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2022.10.03 引退ブログ

「世界一尊敬できない私から」(伊藤真聖)

西くん、紹介ありがとう。
何気に1番長い時間を過ごしているかも知れません。2人だけの独特なノリはいつも後輩から冷たい目を感じますね。
西くんも愛想は悪いので、「気になっちゃうわ〜」と近づいてみてください。すぐ仲良くなれます。
そんな可愛い西くん、これからも宜しくお願いするます!

私がこの部活に入部した訳。それは、ただ単純なものでした。
『ましろ−サッカー=』
この答えを見つけられる自信がなかったからです。

初めてボールを蹴った瞬間。はっきり言って覚えていない。それくらい前のこと。
両親は覚えているだろうか。習い事を始めさせてもらう時、色々な教室を回った。何か1つを続けなさい、そう言われてあらゆる体験をさせてもらった。
「なんでも卒なくこなせる」でお馴染みの私だが、それは小さな頃から一線を画していた。初めてスカッシュをやらされて、「えーっと、、うんっ、この空間にずっといるのはなし!」と感じたのははっきりと覚えている。
小さな頃から目立ちたがり屋だった私は、サッカーをしている時が1番注目されているような気がした。
結局のところ、ませていたのか何なのか、ただカッコ良いという理由だけでサッカーを始めた。

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中学、高校は弱小校。SFCのサッカー部は、選手権予選も上に進めず今も苦しんでいる。悔しいが、事実である。
私が高校1年生の頃に3年生で一緒にプレーしていた、立石修也(R3卒)という先輩がいる。
先輩の引退試合に出場させて貰った私は、引退の悔しさに涙を流しすぎてコンタクトを探していた。立石修也はそんな私にニヤニヤしながら歩み寄り、「何でましろ泣いてるの?これからもサッカーできるじゃん。俺は大学で続けるから泣けないよ。」と笑っていた。
「いや、いいからコンタクト探してくれ。」とは言えずに、ただ泣くことしかできなかった。そんな男気溢れる立石修也に感化されて、俺は大学でもサッカーを続けるのだろうな、と漠然と思わされた。

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「私は尊敬される人間ではない。」

ずっとそう感じている。

人の弱みを見て、自分と比べて、安心した。
他人の努力に目を瞑り、自分には必要のないものと言い聞かせた。
嫌なものは嫌、好きなものは好き。
そんな人間を誰がリスペクトするだろうか。

純粋に何かに向き合える人間を羨む自分がいた。
本気になる自分を一歩引いて見ている自分が何処かにいた。

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「何故、この部活に入部したのか。」
先輩たちの卒業ブログでは、いつもこの問いに直面していた。
そして、今、直面した。

逃げてきたのだろう。

「ましろと言えば、サッカー」
このレッテルは自分で作り上げたもの。別に悪い気はしないが、いつもどこか悔しかった。自分に在るもの。サッカーを取り上げれば、何も残らない気がした。今まで自分が積み上げてきたレッテルを外されることに怯えて、逃げてきたのだろう。

よく思う。
現状を大きく変えて、自分のやりたいことと純粋に向き合えることがどれだけ難しいことか。
休学して自分のやりたいことをできる人。部活動をやめて、イタリアでフットサル選手として生きる人。将来を見据えて、学部変更をする人。ワイン造りに興味を持ち、辞めていった同期。
そんな確固たる自分を持つ人がとにかく羨ましかった。

私は、私からサッカーを失くした時の私と向き合いたくなかったのだろう。
私はこの4年間で何かに向き合うつもりで、ソッカー部の扉を叩いたのだと思う。

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大学2年生、Zチーム。

誰かのためにサッカーをすると言うことがこんなにも楽しいことなのか、そう初めて知った。

当たり前のように幼い頃からサッカーを続けてきた。
自分がサッカーをしたいから、自分が楽しいから、自分、自分、と自分のためにサッカーを続けてきた。

Zチームは3,4年生が中心となったチームで、1,2年は私を含めて4人。何もかもが吸収できるような環境で、サッカーはもちろんのこと、ピッチ内外で学びが多かった。特に、ピッチ外では何度も4年生にお世話になっている。それは今でも変わらない。
これからも生意気な後輩をいつでも誘ってやってください。

そんな大好きな4年生のIリーグ最終節、引退試合。
それまでのIリーグでは、運良く全ての試合でメンバー入りをすることが出来ていた。

全国の賭かった最終節、国士舘大学戦。
メンバー発表に、「伊藤」の文字は無かった。
もちろん、メンバーに外れたことへの悔しさはあった。ただ、与えられた場所・与えられた役割を全うし、全国に出るという気持ちは全くブレなかった。

だが、私に与えられた場所は無慈悲にも副審。私情を乗せて試合を観られない。気合の入った円陣に加われない。Zチームのために何もできない。積み上げてきた努力をぶつける最終節に圧倒的な疎外感を感じた。

結果は延長戦の激闘の末、2-3。敗北。
すなわち、4年生の引退である。

延長戦にもつれた瞬間、なぜか私は本部で号泣していた。分からない。やっぱり悔しかったんだな。試合出たかったんだな、試合中に号泣している審判は見たことがない。そんな姿を同期の若月輝に見られたことがもっと悔しい。

悔し涙を流せる程、俺はサッカーが好きなんだな、と思えた。
誰かのために、本気になれるんだな、と安心した。
誰かのためにサッカーをするということがこんなにも楽しいことなのか。そう初めて知った。

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大学4年生。
何かと「意地で」、「背中で」、が付き纏うようになった。自分には、その「意地」が無かったと思う。「意地」の意味を分かっていなかったからである。

Bチームキャプテン。私の最終学年に与えられたポジション。
監督には何度もお前には務まらないとご指摘をいただいた。「そんなことないですよ。僕にしかできないです!」と強く言い返せる程の自信が無かった。悔しかったが、「意地」がないことを見透かされていたのだろう。
プロIリーガーとして名高い私だが、何度もTOPへのチャンスはあった。
新人戦の時もZの時も、3年の時も。幾度となく訪れたチャンスを自分の手で握りつぶしていた。

強がるように、Bで満足したフリをした。逃げていた。どこかで関東に憧れている自分を偽り、キャプテンマークを巻いていた。

あるIリーグの試合前の円陣で三浦が口を開いた。
「俺は選手を辞めて、高校サッカーに未練を残して来た。今はコーチとしてしかサッカーに携われない。ただお前らにはまだサッカーがある。この1試合に命を懸けてきてくれ。」
こんなかっこいいこと言ってないかも。ニュアンスは合っている。その言葉に震えたのも確かである。
最後の1年くらい逃げずに向き合うか。純粋にそう思えた。

チャンスは一瞬である。チーム状況の変化でTOPに加わり、トントン拍子で関東リーグに出場できた。目まぐるしく環境が変わる。一瞬の出来事だった。出場時間はわずか20数分のこと。それは、余りにもリアルで、刺激的で、あっという間であった。
交代したのは、私の憧れである立石修也の弟、宗悟。何かの縁を感じるとか感じないとか。

こうして最終学年で初めて、訪れたチャンスを自らの手で掴むことができた。
出場の瞬間、三浦はニヤニヤしていたらしい。

まさしく、関東出場を本気で目指した「4年の意地」を見た。

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山中湖合宿。
TOPチームとして帯同した山中湖では、もちろん楽な練習など待っていない。
心の底から泣き叫びたい程しんどかった。
4時30分に目を覚まし、洗濯物に着替えて5時30分から山の起伏を駆け回る。
本当に泣きたかった。いや、泣いていた。
今すぐにでも、この山道にダイブしてズタボロになった方がましなのではないかと本気で考えた。

毎練習前にテーピングをぐるぐる巻きにして、移動中は足を引き摺って、就寝前にはGReeeeNを聴いて、合宿後に控える早慶戦を目指した。

Bチームが先に山中湖を去る時に「まし君、まじで早慶戦出てね。」と左貫が私を激励した。

Bチームにとって私はどんな存在になれているのだろう。
少なからず、早慶戦に出られたら少しは勇気付けられて、自分にもやれると感じてくれるだろうか。
三浦は、飛び跳ねて喜んでくれるだろうか。
景は、いつにも増した笑顔でグータッチをしてくれるだろうか。
坂巻は、声を枯らして応援してくれるだろうか。
西川は、私についての資料を作ってくれるだろうか。
氏家は、んー、そうだな、、特に変わらないか。

そんなことを考えながら、Bチームと同部屋だった私には広すぎる10人部屋で、1人置き去りになったGReeeeN Boyが泣いていた。

生きて新宿に着いた時、
「あっ、人ってこんなにいるんだ」
驚くほどに新宿には人がいる。息が詰まるほどの人の量だったが、その時の私には空気が美味しく感じた。

まさしく、最後の早慶戦を目指した「4年の意地」を見た。

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そんな私は今、幾度となくカテゴリー変動を繰り返し、再びBの主将としてキャプテンマークを巻いている。
自分のためでも、偽るわけでも、映えるわけでもなく、チームのために巻いている。
いつかのZチームのように、私は今のチームが大好きだ。例えベンチでも、メンバー外でも、副審でも、チームの勝利を願える。

Bは後輩育成、未来のソッカー部を創る選手を育てるカテゴリー。残りの数ヶ月の4年生のための選手枠は部にとってはもったいないかもしれない。ただ、最後までチームのために戦うからこそ、「背中」が広く見えると思う。足首が破壊されても、最後まで出場を諦めない紘平が金鶴に極意を教え込んでいるからこそ、その「背中」について行くのだと思う。そんな姿をあと少し見せていくつもりだ。

今なら、強く言い返せるだろう。「僕にしか出来ないです!」

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ソッカー部の活動は、楽しい経験ばかりではない。苦しい経験をたくさんしてたくさんして、ようやく喜べる。それくらいの頻度だった。本当に多くの挫折経験が出来たと思う。

『ましろ−サッカー=』
この答えは、まだ分からない。今ならその答えから逃げずに向き合えると思う。
ただ1つ言えることは、1人の人間のアイデンティティを構成するほどサッカーと向き合えたなら、これから先、何からも逃げ出さない気がする。

間違いなく、もう一度人生をやり直しても、またこの部に入るだろう。
そんな気がする。

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最後になりますが、この場をお借りして感謝を述べさせていただきます。

社会人コーチの皆様。
ピッチ内外での慶應生としての在り方、先輩としての在り方をご教授してくださりありがとうございました。あと少しお世話になります。どうぞ宜しく御願い致します。

後輩たちへ。
全くボケていない文章をここまで読んでくれてありがとう。

「ましろ、めちゃくちゃ逃げてるじゃん。」そう思った人も少なくないかと思います。
伝えたいのはそこです。逃げることって案外簡単だし、気が付いたら選んでいる選択肢かもしれない。俺だけか。
序列が1つ落ちた、カテゴリーが下がった、ビルドアップが下手で相手校に穴だって言われた、そんなこともあるかもしれません。4年間もあれば一喜一憂することももちろんあります。
こんな真剣に同じ志を持った人が集まれるのは最後。(引用元:Iリーグ前の三浦)
何かに真剣に取り組むことはめちゃくちゃにカッコいいことです。ソッカー部の扉を叩いたからには、この歴史ある組織を背負って欲しいと思います。
世界一尊敬できない私からのメッセージです。
だから、藤平、俺の分まであと3回!山中湖、真剣に取り組んでくれ。頼んだ。

三浦へ。
三浦には一番ピッチ内でお世話になっています。練習前、いつもメニューを聞いてごめん。試合中1番冷静さを欠いて、熱くなっている漢・三浦が好きです。全く褒めてくれないけど、横幕にはBのゴールを自慢しているのは知っています。いつもありがとう。
最後にみんなで、三浦を胴上げしよう。

同期へ。
私にとって夢の国とは、ディズニーではありません。部室です。
意味もなくお互いをけなし合い、何も生み出さない会話が1番好きです。網越しに聞こえる後輩の笑い声が心地よいです。そんな空間をあと少し作っていこう。
仲良い代だと勝手に思ってるし、みんなのこと結構好きです。また開催しようかね。

両親へ。
いつも応援してくれてありがとう。
母は私の一番のファンです。というより、フアンです。いつも試合速報は確認しており、誰も買わないであろうLINEスタンプをくれますね、あれはやめましょう。母親の誕生日にゴールを決められて、最高のフアンサービスが出来たかと思います。
父は私の二番目のフアンです。以前Iリーグを観に来ていた際、試合中に目が合い、咄嗟に電信柱に隠れていましたね。バレています。常に気にかけてくれてありがとう。あと少し頑張ります。

両親には多くのサッカーの試合に連れて行ってもらいました。車でNACK5まで向かったり、浦和レッズの旗を買わせてしまったり、大雨の日本代表の試合中カップラーメンも食べていました。高校サッカーは必ず2人でトーナメントをなぞりながら予想して観ていたね。全てが私のサッカー人生です。約18年、本当にありがとう。
何不自由のない生活を送らせてくれたことに感謝します。

もうどこかへ行くかのようなブログを書きましたが、まだ引退する気はありません。1枚でも多く、集合写真を撮れるように駆け抜けたいと思います。

明日のブログ担当は、氏家健太朗(4年・慶應義塾高)です。
私の大学生活を語るのに、氏家なしでは不可能です。何をするにも隣にいた気がします。
誰からも好かれる!わけもなく、いつもなんか、ありがとう。
普段は感情を出しませんが、裏で僕のこと褒めちぎってるらしいです。そんなところもピンクのTシャツも可愛いですよ。
うじは人生で出会った人の中で一番おもろいです。そんな人のブログですよ?間違いないですね。楽しみにしておきます。

《NEXT GAME》
10月8日(土)関東リーグ戦 第16節vs 青山学院大学 @非公開 11:00キックオフ

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