2025.11.04 引退ブログ
「両輪」(立石宗悟)
平素よりお世話になっております。法学部法律学科4年立石宗悟です。
カズ紹介ありがとう。
カズの走力、対人の強さ、そして何より奇想天外さにはいつも感動しています。奇想天外の象徴として、東洋戦で僕のクロスに、後ろのポジションにいたはずのカズがいきなり飛び込んできた時がありましたね。びっくりしました。
最近、「俺ってスーパーサブだわ」と言ったかと思えば、「いや、そんなにスーパーじゃないからただのサブだわ」と1人で突っ込んでいるほどのクレイジーなやつですが、彼の見た目からは想像できないそのギャップが、僕は大好きです。
落ち着いた雰囲気を纏いながら、話せば話すほど新たな魅力が出てくる、そんな人はそうそういません。
ただ、そんなカズとは高校時代、実は全く仲が良くなく、帰り道が一緒になっても話す話題がないのでウイイレをして時間を稼いでいたほどの関係でした。それが今では、2人で温泉に行くほどの仲になり、一緒にピッチに立ち、同じ目標に向かって戦えていることが本当に嬉しいです。
残りの試合全部勝って笑って終わろうな。
とうとう引退ブログを書くときがやってきました。
中学からの憧れの先輩である修平を筆頭に先輩達の引退ブログはどれも完成度が高く、読むたびに圧倒されてきました。
昨年から、茅野くんやこうせいくんに「来年は宗悟だけが心配だな」と散々いじられてきましたが、そんな自分も今では、部室清掃部隊・副隊長にまで昇りつめる事ができました。
その名に恥じない様、激動の4年間で感じたことを率直に綴りたいと思います。
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「早慶戦の舞台でチームを勝たせることが私の4年間の目標です」
期待を膨らませ、ソッカー部の門を叩いた私は、この言葉を入部ブログに綴った。
ソッカー部を目指す大きなきっかけとなった出来事は、高1の夏。
兄がメンバー入りした早慶戦を見に行った時のこと。
2万人近くの観客。1プレー1プレーで地響きのように湧く歓声。死に物狂いで闘う選手たち。
「ここに出たい。チームを勝たせたい」
本気でそう思った。
この日がきっかけとなり、ソッカー部の門を叩いた私だったが、入部当初は、規律ある厳格な組織に衝撃を受けた。
練習中笑うことも許されない雰囲気、粗相をした人がいれば同期全員で詰めるMTG。ピッチ外の振る舞い。高校時代まで、ピッチ内の結果しか求められない環境にいた私は、この組織でやっていけるか不安だった。
それでも少しずつ、この厳しさの裏には、本気で勝ちにこだわる姿勢があること、そしてこれは慶應にしかない良さなのだと理解するようになった。
寝る間を惜しんで試合の準備をしてくれるグラマネやマネージャーの姿。試合に出れずともチームのために声を枯らして選手を鼓舞する仲間の姿。足首の怪我を抱えながらもZOOMでTRを指導してくれるゴリラの様な肉体を持つ3つか4つ上の先輩の姿。
そんな姿を見て頑張れないわけがなかった。
100人を超える部員がそれぞれの役割を果たしチームに貢献している。慶應がスポーツ推薦のない中、関東リーグで対等に戦えているのは間違いなくこうした組織の力があるからだと思った。
「仲間のために試合に勝ちたい。出れない選手のために」
この組織の魅力に気づいていった私は、次第に仲間の為に闘う想いが芽生えていった。
しかし、その過程で
自分を見失ってしまう時期があった。
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急激に出場機会が減った3年時
当時の自分は、1、2年時に関東リーグに多く出場させていただいたこともあって、3年時には主軸として試合に出場できると思っていた。しかし、3年時、スタメンとして出場できたのはわずか5試合程度。2年連続で出ていた早慶戦にも出られず、周囲からは、昔のほうが良かったと言われる始末。中学から通う整体の先生からも、自分の体の状態をみて「サッカー辞めたの?」と聞かれるほどであった。
そんな自分の調子とは対照的に、チームは絶好調で、シーズン終盤には、2部優勝1部昇格が決まり、歓喜に包まれていた。
ただ、今年何も残せていない自分はその輪の中で心から喜ぶ事が出来なかった。
今年、自分はチームに何を還元できたのか。
1、2年で出場を重ね信頼も得られた中で、今年、組織に何も残せなかったことへの悔しさや、自分を使ってくれる監督や仲間の期待に応えられなかったことへの申し訳なさなど、シーズンを終えた率直な気持ちを中学から書いているメモに書き留めた。(この間このメモを同期に見られたのが本当に恥ずかしい)
書き終えて見返してみると、メモの内容に違和感を感じた。メモの大半は、人に対する申し訳なさばかり、周囲からの評価ばかり気にして、自分の想いを完全に見失っている事に気がついた。
そしてなにより、そんな状態でサッカーをしていた事に大きな後悔が残った。
「自分はこの部で何を成し遂げたいのか」
自分の想いを改めて、立ち止まって考えた。
そのとき、入部当初に綴った言葉を思い出した。
「早慶戦に出てチームを勝たせたい」
大下、雄大あたりからまた早慶戦馬鹿と笑われそうだが、この想いこそが自分にとって心の底から成し遂げたい大きなエンジンだった。
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4年目
この想いを取り戻してから不思議と体が軽くなった。
「チームの為に走る」だけでなく「自分の想いのために走る」という気持ちが加わったことで、心の底から力が湧いてくる感覚だった。
新シーズンはサブの立場からのスタートだったが、この身体の調子だったらスタメンを勝ち取れる、そんな自信があった。
関東リーグが開幕後、第3節からスタメンを奪取、その後は調子を維持し、スタメンとして出場し続けることができた。
迎えた早慶戦
スタメンとして出場し、チームの勝利に貢献できた。
1万人を超える観客、1プレーごとに沸く歓声、4年ぶりの勝利、優勝カップを掲げる瞬間。どれも、高校時代に夢に見た景色だった。
早慶戦でチームを勝たせること。
想うだけで胸の奥が熱くなる心の底から叶えたい夢が、苦しい時期にエンジンとなり、自分を前へと突き動かしてくれた。
そして、自分の想いを取り戻した、この年。
きつくても2度追い、3度追いをし、点を取ったら真っ先に仲間のもとに駆け寄る。手術を勧められる怪我をしてもチームの為に最後まで走り切る。
これまで以上に人のために闘う自分がいた。
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なぜ自分の想いを大切にして以降、より人のために闘えるようになったのだろう。
ソッカー部には個性も価値観も全く違う多くの仲間がいる。それでも全員が「チームの勝利」のために全く同じ方向を向いている。
自分もこの目標に自分の想いを乗せて本気で向き合えたからこそ、同じ熱量で闘う仲間の存在の大きさやありがたさを、一層感じるようになった。
きっと、その気づきがあったからこそ、自然と人のために頑張れるようになったんだと思う。
4年間振り返ると試行錯誤と葛藤の連続だった。
自分のためにとしか考えなかった1年時、人のためが強くなり自分の気持ちを見失っていた3年時、人のために加え、「自分の想い」を取り戻したことで、仲間の想いも、組織の意味もより深く理解できるようになったラストシーズン。この年が1番仲間の大切さを知れたし、プレイヤーとしてのパフォーマンスも発揮出来たと思う。
人のためを想うから、本当にきつい時でも不思議と一歩が出る、仲間のために死ぬ気で勝とうと思う。
自分のためを想うから、選手として慢心せずにいられる、何かを成し遂げた時、自分に大きな自信が持てる。
この自分のためと人のための両輪が噛み合うことでより個として強くなり、その集まりが強い組織になっていくんだと思う。
「自分のためにも、仲間のためにも、闘う」
紆余曲折があった4年間で、自分なりに辿り着いた答えです。
一見当たり前のことのように思いますが、100人を超える集団の中に毎日身を置いていると、いつの間にか自分を見失ってしまうことがあります。
一度きりの人生の中で後悔なく生きるためにも
後輩には、その時その時の自分の感情としっかり向き合いながら、4年間を過ごして欲しいと思います。
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ここから感謝パートに移りたいと思います。適宜飛ばしながら該当する部分を読んでいただけたら幸いです。
中町監督
2年間サッカーの専門的な技術から人としてまでご指導をしていただき、本当にありがとうございました。
多くは語らないからこそ、中町さんの言葉には一つひとつ重みがありました。
ブログでは、早慶戦の想いが原動力と書きましたが、中町さんに信頼され、使ってもらうことも僕の一つの原動力でした。
中町さんのもとでサッカーができて本当に幸せでした。
淺海前監督
今の私があるのは紛れもなく友峰さんのおかげです。リサーチミーティングで毎回友峰さんが当てて聞いてくるものをほとんど答える事が出来ずご迷惑をおかけしたと思いますが、シーズンを通して多く起用していただき、ありがとうございました。
父
どんなに小さな成果でも、盛大に祝ってくれてありがとう。
試合では、マネージャーが写真を撮っているから撮らなくて良いよと毎回伝えているのに、自分のスマホで一生懸命アップして僕を撮ってくれる。
家に帰ると、ほとんどボヤけた写真を嬉しそうに見せてくるその時間が、実は結構好きでした。
母
毎回、何が入っているのか分からないけれど、とにかく身体に良いご飯を作ってくれてありがとう。
3兄弟がサッカーをしている母とは思えないほどサッカーには無頓着ですが、逆にそのくらいが、僕にとってはとても楽でした。
2ヶ月程前、「サッカーは1チーム何人で試合をする?」という質問に、自信満々で「15人!」と答えていた時はさすがに驚きましたが。
雄大ママ
ゆうたの迎えなのに、ほぼ毎回僕も乗せてくれて家まで送っていただき、本当にありがとうございました。まだクリスピークリームドーナツしかお渡しできていないので、ゆうたが怪我したら埼玉の鍼治療案内します!
先輩方
こうへい君や笹君、喝を入れ続けてくれた茅野くんをはじめ、素晴らしい先輩方と出会えて本当に幸せでした。最高学年になった今、先輩達が本当に恋しいです。
同期
4年間、喜怒哀楽を共にした最高の同期でした。
試合中鼓舞し続けてくれる純太、得点者より大きいリアクションをするこうだい、毎日帰るのを待ってくれる惠風などが見れなくなると思うと本当に悲しいです。
あとふみや、早く復帰して一緒に試合出よう。
後輩へ
どんなにカッコ悪く、泥臭くても良いので、慶應の勝利のために死ぬ気で闘ってください。
心太や朝井、貝田、蟹、よしきなど
みんな後輩力があって可愛かったです。
11番は僕の大好きなプレースタイルの梅野に託したいなと思います。
あと、斡汰をはじめ、桐蔭勢、期待してます。
塩貝軍団
清水と2人で塩貝さんの事を師匠と呼び始めた事から始まり、気付けば今、信じられない数の優秀な人材が入ってきましたね。この軍団の初期メンバーである事を心から誇りに思います。
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さて、次のブログは、齋藤真之介です。
彼のキレのあるドリブル、決定力、走力は、どれを取っても関東屈指だと思います。関東リーグの得点ランキング・アシストランキングでは、現時点でいずれも5位前後につけており、慶應の攻撃を支えているのは間違いなく彼です。
本人には言っていませんが、毎試合彼と一緒にピッチに立ち、点を競い合えていることを本当に幸せに感じています。
ピッチ外では、彼は一切運転せず、いつも誰かの車に乗せてもらっていますが、彼の誰に対しても態度を変えず、隔たりなく真っすぐに接する姿勢が僕は大好きです。どんな時でも自然体でいられる彼の存在が、チームの雰囲気を明るくしてくれていると思います。
プライベートが謎に包まれている彼ですが、ブログではきっと赤裸々に語ってくれることでしょう!
《NEXT GAME》
11月8日(土)関東リーグ戦 第21節 vs 日本大学 @慶應義塾大学下田グラウンド 14:00キックオフ
