2024.10.29 引退ブログ
「幸福論」(堀溝大貴)
平素より大変お世話になっております。
総合政策学部4年プレーヤーの堀溝大貴と申します。
入江、紹介ありがとう。
彼は恵まれた体格と流石に恵まれなさすぎた足元が武器のプレーヤーで、最近までサッカーは頭でプレーするものだと思っていたそうです。
度重なる自己分析の結果、精神が崩壊してしまい、彼の目の前でボールを転がすと奇声を上げてしまいます。自我を喪失し彼は変わってしまいました。
1年の頃は「俺、最強だから。」が口癖で練習にもジムにも熱心に励む姿をよく見かけ、ソッカー部モラルと副将と恋愛常識がインストール前の茅野(旧)に対して厳しい要求をしている彼に大きな感銘を受けました。最近はアップデートされた茅野(新)から入江に対しての要求が増えたように感じます。いい関係性ですね。
最後に、彼は今まで会ってきた人の中で格段に良い奴です。
遂に自分にも引退ブログを書く出番が来てしまいました。曲がりなりにも17年間続けてきた競技サッカーを来月引退すると思うと流石に色々な感情が込み上げてきます。
内容は迷いましたが、この4年間を通じて得たもの、気づいた事を述べさせていただきます。
—————————————————————————————
4年間をどう生きてきたかによってこの組織への捉え方は違うように思う。
自ら考え主体的に行動し組織に向き合い続けてきた者。ただ受動的に行動し、目の前の事象に一喜一憂し、ベクトルを外に向け逃げ続けてきた者。前者にとってこの組織は主体的にチームを動かし、自身の努力が報われる、4年間を捧げるに値する部活であると思う。
一方、後者にとってこの組織は人の粗探しや落ち度を見つけ、互いに監視し合い共通の敵を作りだし攻撃する組織に見えるように感じる。
自分は間違いなく後者に属する人間であった。他人に興味を持つ事を要求される部活。興味がない人にとっては半強制的に興味を持たされていると錯覚するほど隣の部員に対してアプローチする事を求められる。
この組織は自分には絶望的に合わなかった。死ぬほど怒られた。自分は自分、他人は他人でしょという感覚で生きてきたからかもしれない。今も正直、部活に適合できているか分からなくなる時がある。
昔から何も考えてこなかった。人生の岐路に立った経験が人より少ないのも理由の1つかもしれない。思い返せば、ソッカー部に絶対入らなきゃいけないわけではなかったが、ソッカー部に入る以外の選択肢は分からなかった。
他に選択肢を広げて考えれば現実を見て怖くなる。一応今までサッカーを続けてきたわけだし、1つの事に熱中できる人を横目に羨ましがるのではなく、誰かといるところで気を紛らわせば幾分か楽になると思った。
そんなこんなで部活を続けてきたが、3年の初め、部活を辞めようと思った。
膨大なMTGの量に疲弊したのもあるが、グラマネに投票するだけの努力も貢献もしていない自分が組織にいる意味はないなとMTGを通じて感じるようになったからだ。今までの部活を辞めたい動機とはわけが違った。
周りには留学したり、起業したり、自分のやりたい事を突き詰めてやっている人達がいる。ありきたりだけど周りの生活が羨ましく思えた。人生の選択はトレードオフだと改めて気付く。みんな自分の人生を生きていた。今までの視野が狭い自分が更に狭まっていく感覚がした。久しぶりに会った友達からは、絶対サークル向きの性格でしょ、なんで部活やってんのとも言われた。何も否定できなかった。
辞めようと思って、宮川さんと親友に話をした。
宮川さんに人生には優先順位を付けるべきであって、この部活でやり残した事がないのなら辞めてもいいと思うと言われた。一方で組織に合わないから辞めるのは勿体無い、その状況からもがいて何か見出すのも面白いとも言われた。
親友からは自分で選んで1度立った土俵から降りるのは漢としてダサいと言われた。選択をする前にしっかりと考えて戦う土俵を決める。決めたらあとは逃げない。逃げるのは漢じゃない。思考停止の人生を歩んできた自分にとって自らの意思で人生を生きる彼らの言葉は深く胸に突き刺さった。
1週間ほど自身に向き合う期間を作った。辞めたいと言う心の奥底の自分にはまだ早慶戦というやり残した目標があった。
もう逃げないと覚悟が決まった。
その後の夏、早慶戦を目指して頑張ったがメンバーには入れなかった。
だが4年の8月に憧れの早慶戦、しかも国立競技場の舞台に立つ事ができた。まだ部活は終わっていないが、続けて良かったと思える瞬間であった。
また、関東リーグという120人の仲間が応援してくれる試合に立って戦う経験も得られた。
さっきトレードオフと書いたが、間違いなく他の選択肢を選んでいたら経験できないものであったと思う。
藤井壮が引退寸前の怪我に苦しみながらもそれを乗り越えてCKからゴールをぶち込み、TOPに戻ってきた。鬼丸がB1で自身の感情と歯を剥き出しにして、オールマイトになってB1残留に導いた。茅野と紘生が自分の時間を削ってまでBの練習を盛り上げてくれている。友香が国立の舞台を懸命に作り上げてくれた。豪や慈英が裏方の仕事をこなしながら必死に俺の10分ジョグについてきてくれる。千葉が悔しさを押し殺して誰よりも応援している。
こんな同期の心動かされる姿もソッカー部でしか体験できないものであった。
みんな自分のサッカー人生に向き合い、戦い続けている。逃げずに与えられた立場で懸命に努力するからこそ感動することが多かった。
自分の人生なんだから自分で責任を持つ。当たり前だけどいつの間にか欠けている事が多い気がする。ソッカー部に入ってただ終わりなのか。チームを勝たせなきゃ、TOPじゃなきゃ意味ないなと感じる。自身の結果がどうであれやり切るしかない。中途半端に遊んで中途半端にサッカーしても何も残らない。気付くのに3年かかった。途中でやりたくないと気付いても、自分で選んだんだからやり切る以外ない。メンバー外で愚痴を吐いて自分を慰めるのではなく、試合に出て勝って勝利の喜びと疲れに包まれて眠りにつきたい。
2年生の時、同じカテゴリーでサッカーを続けてきたやつがグラマネになった。初めてこんなに心が動かされた。そいつが毎週励ましてくれる。本気で自分の一発にかけてくれている。こんなに嬉しいことはない。何としてでも応えるしかない。周りが無理だって言ってもやるしかない。小学校の頃ずっと仲良かったやつがずっとチームを救っている。直接言うのは照れくさいけど、もっと一緒に試合に出たい。昔みたいに勝利をピッチで分かち合いたい。この前、恩師に早慶戦見たよと言われた。その後授業で自分の話をしてくれたらしい。驚きだった。なかなか活躍できなくてもその姿を見届けてくれる方がいる。必死にもがいて何かを得ようとし続けなくちゃ4年間何も残らない。
この組織の一つひとつの思想に全て賛同しているかと言われたらそうでもない。だけどこのチームで優勝したい、この学年で何かを成し遂げたいという気持ちが根本にあるからこそ、自分に与えられた役割、見つけ出した役割を遂行できる。
自分がどんな立場でも勝利に少しでも繋がるなら全力で残りを駆け抜けたい。
何度も折れそうになりながらも、もがいて必死に積み重ねてきたサッカー人生。
最後はみんなでタイトルを勝ち取って悔いなく終われるように。生意気だけど最高な後輩たちが来年1部で彼らの価値を証明できるように。
やっと分かった。
4年間を過ごし、互いに関心を持ち、些細な事から相談し助け合っていく、そのプロセスを通じてチームに一体感が生まれ、組織として強くなる。そしてその経験を通じて成長していく。だからソッカー部に入って良かったとみんなが言うのだろう。心からソッカー部に入って良かったと言える。幸せな4年間であった。
—————————————————————————————
ソッカー部社会人スタッフの方々
まずは4年間、ご迷惑をおかけする時期の方が長かったと思いますがこれまで熱心に指導していただき本当にありがとうございました。精神的にも時間的にもこんな濃密な4年間を過ごす事ができたのは社会人の方々のお力添えあっての事です。
淺海監督には3年間守備やチームの規律面の指導で大変お世話になりました。
チームを救う一発を持っている選手という評価をいただいておりましたが、3年間で期待に応える事が出来なかったのが唯一の心残りです。
そして中町監督の元で1年間サッカーができた事が1番幸せでした。間違いなくこの1年がサッカー選手として1番成長できました。男としてもサッカー選手としても一流な方と1年間過ごす事ができて嬉しかったです。ただ自分がミスをすると父親を引き合いに出してイジってくるのはやめていただきたいです。
宮川さん本当にありがとうございました。辛い時や将来に迷った時など様々な場面で助けていただき誠にありがとうございました。宮川さんがいなければ間違いなくソッカー部は続けていられなかったと思います。
同期へ
初め、塾高出身はみんなイケてる集団でウェイウェイしてるのかなと恐怖で一杯でしたが、早々に入江の髪型と茅野のやかましさを見てこれなら安心だ、とホッとしたのを覚えています。
振り返るとすごい真面目で与えられた事に真摯に取り組む学年だったなと思います。
成人式に行く意義はあるのかMTG(親や恩師に感謝を伝えたり疎遠だった友達と会うという意見は反則)というルールの中で真剣に話し合ったのは懐かしい思い出です。今もみんなの基準についていけるよう必死で頑張っていますがたまにズレたりボロが出てしまうのは本当に反省しています。
今TOPにいる同期や川合我空たち(まとめられてしまった皆さん、我空と一括りにしてしまって申し訳ありません)には特にお世話になりました。
根津君は他者理解と社会規範を学んでみては如何でしょうか。決して暗記科目ではありませんよ。
香山の寝癖をウイダーの水滴で必死に誤魔化す姿や勝木がとても控えめすぎて早く帰りたいのにみんなに早く帰ろうと言えず、部室の玄関付近でモジモジしている姿が見られないと思うと残念です。今、白目になった浦山が刃物を持って自分の後ろに立っているので浦山への感謝も伝えておきます。
特に村上健くんや茅野優希くんにはピッチ内外で沢山お世話しました。お世話させてくれてありがとう。
後輩たちへ
堀溝軍団
左貫にはランで背中ばっか見せすぎてごめん。ゆんては心の底から尊敬してるのが分かる挨拶を毎日してくれてありがとう。引退したら堀溝組として飯行きましょう。そして川名、加入おめでとう。髪型は変えた方がいいよ。
永澤
延世OBとしての働きと来年のAO部門はまじで任せた。
ゆうた
養和イズムを引き継いでくれ。もう人生足踏みするなよ
千代田
早く飯誘えよ。あと遊び行こ
天風
いつも尊敬してます
SFC生
SFC生はいつでも1つ。どんな時も助け合うぞ。来学期はまじで先端科目頑張ろう。
エドサ 寂しくなるね
朔 茅野の悪口言うのはそろそろ辞めろよ
暁星のみんなへ
苦しい時にたまにみんなに会って喋ったりする時間が自分にとって1番幸せな時間でした。長い人で幼稚園から14年間も一緒なんだから大学4年間位はそんなに会わなくていいやと思ったりもしていましたが、やっぱ無理でした。物心つく前から一緒にいるみんな以上に心置きなく話せる友人はいません。高田馬場、笹塚、小日向2丁目、三鷹、ちばから、中目黒、上野毛や医学部の方々、井伊亮徳を始めとするサッカー部のみんな、何十年もよろしく。
部活外の友達へ
いつも仲良くしてくれるみんなありがとう。部活でなかなか会える時間がなかったり夜遅くまで遊ぶ事ができなかったけど変わらず接し続けてくれて感謝してます。特に単身ドイツで頑張っている真の努力家と最近筋トレをしだした影響か風呂場で赤の他人の筋肉を触って褒め出す人はあおぎの頃から自分の刺激になり続けています。桐蔭産TikTokerの方を忘れていました。目と声が凄く大きい人と語尾が変な人とエビが好きな人もありがとう。
家族へ
母へ
幼い頃からサッカーに学校に大変お世話になりました。
父へ
色々ありましたが感謝しています。本当に心の底からありがとうございます。愛情を沢山注いでくれているのは実は理解してます。まだ素直になれないだけなのでもう少し待ってください。
兄へ
暁星を辞めて、ある日突然キャリーを持って滋賀に飛び立ち、帰ってきた頃には金髪で左肩に龍を宿していたのにはびっくりです。でも今は兄弟じゃなくて心の底から信頼できる友達みたいな存在だと感じています。身近にいる1番頼れる男です。
村上健くん
俺ってありがとうと申し訳ないが口癖なんだよね、でお馴染みの村上大先生。覚えたての幼児のように連発してきます。感謝と謝罪とは無縁の人生を歩んできたと思うのですが、彼が言うのならそうなんでしょう。
たまにSNSに私を盗撮して写りたがりとキャプションをつけて投稿してると思いますが、あれは彼の策略です。村上ファンの皆様、騙されないでください。
そんな彼とは小学校からの仲良しです。6年生の進路選択の時、「俺、中学はGKやるわ。どりゃあ!」と現在と変わらぬ声量とドヤ顔で言い放ちました。
スポーツゴーグルのモヒカンが何言ってんだと当時は思いましたが、彼の才能と努力の結果、今は慶應の守護神としてチームを救い続けています。今シーズン10年振りに公式戦で同じピッチに立った時は昔を思い出して感動していたりもしました。恥ずかしいので直接は言えませんが、実は彼とピッチに立つという目標もソッカー部を辞めなかった理由の1つです。あと健ママの胡瓜の浅漬けは絶品です。
あまり友達が多くない自分の数少ない友達です。これからもよろしくね。
たける、任せた!
《NEXT GAME》
11月3日(日・祝)関東リーグ戦 第20節 vs城西大学 @JOSAI SPORTS FIELD 第1グラウンド 14:00キックオフ