2025.11.14 引退ブログ
「渇望」(田中雄大)
平素よりお世話になっております。ブログリレーの最後を担当させていただきます、今年度主将の商学部商学科4年⽥中雄⼤と申します。
惠⾵紹介ありがとう。
概ね紹介⽂の内容は間違っていませんが、ソッカー部のみんなは丁度好きぐらいです。
惠⾵は4年間⼀緒に試合に出ることが最も多かった相棒であり、ライバルだと思っています。
また、ゼミも同じで、早慶サッカー定期戦の集客における統計的データを柊治と3⼈でこの2年間寝る間も惜しんで研究してきた同志でもあります。
これまで慶應にこんなにも頼りになる10番がいたでしょうか。私の記憶が確かなら、少なくとも昨年はいなかったように思われます。
⼀番近くで⾒てきたからこそ分かります。彼はバケモノであり、スーパーマンです。
さらに彼はこの4年間で、相⼿の⼼をしっかりと慮り、⾔葉を選び、気を遣うことを覚えました。諸先輩⽅のご指導の賜物です。同期を代表して感謝申し上げます。
そんな彼だからこそ書ける、未来のソッカー部を担う選⼿にとってバイブルとなるに違いない素晴らしいブログでした。
このハードルの⾼さとみんなからの計り知れない期待で昨⽇は⼀睡もできませんでした。
いつか2⼈で⽇本を代表するボランチコンビになろう。
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『⼀部優勝・全国制覇』
開幕前、4年の学年ミーティングで今シーズンの⽬標を定めた。関東1部リーグや全国⼤会の舞台で慶應旋⾵を巻き起こすと。
主将として、その⼤きな⽬標への挑戦を先導し、全部員で⾒たことのない景⾊を⾒に⾏くと誓った。
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開幕戦を下⽥で勝利し、1部でも⾃分たちの攻撃的なスタイルが通⽤するという⼿応えもあった。このまま駆け上がっていけると思っていた。
しかし、初戦の勝利が幻だったかのようにその後の6試合、全く勝てなかった。思い上がっていただけだった。
前期11試合を終えて2勝3分6敗の勝ち点9。最下位。
4年ぶりの1部の舞台、簡単な道のりになるはずはなく、厳しい戦いになることは分かっていたつもりだった。
それでも、思うような結果が出ないこの現実を受け⼊れられなかったし、信じたくなかった。
掴んだはずの勝ち点が最後の最後で溢れていく。勝利が遠ざかっていく。
悔しい、情けない、そして何より応援し続けてくれる部員や1部の舞台を残してくれた先輩⽅に申し訳ない。試合後に、⾃分には想像もできないような苦悩を抱える純太や⼤下が、同じピッチで戦えない悔しさを押し殺して、前向きな、次に繋がるような声をみんなに掛けてくれているのを⾒て余計に苦しかった。
沖縄遠征から本格的に始動した新チームで、妥協したことも、やるべきことを疎かにしたつもりもない。⼿を抜いている選⼿は誰1⼈としていない。どんなに勝てない期間が続いても、今週こそはと⽕曜⽇の練習から、週末の試合に本気で勝てると思って勝ちに値する最⼤限の準備をしたつもりだった。
それでも振り返るたびに後悔しか残らない。
⾃分があそこで決めていれば、パスを通していれば、ボールを奪えていればと、試合後には⾃分の圧倒的な⼒不⾜を痛感させられた。
どうすれば勝てるのか、どうすれば勝たせられるのかを考えれば考えるほどやるべきことが分からなくなっていく。まだ何も終わっていないのに、主将として毅然とした振る舞いをするべきだと分かっているのに、試合後に涙が溢れることもあった。
20年間のサッカー⼈⽣で最も敗北感のある2ヶ⽉間だったと思う。
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この絶望的な状況に希望の光が差し込む2つの試合がある。
アミノバイタルカップ明治⼤学戦。
早慶サッカー定期戦。
この試合で結果を出せなかったら、何も残らない1年間になると⾃分⾃⾝にプレッシャーをかけて臨んだ2試合。
部員全員の総和で死⼒を尽くして戦い、総理⼤⾂杯への切符と4年ぶりの早慶戦勝利を掴み取った。
AGFフィールドでの若き⾎、等々⼒競技場でのカップリフト。
全くもって⾃分の⼒で勝たせたとは⾔い難いが、その瞬間、これまでやってきたことは間違ってなかったのだと、少しだけ報われたような気がした。
朔のミラクルが、惠⾵のスーパーゴールが、純太の魂のヘディングが、真之介のいつもの形が、⻑かった暗いトンネルに光を差してくれたように感じた。
⼀⽣忘れない。夢のような瞬間だった。
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今年の夏、ソッカー部で成し遂げたかったことの1つが叶った。
1年間の浪⼈期間を経て、4年後にプロサッカー選⼿になるという夢を叶えるためにソッカー部に⼊部することを決断した。
どんな犠牲を払ってでもこの4年間で必ず達成するという強烈な覚悟で。
1年から関東リーグに出ると意気込んだが、上⼿くいかないことの⽅が多かった。開幕戦からチームの中⼼として活躍していた惠⾵に⾊んな意味で「こういう奴がプロになるんだな」と羨望の念を抱きながら、とにかく⾃分と向き合う⽇々。全ての⾏動を、プロになるために今やるべきことは何か、という太く⼤きな軸のもとで判断し、取捨選択した。夏にトップチームに上がってからは、早慶戦や後期の関東リーグに出場させていただいたが、右肩脱⾅の⼿術によってシーズンアウト。チームは3部へ降格。逆転負けで降格が決まった時のスタンドからの光景は今でも忘れない。
この時、プロになるという夢が遠ざかる感覚があったことを覚えている。
同時に、必ず4年の時に1部の舞台で戦うと⼼に決めた。慶應をあるべき場所に戻す。
1年間試合に出続けて慶應を2部昇格させることだけを考えて⽇々過ごした2年⽬。この年の健⼈の⼊部が⾃分にとって⼤きなものとなった。「これだけの能⼒を持ってここまでストイックに取り組むか」と2つ下の彼に刺激を受けた。簡単な試合は1つもなかったが、なんとかプレーオフ進出の権利を掴み、再び舞浜の地で1年での2部復帰、シーズン当初掲げていた、昇格させるという⽬標も決勝ゴールという⽬に⾒える形で達成した。
来シーズン、1部昇格とプロになるという夢、この2つを叶えるために⼤事な年になると分かっていた。明確に覚悟が決まった瞬間だった。
中町監督が就任した3年⽬。当時のグラマネとの雑談の中で希望の背番号を聞かれ、すぐに「8番」と答えた。
攻撃的なスタイルで、開幕から確かな⼿応えと思い描いていたような結果を残していき、2試合を残して1部昇格を、最終節を終えて優勝を掴み取り1年を締め括った。当時の4年⽣が素晴らしい景⾊を⾒せてくれた。素晴らしい舞台を⽤意してくれた。来年は⾃分たちの番だと。
この年、11年ぶりの総理⼤⾂杯出場、個⼈としてもベストイレブン受賞など、早慶戦での⼤敗を除いて、有意義で充実した1年を過ごした。
3部降格の時に感じた夢への距離も、そう遠くないと感じさせる1年に。夢が⽬標に変わった。
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そして今年、プロサッカー選⼿になるという⽬標を達成し、より⼤きな夢へのスタートラインに⽴った。
本当に多くの⼈に⽀えられてここまで来ることができた。⼝が裂けても⾃分ひとりで掴み取ったなんてことは⾔えない。謙遜でもなんでもない。家族はもちろん、OBや社会⼈スタッフの⽅々、同期のみんな、先輩⽅、後輩達。
⾃分に関わる全ての⽅々に⼼から感謝している。
⾃分の事のように喜んでくれる⼈を⾒て、改めて恵まれていると実感した。
だからこそ、結果で、プレーで恩返しをしたい。この想いが夏以降の⼤きな原動⼒の1つになっている。
プロの内定者として、これまで以上にチームを先導し、どんな相⼿でも⾃分が勝たせる。ソッカー部に何か少しでも残す。残さなければいけないと、⾃分に⾔い聞かせ、より⼀層のプレッシャーをかけた。
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アミノ明治戦や早慶戦で⾒たあの光景をもう⼀度。
全部員で最⾼の景⾊を、慶應に恩返しを。
総理⼤⾂杯こそは、後期こそは結果を残し、巻き返すと、ここからが慶應旋⾵だと覚悟を決めた。
⽢くはなかった。
総理⼤⾂杯、0-4の惨敗で1回戦敗退。
全国制覇の夢が呆気なく散り、リーグ戦も後期開幕から5試合勝ちなし。
早々にリーグ優勝の可能性が消え、前節でインカレ出場の可能性も消滅。
⼀部優勝・全国制覇という⽬標には全く⼿が届かなかった。
受け⼊れざるを得ない程に⼒及ばなかった。
再び⾃分の⼒不⾜を⾝にしみて感じさせられた。
何も変えられなかった。
チームの⾜を引っ張っているようにも感じる試合もあった。
何度やり直したいと思ったことか。
あそこで引き分けていたら、あれが⼊っていたら、あのミスが、あの失点がなかったら。⽬の前に転がっていた勝ち点を幾度となく掴み損ねた。
不甲斐なさから⾃分に失望しかけていた。完全に⾃信を失いかけていた。
もうダメなのかもしれない。
壮⼤なチャレンジもここまでなのか。
いや、まだ何も終わっていない。
このチームで何か成し遂げることを諦めていない。諦めたくても諦められなかった。諦められるはずがなかった。負けっぱなしの1年間を過ごすべき組織ではない。このまま終わらせて良いわけがない。
どんなに結果が出なくても、そう思わせてくれる仲間がいた。
計り知れないほどの犠牲を払って組織のためを体現してくれる紳と眞⽊。
チームが苦しい状況でも最後は必ずゴールを決めてくれる惠⾵。
⽂字通り命を削って最後まで⼀緒に戦い続けてくれる純太。
何度も練習している形で数々のチャンスを作り出す真之介。
最前線で、部室で、合宿所で誰よりも⾝体を張ってくれる宗悟。
気丈に振る舞うビッグヘッド⼤下。
必死に⼈⽣を⽣きる柳瀬。
ピッチ内の結果を常に追い求められるよう尽⼒してくれる主務・副務や運営担当、アナリスト、マネージャー。
いつまで経っても社会に出ようとしないトレーナーも。
ソッカー部は、ここには書ききれない程の素晴らしい部員の集合であると、唯⼀無⼆の組織であると最終学年にして⼀段と感じる。
部員全員で同じ船に乗って、とてつもない波にのまれそうになることも、沈みかけたことも何度もあった。
そんな状況でも、全員で同じ苦しみを共有して、踠いて、⾜掻いて、何とか堪えて前に進んでいく。
⾟くても、苦しくても、⼼が折れそうになっても、隣にいる仲間と⿎舞し合い、励まし合い、絶対に諦めてはいけない。
格好悪くても、泥⽔啜ってでも、叶えたい夢のために全員で闘う。
もしかしたら慶應ボーイには似つかわしくないのかもしれない。
そんなことは関係ない。
これが100年続く組織の在り⽅なのだ。これこそがソッカーなのだ。
⽇本体育⼤学戦、流通経済⼤学戦、⽇本⼤学戦では全部員で勝利をもぎ取った。
勝ち点3が転がってきたのではない。
全員で掴み取ったのだ。
全くもって綺麗な勝ち⽅ではなかった。⾃分たちが掲げる理想的なサッカーでもなかった。
ソッカー⼈としてのプライドを懸けて闘い抜く。ただそれだけだった。
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明⽇、最終節を迎える。
21試合を終えて5勝7分9敗の勝ち点22。10位。
現在、チームの⽬標は残留。
シーズン当初に掲げていた⼀部優勝・全国制覇という⽬標からは⼤きく下⽅修正したことになる。
勝負の世界、結果が全てだと分かっている。
どんなプロセスを辿ろうと、⽬標に到達できなかったら評価されないことも分かっている。
それでは今年、意味のない1年だったのか。
そんなことはない。
この一試合で、創部100周年を迎えるソッカー部に、素晴らしい舞台を残すことができる。
この⼀試合で、ソッカー部の未来を少しばかり明るいものにできる。
この⼀試合で、全部員のこれまで積み重ねてきた途⽅もない努⼒に僅かでも報いることができる。
そう信じている。
この4年間、有難いことに幾つものかけがえのない瞬間に出会ってきた。
明⽇の試合もその1つになるはずだ。
このままでは終われない。
何があってもこの船を沈ませるわけにはいかない。
この130⼈で何か1つでも成し遂げたい。今できる最⼤限の恩返しをしたい。あの夢の続きを⾒たい。
全てを捧げる覚悟はできている。
全員で体現しよう。
ソッカーを。勝利への渇望を。
全員で⾒に⾏こう。
あの最⾼の景⾊をもう⼀度。
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ここまで拙い⽂章にお付き合いいただきありがとうございました。
偉⼤な先輩⽅のような機知に富んだ読み応えのあるブログを⽬指しましたが、ただただ想いを書き出しただけの⽂章になってしまいました。悔しいですが、令和の⽂豪の名は宗悟にお譲りします。
この場をお借りして、お世話になった⽅々への感謝を綴らせていただきます。
社会⼈スタッフの皆様
愛に溢れたご指導ありがとうございました。
⼈として、漢として、サッカーに関わる者として、多くのことを学ばせていただきました。
どんな時も学⽣を想い、寄り添っていただいたことで⽇々成⻑できたと思います。
マチさん、いつか必ず追いつき追い越します。
テソンさん、引退後もお世話になることがあるかと思いますが、その際はお⼿柔らかにお願いします。
タチさん、太陽のような笑顔と前向きな声に何度も救われました。ゴルフに関してはいつでも指導させていただきます。
同期のみんな
まずは、ありがとう。
この代で良かったと⼼の底から思っています。
数え切れないほどのミーティングも、洪チャレンジも、左貫の⼀丁前のファシリも、五⼗嵐の「いつか」も、もう無いのかと思うと少しだけ寂しくなります。
もし浪⼈をしてなかったら、なんてことを想像するたびに背筋が凍ります。紘⽣、冗談ですよ。
今後共⻑い付き合いになると思うので、末⻑くよろしくお願いします。特に、下⽥ゴルフ倶楽部の皆様。
先輩⽅
⽣意気にも程があったと思いますが、可愛がっていただきありがとうございました。
今では草刈りや地域清掃を率先して促すような⽴場になってしまいました。これがソッカーというものなのでしょうか。
不思議なもので、「皆さんがよく4年になれば分かるよ」と仰っていたことが本当に分かってくるものですね。
先輩とのお⾷事には喜んでどこまでも⾶んでいきます。
後輩達
1年間4年⽣について来てくれてありがとう。
来年以降の⼼配を全くしていないと⾔えば嘘になりますが、期待の⽅が⼤きいことは確かです。
朔中⼼のチームになることは容易に想像できますが、⼤雅、成貴、漱介、⼩野、潤紀、梅野、⼤其、ケリー、晟那には期待せずにはいられません。もちろんみんなに期待している前提ですが。
養和の後輩達は今後の活躍を応援しています。
あと⽯⽥と⼼太あたりも頑張って。
これからご飯も連れていくのでご⼼配なく。
試合は⾏けたら⾏きます。
家族
3歳から始めた、ただのサッカー好きの少年も来年からは仕事としてプレーすることになりました。
いつまで実家暮らしが続くかは不透明ですが、これまでの恩を少しずつお返しさせて下さい。
最後になりますが、思うような結果が出ない中でも1年間ご⽀援いただきました、OBの⽅々はじめソッカー部に関わる全ての皆様、誠にありがとうございました。
今後共変わらぬご⽀援ご声援の程、よろしくお願いします。
改めまして、かけがえのない4年間をありがとうございました。
《NEXT GAME》
11月15日(土) 関東リーグ戦 最終節 vs 東京国際大学 @東京国際大学第1グラウンド 14:00キックオフ
