が怪我に苦しみながらも同じように苦しむ選手たちの光であり続ける姿。
献があんなに挨拶では噛んでいるのに、キャプテンマークをつけて堂々と戦い続ける姿。
託見が情熱を注いで将来のソッカー部を支える選手たちを育成し続ける姿。
内野が目にも止まらぬ速さでタイピングを進め、誰にも読めない文章を送る姿。
ソヒョンが悩みながらも自分なりに考えて選手に向き合っている姿。
はなが誰よりもチームのことを、選手のことを、想っている姿。

先述した著書の中で、作者は次のように続けていた。

『美しい瞳は、暗い世界の中で懸命に光を探そうとしたときに現れるんだ。』

彼らはきっと何度も苦しみ、もがき、暗い世界の中を彷徨っていた。

でもだからこそ、その中に射す一縷の光を追う瞳は美しく、輝いている。

少し烏滸がましいかもしれないが、その一つひとつの瞬間を創り出すために、私は日々活動させてもらえている。

苦しい日々を支えてもらう中で重要な学びを得ることができ、それを還元する機会まで頂いている。

きっと、そんな幸せな環境をいただける人なんて一握りである。

 

 

 

今この場で綴る言葉を、あの頃の自分はどう感じるだろうか。

 

 

 

 

きっとそんなこと、改めて問うまでもない。

 

 

 

 


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
拙く、長い文章となってしまい、申し訳ございませんでした。

道家くんから卒業ブログのバトンを受け取りました、ソッカー部マネージャー兼GK兼その他諸々の勝又航大と申します。
色々なところに手を出しすぎて、最近は自己紹介を適切にすることを諦めました。今度健翔と肩書き数でも比べてみようかなと思います。

内野とソヒョンにこのブログが書けない故にグダグダ愚痴を吐いていたら、ガチギレされました。トラウマになりそうです。文句言ってごめんなさい。ちゃんと書きました。(平山は優しく励ましてくれました。)
そんな中書いたこのブログですが、パスカルがかつて「時間がなくて手紙が長くなってしまった」という言葉を綴った気持ちがよく分かりました。自分の文才を責めるばかりです。

バトンを渡してくれた道家くんのことは、4年目に突入した今でもよく分かりません。尚、私は今でも道家が本気で照れて目を合わせないだけだと信じています。彼は市川慶人の次くらいに特徴的な要素を持っているので。
残念ですが、詳細についてのここでの言及は控えておきます。コンプラなので、マネージャーとして綺麗に添削させていただきます。優良な紹介文としては、合宿所清掃担当として日々活動してくれていることでしょうか。彼の手にかかれば、荒れていたなんてことが分からない程、あらゆる物がきれいに整頓されてしまう。はずです。道家、最後は完璧に綺麗な合宿所を残そうな。

そしてこのブログは、市川歩武(4年・桐蔭学園中等教育学校)へとバトンを繋ぎます。

彼とはフットサルのゴレイロとして、4年間苦楽を共にしてきました。
入部当初は自分の理想との葛藤に苦しんでいたであろう彼ですが、散々に悩み抜いた彼だからこそ、彼らしい言葉で想いを綴ってくれることでしょう。
歩武が帰ってきてくれて嬉しかったよ。最後まで頑張ろう。

最後になりますが、OBの皆様、保護者の皆様、ファンの皆様、そしてふとこのブログをご覧になった皆様

今年度、ソッカー部は「3部初代王者」という目標を掲げて戦っております。そのシーズンも、残り3試合で終わりを迎えます。この1年間、4年生はこれまでの4年間、様々な葛藤を抱え、苦しみ、それでも確かに一歩ずつ、歩を進めて参りました。
ここからの残り3試合は、この1年間、ないし4年間の集大成となります。
残り3試合、どうか直接、皆様の目で、耳で、肌で、そして心で、部員たちの戦う姿を体感しにきてください。皆様の姿が、本当に部員の励みになります。
ピッチ上で戦う選手が、チームを支えるスタッフが、声を枯らして応援する部員が、目の前の勝利に向かって死に物狂いで挑んでいます。
そしてあわよくば、その彼らの姿を見て、「何か」を感じ取ってください。
自分の大きな誇りである選手、スタッフはきっとその「何か」を伝えてくれると信じています。
苦しんで、苦しんで、それでも暗闇の中で光を掴もうと挑戦し続ける彼らは、きっと皆さんの心に美しい痕跡を残してくれるのではないでしょうか。
この4年間を通して学んだ全てを懸けて、残りの3試合、全員で戦い抜きます。

日々ソッカー部の活動を支えてくださっております方々、両親、(弟)、スタッフの皆様、OBの皆様、早稲田マネジメント陣、先輩方、同期、後輩(特にGK陣/Cチーム/フットサルチーム)、この4年間を支えてくださりました全ての方々への感謝を以て、このブログの締めとさせていただきます。
直接の言葉は、これからゆっくり伝えさせていただきます。

今日この場で、この言葉を綴られたことを幸せに思います。
今後共、ソッカー部への暖かいご支援ご声援の程、よろしくお願いいたします。

11月4日(土)関東リーグ戦 第20節 vs 東京経済大学 @慶應義塾大学下田グラウンド 14:00キックオフ

WHAT'S NEW

新着情報