2025.11.05 引退ブログ
「自分のための、その先へ」(齋藤真之介)
平素より大変お世話になっております。
立石宗悟からバトンを受け継ぎました、経済学部4年の齋藤真之介です。
宗悟は、いやKyleは、1年時からTOPチームで活躍する、心金体が高次元で融合した素晴らしいFWです。プランクが苦手なことくらいしか欠点が見つかりません。
また、世界陸上の翌日にストレッチポールでデュプランティスのものまねをしてくれるなど、考え抜いたネタでみんなを笑わせてくれる太陽のような存在です。本当にいつもありがとう。
ただ、言い間違いはほとんどが故意であることと、食事の際の「それ食べきれる?」には要注意です。一口欲しがっています。純太、気を付けような。
さて、本題に入ります。父親からは指摘を受けそうな構成で、母親からは偉ぶるなと言われそうな内容ですが、下級生の頃の自分のモチベーションが上がるような文章を正直に書きました。最後までお付き合いください。
大きな分岐点になった試合がある。
0-4の惨敗を喫した昨年の早慶戦。
夜通し準備してくれたマネジメントの、悔しさを押し殺して応援してくれたプレーヤーの想いを踏みにじってしまった。
それまでの努力では、それまでの想いの強さでは、慶應を勝たせられるプレーヤーになるには到底足りないと痛感した。
「今までの2年間はBチームにいたから、応援する選手の気持ちが分かる。その想いを背負って戦いたい。」という自分の発言が恥ずかしかった。
死ぬほど悔しかったし、申し訳なかった。だからもう、絶対に負けない。慶應を勝たせられる選手になると誓った。
勝たせられる選手になるためには。苦境こそ輝ける、慶應のヒーローになるためには。それだけを考えて、生活をサッカーに捧げた。
チーム練習が終われば、気が済むまでシュートを打ち込む。午後はスプリントトレーニングをして、スピードと走力強化に取り組む。
自分の弱さと正面から向き合うのはそれまで避けてきたことで、楽しいことばかりではなかった。
それでも、サッカー人生で言われ続けた、「怖さがない」選手を脱却し、試合を決定づけられる選手になるんだと言い聞かせ、練習、そして練習以外の22時間をサッカーに費やした。
そして今シーズン。
先輩方が導いてくれた関東1部の舞台で、旋風を巻き起こす。必ず早慶戦の借りを返す。本気で全国を奪りにいく。
そのために10G10Aという数値目標を立て、関東で一番のウイングになろうともがいてきた。
しかし、目標と現状は程遠くて、リーグ戦でも苦しい状況が続いている。
それは攻守においてチームを牽引できていない4年の責任で、後悔してもしきれない場面が沢山ある。
それでも、早慶戦に勝った代という肩書きでだけでは終われない。
シーズン当初の目標とは離れたけれど、来年以降も慶應を背負って戦う後輩たちのために、必ずこの1部という舞台を残す。
そのために残り少ない期間、ソッカー部員で誰一人として疎外感を感じることなく、総力を結集して戦い抜こう。
振り返ると、ソッカー部を代表して戦えることは本当に特別だった。
早慶戦や関東リーグの舞台は、多くの人の努力や犠牲で成り立っていて、勝利を願うみんなの想いが詰まっている。
130人の部員がサッカーに純粋に向き合い、立場状況に関係なく、慶應の勝利だけを信じて応援してくれる。
試合前の挨拶時、どの顔を見ても、「こいつのために頑張ろう」と思わせてくれる同期、後輩のみんながいる。
そして、緻密なリサーチ、何一つストレスのない試合のサポート。
ここに書ききれないほど多くの貢献は全て、勝利という結果を掴み取るためのものだ。
だからこそ、その想いに報いる方法はたったひとつ。慶應を勝利に導くこと。
口先だけの、「チームのために」なんていらない。
勝たせてくれるのは、誰かじゃない。自分がチームを引っ張り、決定的な仕事をする。苦境こそ輝ける、慶應のヒーローになる。
どんなに苦しい状況だろうと、黄色のユニフォームを着ている限り、勝利だけを目指して、走り、戦う。
これこそが、ピッチに立つ者の責務だ。
大舞台を前にして、想いを背負うことから目を背けたくなることもあった。
それでも、重圧から逃げずにもがき、自分と向き合い、勝利という結果でみんなの想いに応えるために、毎日をサッカーに捧げた。
その積み重ねが、選手としても、人間としても、自分を大きく成長させてくれたと自信を持って言える。
この経験を踏まえて、後輩たちに伝えたいこと。
その努力は、「慶應を勝たせる」ことが目的になっているか?
試合に出たいな、と漠然と思うのではなく、勝利に導ける選手に必要な要素を考え抜き、自分にしかない武器を磨くこと。
自分自身を客観視し、課題を見つけ、真摯に弱さと向き合うこと。
どんなに理不尽なことがあろうと、不都合が起きようと、問題は外ではなく常に内側にある。環境のせいにすることは簡単で、弱さと向き合うことは苦しい。それでも、自らにベクトルを向け、自分自身が変わる努力をすること。
そして、慶應の黄色いユニフォームを着て舞台に立ったその時は、誰かの想いを背負って、それまでの自分自身の努力を信じて、走れ、戦え。苦境こそ輝ける、慶應のヒーローであれ。
4年前の早慶戦、土壇場でスーパーゴールを決め、誰よりも輝く左足で慶應を勝利に導いたヒーローに魅せられた。
決して上手ではなくとも、誰にも負けない走力と献身性で「慶應らしさ」を体現し続けた10番に憧れた。
自分もそんな慶應のヒーローになりたくて、大舞台で示そうとしてきたつもりだ。
下級生の間アンダーカテゴリーにいても、関東1部や早慶戦でゴールを決められるようになったんだ。誰だってできる。
だから今、どんな立場にいようと、どんな状況に置かれていようと、ソッカー部にいる4年間だけは、誰もが大舞台に立つチャンスがある。誰もが慶應を勝利に導ける可能性がある。
自分自身の可能性を強く信じ、弱さを認め、誰にも負けない武器を磨くこと。
ひとりひとりのその努力が、慶應を勝利に導くと信じている。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ブログマニアの方ならお気づきかもしれませんが、橋本健人さんのブログと表現が似てしまったのは、試合前に何度も読み込んでモチベーションを上げていたからです。申し訳ありません。
この文章が後輩の誰かに響いていれば嬉しいです。
最後にこの場を借りて、と書きたいところですが、感謝の気持ちは直接伝えるべきだという教えのもと、割愛させていただきます。
引退してから、直接感謝を伝えさせてください。
続いては、新宿生まれ、ヴェルディ育ち、インスタのフォロワー千人超えの女の子は大体友達♪でお馴染み、大下崚太です。
小学生時代からのライバルと大学でチームメイトになれたのは非常に嬉しく、頼もしい限りです。トリプレッタとヴェルディには常に勝ってきましたが。
彼から学んだことは、すね毛をバリカン2mmで剃ると程よく清潔感が出ること、今後の日本経済の見通しなどでしょうか。数年後には外資系証券会社の看板をひっさげ、外車を乗り回し、港区の夜のファシリテーターとして君臨している姿が目に浮かびます。
そんな彼も、サッカーには一途です。中学時代の日本代表主将を経て、今や関東屈指の頭脳派ポリバレントDFとして慶應のゴールに鍵をかけています。
サッカーエリートなりの苦悩、偽サイドバックへの適応、前十字靭帯断裂など、様々な試練を乗り越え、常に強くなって帰ってくる彼が最後に伝えたいこととは…
乞うご期待!
追記
軍団長、昨年の最終節前にグループLINEでおっしゃっていた言葉に何度も救われました。
回らない寿司、楽しみにしています。
《NEXT GAME》
11月8日(土)関東リーグ戦 第21節 vs 日本大学 @慶應義塾大学下田グラウンド 14:00キックオフ
