2024.11.12 引退ブログ
「原動力」(茅野優希)
平素よりお世話になっております。
法学部政治学科4年の茅野優希と申します。
凌万、紹介ありがとう。
下級生の頃、堀溝と先陣を切ってモブキャラだった自覚があります。でも今は2人揃って脱却できてたら嬉しいです。ね、堀溝君。
冗談はさておき、凌万のブログ最高でした。ブログタイトルを実現することができず申し訳ない。
凌万に主将・副将決めで自分の脱・モブキャラ施策(本ブログの内容)を評価して副将に推薦してもらった時、本当に嬉しかった。内に秘めるアツい気持ちで学年を支え、批判的な視点と鋭い意見で思考が脳筋すぎる自分を何度も制御してくれました。ありがとう。
グラマネ決めの時に凌万に伝えたこと、必ず実現してみせます。
最後まで一緒に最高のチームを創ろう。
遂に19年間続けてきたサッカー人生も残り4日となりました。
今感じる率直な想いをこの引退ブログで述べさせていただきたいと思います。
—————————————————————————————
ソッカー部人生も終幕が近づいてきている。
高校時代から7年間通い続けた下田グラウンドで練習して、黄色のユニフォームを着て、荒鷲のエンブレムを背負って戦うことができる試合も残り1試合となった。
最近、最後の〇〇が同期とのトークテーマになることが多く、先日の早慶戦で「最後の下田での公式戦」を終えた。そういった近況もあり、最近はこの4年間、19年間のサッカー人生を振り返ることが多い。
改めて思う。この4年間ほど特別で濃い時間はない。
—————————————————————————————
ソッカー部での4年間はある軸で2つに分けることができる。
その軸とは「自らの原動力に仲間への想いがあるか否か」ということ。
1万人を超える観客が入った等々力の早慶戦で活躍していた塾高出身の酒井さん(R4卒)の姿に憧れ、ソッカー部に入部した。当時の自分は、スタメンになること、活躍することが全て、そういった価値観を持っていた。
それが故に入学前の2月から、当時Bチーム監督の福本さんに「自分に何が足りないのか」「どうしたらTOPに上がれるのか」を毎日のように聞き込み、入江とオフに下田に来て自主練習に明け暮れる日々を過ごした。
6月に関東リーグデビューを果たすが、その後は実力不足でTOPとBチームを曜日ごとに行き来する日々。選手として大きく成長できたが、同時に大学サッカーの厳しさを知った1年だった。
翌年、TOPに定着。第2節には関東スタメンデビューと初ゴール、初アシストを記録。淺海前監督から大フリックを授かり、出場機会を継続して得た。しかし、このスタメンとして出場できた充実感がさらに自分の間違った “エゴ”を表面化させた。「自分が活躍して勝たせる」ことに執着して、とにかく自分がスタメンになる、得点する、アシストすることしか頭になかった。だが、リーグ戦の中盤以降、結果を出せず、チームの不調に連動してベンチの数が増え、出場しても全く活躍できなかった。怪我人の関係でスタメン出場した最終節アウェイの日本体育大学戦では、勝ち点1でも取れば残留だった状況で個人として何もできずに敗北。チームは入れ替え戦に進んだ。そして、入れ替え戦ではついにベンチ外となり、浦安の地で応援席から3部降格を見届けた。
あまりに情けなく、惨めで、申し訳ない気持ちで溢れた。
前述したようにこの2年間における自身の原動力は、
「自分が活躍できるか」「自分がチームを勝たせるかどうか」といった原動力の主語が常に”自分”であり、自分のためにしかサッカーをしていなかった。
2023年。このシーズンが間違いなくターニングポイントだった。
例の如く、入れ替え戦の悔しさを踏まえ、「自分が活躍してチームを2部に戻す」という”自分”が主語の状態で代替わりの時期を過ごしていた。しかし、4年生が卒部して主力になると思いきや、立ち位置は圧倒的な戦力外。ポジション内では5番手が定位置。自らが描いた理想と現実が大きく乖離し、情けなく不甲斐ない時期を過ごしていた。そのような状況の中、自分の価値観をを変えるきっかけとなる言葉を淺海前監督に面談でいただいた。
「仲間をどのように活かし、仲間にどのように活かされるか考えてみろ」
人によってはごく当たり前のようなことにも聞こえるだろう。しかし、当時の自分にとっては、新鮮だった。
この言葉を聞き、大学2年次に関東リーグで残した結果は全て仲間をうまく活かすプレーを繰り返し、最後の局面では仲間に活かしてもらって獲得したゴールやアシストだったと気づいた。身長163cmという関東リーグ屈指の低身長に加え、塩貝健人のようなスピードも圧倒的な得点力もない。そんな選手が自分が活躍することばかり考えてプレーして、自分1人の力だけで活躍できるわけがなかった。
そこでまず、とにかく仲間のために行動することを心がけた。聖人・内藤豪をメンターにして、不適切なエゴを捨てるメンタルトレーニングも積み重ねた。他にも、毎日合宿所の玄関掃除に加え、仲間への感謝weekを設定して感謝をいつも以上に伝えたり、ボールを受けるたび「こんな俺にボールを出してくれてありがとう」と言ってみたり。とにかく形からでもなんでも仲間のために行動することで、主語を “自分” から”仲間”に変えることを試みた。
すると不思議な変化が自分に起きた。
仲間のことを考えて行動することが習慣化すると、以前よりも視野が広がった。
一緒に出ている選手の試合中の表情や要求の声をキャッチして、互いの長所を活かすプレーができるようになった。生活の全てをソッカー部に捧げるグラマネの貢献、TOPのために分析業務をやってくれるリサーチや応援に回ってくれる選手、マネージャーやトレーナーの支えが見えるようになった。これらの変化を通じて、自分がサッカーを不自由なく毎日できている状況に、自然と仲間への感謝の気持ちを抱くようになった。そしてそのような仲間の想いに応えられる選手になりたいと心から思うようになった。
22試合のリーグ戦でスタメンで出た回数は0。それでも監督から要求された後半からゲームを変える役割を研究したり、ブロック崩し隊隊長として得点数を増やす方法を本気で考えたりと、 “仲間のために”自分ができることを探し続けた。
この行動が初めて結果として出たのは、後期の平成国際大学戦。後半からゲームの流れを変える役割を任され、とにかくシンプルなプレーで仲間を活かし続けた。その連携の中で自分が獲得した後半ロスタイムのPK。自ら決め切り、逆転勝利に導き試合後に「若き血」を歌った時、自分が活躍できたことなんかよりも、仲間が喜んでくれている姿に心を動かされた自分がいた。
だが実際はシーズンを通じてスタメンで出られないことはものすごく悔しかった。
しかし、同時に大学2年生までの価値観から卒業した新しい自分と出会った充実感も感じていた。
そして迎えた因縁の地、浦安での青山学院大学との入れ替え戦。2023年の最後の公式戦にしてシーズン初のスタメンとして出場し、塩貝さん(R6卒)の最高級のパスをシュートが強みでない自分が打つのではなく、強烈なショット(シュート)が武器の田中雄大プロにスルーして決勝点をお膳立てし、昇格に貢献できた。たかがスルーしただけだが、まさに2023年の自分の取り組みを象徴するようなゴールだった。
この日、人生で初めて嬉し泣きをした。
自分のためだけにプレーしてきたサッカー人生では感じられない感覚だった。
価値観の変化を通じて仲間の想いや努力を知り、それを背負って戦える選手になった感覚。
そのような想いが原動力に加わったからこそ感じられた喜び。
仲間のために戦うことの誇らしさ。
これらを知った2023年は自分の価値観を大きく変えてくれた。
—————————————————————————————
そして迎えた4年目。
有難いことに、自身の価値観の変化に伴う行動を評価してもらい、副将を務めることになった。組織を背負い、責任を果たす覚悟を決め、「2部優勝・1部昇格」を達成するために考え得る仲間のため、組織のためになる行動を1年間全て行動してきた。
ピッチ上の誰よりも泥臭く戦う。チームを勝たせる責任を果たすべく、攻撃ではゴール前に走り込んで、守備では自陣まで戻って相手のチャンスを潰す。
とにかく90分間、仲間の良さを活かすためにハードワークする。そして自分の価値を発揮できるエリアでは自分を活かしてもらう。
自身の原動力に仲間への想いが加わった今、自分のためにしかプレーしてなかった時と比べて数十倍、数百倍の力を発揮できる。仲間への感謝が自分を謙虚に、仲間の応援が自分をハングリーにしてくれる。
ソッカー部には、大きな決断を経て組織に全てを捧げるグラマネがいる。
チームを勝たせるために本気で努力を重ねる仲間がいる。
悔しさを押し殺して全力で声を枯らして応援してくれる選手がいる。
選手を支えてくれるマネージャーやトレーナーがいる。
最高級の練習を提供してくださる社会人スタッフの方々、毎週応援してくださるOB・OGの方々がいる。
組織に関わる全員が人生を賭けて創り上げるソッカー部でプレーできた4年間は、19年間のサッカー人生の中でも間違いなく特別だった。
関東リーグ残り1試合。奇しくも2年前と同じアウェイで相手は日本体育大学。
神奈川大学に敗北し前節での優勝を逃したが、全く下を向く必要はない。
今週末勝利すれば自分たちの手で優勝を掴み取れる。もはやこの状況に運命すら感じる。
まずはピッチに立つ権利を得るために、今週も謙虚にハングリーに自らの価値をアピールする。
そしてどのような立場であれ、19年間のサッカー人生の全てをかけて日本体育大学を倒す。
2年前のリベンジを果たすべく、ソッカー部のプライドを賭けて戦う。
後輩たちに最高の幕切れで、最高の舞台を残すために戦う。
ソッカー部に関わる全ての仲間のために戦う。
後輩達、最後まで4年を信じてついて来てくれ。
いつも通り一緒に最高の練習を全員で創り上げて、チャンピオンに相応しい最高の準備をしよう。必ずこの1週間の行動が今週末の結果に繋がり、来年に繋がる。
同期のみんな、4年の意地を示そう。
俺ららしく最後まで泥臭くもがき続けよう。
そして最後に全員で笑って卒部しよう。
—————————————————————————————
最後にこの場をお借りして感謝を述べたいと思います。
社会人スタッフの方々
たくさんの愛のあるいじりがきつい時を乗り越える支えとなっていました。
未熟な自分を見捨てずに4年間ご指導をいただきありがとうございました。
中町監督、サッカー選手として大きく成長させていただきました。監督からの一つひとつの言葉が励みになり、自信になりました。まさに自分にとってのカリスマ的存在です。サッカー人生最後の年に中町監督のチームでプレーできて、本当に光栄でした。最高級のご指導をありがとうございました。
淺海前監督、3年間愛のあるご指導をありがとうございました。高校生の頃から気にかけてくださり、選手としても人としても大きく成長させていただきました。迷惑だとは思いますが勝手に恩師だと思っております。
早慶戦のエスコートキッズでご子息と入場できたことについてはご縁を感じましたが、息子さんを最後まで笑顔にすることができず申し訳ございませんでした。1年の頃の辻堂砂浜ラン後にいただいたガツンとみかんとボーナスのフルーツバーの味は一生忘れません。
先輩方
本当に先輩方あっての今の自分だと思っています。いただいた手紙、定期的なご飯、試合後のお祝いの連絡など、広い心で引退してもなお気にかけてくださりありがとうございました。
ぜひ、皆さんが引退された後のことをお話させてください。
後輩達
この1年間厳しい要求にめげずに一緒に組織を創り上げてくれてありがとう。
お世辞ではなく、みんなの成長が誇らしいです。
3年生、宗悟のことだけが心配です。優しくしてあげてください。
2年生、朔のことだけが心配です。厳しくしてあげてください。
1年生、空閑のことだけが心配です。休ませてあげてください。
冗談はさておき、とにかく今を大切に謙虚にハングリーに過ごしてください。
決してこの引退ブログにおいて、自分のためにプレーすることが悪いと伝えたいわけではないです。だが、仲間のためにプレーできる選手に勝てないことは自らの経験から断言できます。主体的に組織を、仲間を知ろうと行動した先に素晴らしい景色があることを自分が保証します。田中、惠風、大下あたりから良い変化が起きてます。いい感じです。
1部の舞台でみんなが輝く姿、楽しみにしています。
同期
俺に副将を任せてくれてありがとう。
あまりにパッションすぎて、発言や行動が至らなかったところをカバーしてくれてありがとう。
絋生、尊敬しています。お互いの良さが+に出る、いいコンビだったかなとちょっと思ったりします。1回くらいキャプテンマーク任せてくれてもよかったけどね。
一葉と凌万、大きな決断をして俺たちを支えてくれてありがとう。2人がいたからここまで折れずにやってこれたと思います。最後まで一緒に駆け抜けよう。
みんなへの感謝は引退後の所飲みでしっかりと伝えます。
4年間ありがとう。優勝して全員で一葉と凌万を胴上げしよう。
家族
父へ、サッカーを叩き込んでくれてありがとう。趣味が似てきているのは血を感じます。試合後のコメント、たまには嬉しかったです。
母へ、息子ながらこれほど子供思いな母親はいないと思います。母のおかげでこれまでの人生一つも悔いなく生きてこられました。自分の決断を誰よりも尊重して、何よりも子供を優先して、支えてくれてありがとう。
妹へ、多くのことを我慢してサッカーを応援してくれてありがとう。自分自身を信じて、己の道を切り開いてください。社会人になったら流石に兄らしいことをします。
そして直希へ、後輩で一番期待しています。誰よりも努力家でサッカーが好きなことを知っています。
今シーズンは特に精神的にも肉体的にもキツかったと思います。努力が報われなくても、誰よりも貪欲に上を向いてもがき続けている姿を見て、同期から直希が良いと聞いて、本当に誇らしかったです。俺が尊敬している人が言ってた「努力は報われるとは思わないけど、努力は裏切らない」という俺が好きな言葉を授けます。変わらずに自分を信じて、直向きに努力し続けてください。
そしていつか10番をつけて活躍する日を楽しみにしています。29番でもいいけどね。
—————————————————————————————
ソッカー部に入った決断、この4年間、全く悔いがありません。
プライベートも含め最高の4年間を共に作り上げてくれた方々、本当にありがとうございました。みんなへのメッセージを簡潔な言葉でまとめることができないので、ぜひ引退後たくさん遊びましょう。「日夜しか無理だ」はもう言いません。
あらためて、この4年間も含め19年間のサッカー人生に関わってくださった全ての方々、本当にありがとうございました。
さて、次の担当は柳町一葉(4年・慶應義塾志木高)です。
共に練習試合デビューを果たした日から、とうとう部員ブログのバトンを渡す日が来るなんて感慨深いです。この1年は特に一緒に長い時間を過ごして、組織を良くするには、優勝するにはどうしたらいいか、一緒に考え続けました。一葉の性格、最高です。コンプラオフサイドの常連ですが、その根底にある優しさとのギャップがなかなかgoodです。ソッカー部の仲間もジモティーも家族も(?)大切にしています。誰よりも仲間を想い、向き合い、組織を支え続けてきた一葉のブログ、楽しみです。きっと俺のことも紹介で褒めちぎってくれるでしょう。
アツいメッセージ、頼んだよ。
《NEXT GAME》
11月16日(土)関東リーグ戦 最終節 vs日本体育大学 @日本体育大学横浜・健志台キャンパスグラウンド 14:00キックオフ