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2021.10.25 引退ブログ

「Be a Hero」(橋本健人)

平素より大変お世話になっております。篠原新汰からバトンを受け継ぎました、総合政策学部4年、橋本健人です。

1年生の時からTOPチームやSFCで一緒だった新汰の最初の印象は、「全知全能」でした。大学の授業スケジュールは彼に聞けば絶対に答えてくれるし、頭も良くて、TOPチームで1年生ながらCBでスタメンを張っていました。どんなミスが起ころうとも「だいじょーぶ」の一言で大丈夫な気にさせてくれました。ただ、完璧かと思われた彼も10回に2回は間違えたことを言い放つことが判明し、新汰も同じ人間だったことにホッとしています。心優しい素直な彼は、たまに他人が言った誤った情報を鵜呑みにしてしまい、それを僕達に伝えてきます。なので最近は「歩くwikipedia」と呼ばせてもらっています。

膝の怪我で苦しんだ新汰も、4年の春にTOPチームに返り咲き、ピッチ内外から僕達を支える縁の下の力持ちです。最後に一緒にピッチに立ちたいね、頑張ろう。

ソッカー部人生も終幕の時が近付いている。
我が誇りである14番の黄色いユニフォームを脱ぎ、想いを乗せて後輩達に託す。
ブログを書くにあたり、過去のサッカーノートを読み直した。
試合後の振り返りや目標設定など、思ったことをつらつらと書き留めてきたこのノートも大学4年間だけで3冊に上る。
ノートを見返すと、当時の記憶や想いが蘇る。

改めて思う。特別な4年間だった。

高いレベルの文武両道を志し、ソッカー部への入部を決意した。Bチームでの大阪遠征後、TOPチームに上がり、関東リーグ開幕戦からピッチに立った。激しい競争の中メンバーに選ばれることへの責任感と重圧を感じ、そして同期を代表する選手として、ガムシャラに戦った2018年。

翌年、初めて早慶戦に出場した。4年間で1番の転機になった試合だ。1万人の大声援の中プレーした体感、ゴール前の決定機を外した時、応援スタンドに挨拶に行った時の感情、鮮明に覚えている。あまりの悔しさと申し訳なさから人目も憚らず涙し続けた。この時、「慶應を勝たせる選手になる」と心に誓った。その後、素晴らしい瞬間を数多く経験した。佐藤海徳主将(R2卒)、八田和己副将(R2卒)を始めとする4年生に導かれるように2部優勝1部昇格、全日本大学選抜、個人賞など充実すぎる1年を過ごした。

2020年、夢へのスタートラインに立った。この時まだ大学3年生だったが、未熟な僕に可能性を見出し、オファーしてくれたレノファ山口に迷わず入団を決めた。コロナ禍の過密日程もあり、水曜日Jリーグ出場→土日に関東リーグ出場というハードだがとても贅沢な時間を過ごした。上の舞台に立ったことで、選手として何を武器にして、今何をすべきなのかが明確になった。慶應に帰れば、相手選手との違いを見せて勝つことだけを考えた。後期苦しんだが、全員で1部残留を成し遂げた。

そして2021年。
今年の春、大旗に「逃げない、背負う。」と書いた。
自分の役割、責務から逃げずに己と向き合い続ける覚悟を忘れないためだ。
どんな状況になっても逃げない、戦い続ける。理不尽なことがあろうと、上手くいかないことや怪我や不調で万全な状態ではなかったとしても、言い訳しない、常に内省し、自分を変える努力をしよう。舞台を整えてくれる人、応援してくれる人、そして1番は来年以降慶應を背負って戦う後輩のために戦おう。俺が慶應のヒーローになるんだ。
そう決意した。

「違いを見せてこい」
試合前、ハイタッチの際に友峰さんはよくこの言葉を僕に伝えてくれる。
唯一のプロ内定選手として、僕は1番慶應のソッカーを体現する選手でなければならない。1番ピッチ上で輝き、基準を示し続ける選手でなければならない。
慶應のヒーローになりたくて、ピッチの上で後輩にTOPチームの基準を示したくて、今年も変わらず慶應を勝たせるため、必死に戦ってきたつもりだった。それでも、あと一歩勝利に届かない日々が続いた。全く自分のプレーを表現出来なかった。

「俺はこんなものなのか?何が足りない?なんで勝てない?」
ノートには「?」が増え、自問自答を繰り返した。
チームの現状は自分のせいだと感じ、自信をなくした日もあった。
どうしたら成果を出せるのか。必死に同期と試行錯誤を繰り返した。
「俺はもっと出来る。俺はこんなもんじゃない。」とノートに記し自分を奮い立たせ試合に向かう日もあった。

今も状況は好転していない。僕も全く後輩達に自分のあるべき姿を見せられていない。この状況を作ったのは僕達4年生であることは疑いない事実で、この状況を最後に変えられるのも自分達しかいない。残り1週間、必ず最後まで諦めず戦い抜く。俺は絶対に諦めない、最後に意地を見せ、1部の舞台を後輩に残すため戦う。

これからのソッカー部を背負って立つ後輩達よ。
大舞台に立て。
高い山に登った人にしか見えない景色があるように、大舞台に立った者にしか味わえない瞬間がある。
今TOPチームにいなくとも、君達は決して観客ではない。ソッカー部員である4年間だけは、大舞台に立つ挑戦権がある。君が思っているより舞台への距離は遠くない。自分の可能性を信じ、誰にも負けない武器を磨け。君達のその努力が慶應の未来を創る。

そして黄色のユニフォームを着て舞台に立てたその時は、誰かのために戦える男であれ。誰かのために戦う男は強い。
昨日の早慶戦然り、君が立ったその舞台は、多くの人の努力で成り立っている。君が立つ舞台には、その人達の想いが詰まっている。その人達の想いを背負い、勝利を目指して戦うことは、TOPチームで試合に出る責務だ。立場状況に関係なく、部員全員がTOPチームの勝利を願い、サポートしてくれている。そんな幸せなことは当たり前ではない。例えどこか身体が万全でなかろうと、敗戦濃厚であろうと、舞台に立っているのなら、走れ、戦え。苦境こそ輝ける慶應のヒーローであれ。感謝の想いをピッチで表現し、勝利という結果で応えるのが、TOPチームのあるべき姿だと僕は思う。
時に「想いを背負う」ことは大きな重圧になるかもしれない。しかし、その重圧から逃げずに全力で戦い、全力で楽しみ、全力でサッカーすることが、結果プレーヤーとしての成長に繋がっている。
僕は長くTOPチームで想いを背負ってプレーしてきた自負がある。
1年生の頃、練習から慶應のために必死に取り組む先輩を退け自分がピッチに立った。
2年早慶戦、怪我で出場出来ない主将の代わりに自分がセットプレーのキッカーを務めた。
3年生、毎日慶應の練習に出る選手を差し置いて、僕は平日の練習に参加せずに関東リーグに出場したこともあった。
そして昨日、ソッカー部全員の想いがあのゴールを生んだ。本当にありがとう。
僕の成長は、想いを背負い、大舞台でそれを表現しようとし続けてきた積み重ねにある。

試合のサポートに励んでくれる学生スタッフ。毎試合緻密なデータをくれるリサーチ。声を枯らして応援歌を届けてくれる先輩後輩。いつも勝利を期待して見に来て下さるOBの方々。
想いを背負って大舞台でプレーすることは、とっても特別で、後にも先にもこの4年間だけだ。

この特別な4年間を、君はどう過ごす?
来年以降、1人でも多く、勝利へ導く「慶應のヒーロー」になってくれることを願っている。

最後にこの場をお借りして感謝を述べたいと思います。
この4年間も、多くの人の支えがあってここまでサッカーすることが出来ました。
友峰さんには、感謝の気持ちを忘れずそれを行動に移すことを常々伝えていただきました。髙橋さんには小学生の時から活躍を見守っていただき、何度もシュート練習に付き合っていただきました。大城さんには、同じ左利き、同じポジションということもあって何度もアドバイスいただきました。その他多くの社会人スタッフの皆様にこの4年間サポートいただきました。まだまだ未熟な僕ですが、お陰でサッカー大好きなサッカー少年から、礼儀礼節を重んじ、義理や感謝を忘れずにプレー出来る選手に少しだけなれたと思っています。本当にありがとうございました。

既に引退された先輩方、わがままな僕が気持ちよくプレー出来るよう支えてくれたこと、本当に感謝しています。先輩方のサポートがなければ今自分はここまで成長出来ていません。今でも連絡をくれる先輩が沢山います、いつも応援してくれてありがとう。プロになっても見ていてください。

そして同期。
今となって感じるのは、自分は助けられてばかりでした。
普段一緒にサッカーしてなくても、試合前「頼むよ」と言ってくれる同期。
「俺は絶対に折れない、だからお前らも絶対に折れるな」と熱量を上げてくれる同期。いつもベンチでも悔しい顔を一切見せずに毎日取り組む同期。怪我しても何度でも帰ってくるゾンビ。ピッチ外でわがままに応えてくれる同期。怪我でもう慶應ではプレー出来なくても、声を出して練習を盛り上げてくれる同期。響かない声を全力で出して、選手をサポートしてくれる同期。雪国出身、ツインタワー、老害三銃士、ずっと一緒の2人、変人、すぐ泣く人、暁星魂、主務、二世、ひろや。
そんな同期がいるから、僕は輝けます。ありがとう。
言葉には出さずとも、どんな状況でも自分を信じてくれていることがとても嬉しくて、それが原動力でした。残り2節、最後に笑えるように、勝って引退しよう。

毎試合見に来てはビデオを撮り、後で振り返られるように僕のプレーを抜粋して編集してくれるお父さん。サッカーを教えてくれてありがとう。
僕のためにフードアスリートマイスターを取得し、栄養に気を使ってご飯作ってくれるお母さん。支えてくれてありがとう。
昨日みたいに2人の喜んだ姿を見るのがとても嬉しくて、また頑張ろうと思わせてくれます。これからも2人を笑顔に出来るように輝きます。

僕のサッカー人生はまだまだ続きます。
引退後も、自分を支えてくれる人達、クラブのサポーター、お世話になった人、同期、そしてソッカー部の後輩の「Hero」になるため、もっと上へ、どこまでも突き進んで行きます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
次の担当は、田嶋凜太郎です。今年試合に出場する機会は少なくとも、その悔しさを顔に出さずに、常にチームのために行動する姿は印象的でした。心優しき24歳ボケたら本当につまらないですが、毎日小林誉貴のダル絡みを全部ツッコミで対応する素直な頑張り屋さんです。普段あまり心の内を見せない自称大学6年生タンクトップ男は何を語ってくれるでしょうか。「めちゃくちゃ期待しといて」と本人から言われました。楽しみです。

《NEXT GAME》

10月27日(水)関東リーグ戦 第15節 vs 駒澤大学

@非公開  17:00キックオフ

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