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2024.10.22 引退ブログ

「足音」(根津拓斗)

平素より大変お世話になっております。
法学部政治学科4年の根津拓斗と申します。

瑞貴、紹介ありがとう。
TOP練後の部室に、妖精の如くちょこんと座っている瑞貴を見るとその日はいいことが起こる。そんな気がしていました。
先の読めない病と闘うこと。私には計り知れない苦悩があったと思うけど、その中でもなんとかしてサッカーを続けよう、組織に役立とうとする姿は同じ同期としてほんとうに尊敬しています。
ほんとうはこの場でもっと瑞貴のことをいじり倒したいところですが、瑞貴の抱いてくれている好青年のイメージは崩したくないので控えておきます。
引退したら最近改修工事されたばかりの某Spaの黒いお湯にでも浸かりに行きましょう。

さて、ついに私にも卒業ブログを書く番が回ってきてしまいました。
この言葉から始まる先輩方のブログを見るたびに、もう少し違う始め方はないのか。なんて生意気なことを思っていましたが、いざこの立場になると納得です。これしか出てきません。

伝統ある引退ブログでなにを書くかは非常に迷いましたが、あと4週間でサッカー人生の幕切れを迎える中、感じていることを素直に綴ってみたいと思います。

私のサッカー人生に関わってくれた人はちょっとばかりお時間をください。

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「期待」

これは大学1年の冬に書いたブログである。
早慶戦の舞台に憧れてソッカー部の門を叩いたものの、度重なる怪我により練習試合含めて1分も試合に出場することなく終えた1年目。
やっとの思いで復帰し、サッカーができる喜びを噛み締めながら書いていたことを覚えている。

みなさんお忙しいと思うので読み直していただく必要はありません。
「191cm」という、GKにとって特大アドバンテージを持つ私が、自然と寄せられてきた”期待”を力に大学サッカーで結果を残して見せます。といった決意表明みたいな内容だ。

もう少し詳しく。

私が所属していた慶應中等部サッカー部(都大会1回戦負け常連校)には当時、25人の同期がいた。高校に上がるタイミングで半数以上の選手がサッカーをやめ、塾高で新たに仲間となった50人近くの同期の中でソッカー部に所属しているのはたったの6人。
高校、大学ソッカー部にはこれといった入部テストがあったわけでもないから、進学に際して自身のサッカーレベルに限界を感じ、競技から離れていく人がほとんどだった。
そんな背景もあってか、ソッカー部に入部したての頃、キャンパスで元同期に会うとなにかと激励の声をもらうことが多かった。

「お前が関東、早慶戦でたら絶対見に行くから」と、

何気ない一言かもしれなかったが、私の活躍でだれかに勇気を与えられるのではないかと感じ、今日までサッカーを続けてきた一つの理由になっている。(この場を借りて応援してくれている人に感謝を伝えます。ありがとう。)

では実際、その”期待”とやらに私は応えられたのか。プレイヤーとして活動できた残りの3年間を簡単に振り返ってみる。

2年目
苦も楽もほんとうに多くのことを経験させてもらった年。
シーズン開幕前は3番手であったが、第2節にして巡ってきたチャンスをものにし、最終的には関東リーグ2部18試合、さらには長年の夢であった早慶サッカー定期戦にも出場できた。
字面だけみれば上等だろう。しかし、実態は太壱くん(R5卒)の「なんでぇ↗」という高めの声に怯える日々。
前期を上位で折り返したはずのチームは、気がつけば昇格が消え、気がつけばプレーオフ圏内まで順位を下げていた。
負けなければいい。そう言い聞かせて臨んだ入れ替え戦では劇的な逆転負け。あの日のことは改まって語る必要はない。
黄色掛かったナイターの中、ボールが自分の右上を回転のかかった綺麗な軌道でサイドネットに吸い込まれていくあの光景は、忘れたくても一生忘れることができないだろう。
とにかく自分の実力不足を痛感させられた1年間だった。

3年目
4年生のでかい背中を見せてもらった年。開幕からスタメンとして試合に出ることができたものの、第5節終了後に怪我で離脱。復帰すれば試合に出られるだろうと思っていたが、先輩GKの大活躍により、シーズン中盤は全く試合にでられなかった。人はこんなにも短期間で成長できるものなのかと驚かされ、そんな先輩に負けまいと練習に励む楽しい日々だった。
その結果、終盤には3試合のチャンスをいただく。その1つ目の試合の専修戦ではチームを勝利に導くこともできた。
しかし第18節の明治学院戦では、2-0で迎えた後半42分に自身のキャッチミスから失点。香山がGKのごとく体を張ってゴールを守ってくれたおかげで結果なんとか2-1で試合を終える。翌週の中央学院戦は5-0で勝利したものの、実質失点のような背後対応ミスを起こす。その次の平日の紅白戦では、やったこともないような判断ミスから失点。当然その週の関東はベンチから試合を見ていた。
当時は、サッカーだからミスが続くことだってあると自分に言い聞かせていたが、振り返ってみるとシーズン終盤にのしかかってくるプレッシャー、重圧に完全に負けていただけである。全くもって情けない。
この年チームは入れ替え戦の末、昨年度の雪辱を果たして無事に2部に戻ることができた。
しかし、自分の手で掴んだ結果かと聞かれると自信を持ってそうとは言えなかった。

4年目
サッカー人生ラストにして最大の試練。私が長年、背を向け続けてきた課題が、チームでもっとも求められる要素になった。ビルドアップである。なんとGKがセンターサークルまで出てボランチに縦パスを刺しているのだ。「現代型GK」としてプロの試合なんかでは眼にする機会もあったサッカースタイルだが、いざ自分がそれを実践する立場となると培ってきたGK観が大きく揺さぶられた。
正直、シーズン当初はボールを受けるのが怖く、練習試合でも失点に繋がるミスを連発。ため息をつく雄大の顔が太壱くんと重なり、鳥肌が立つ瞬間もしばしば。(あの田中雄大くんがブログに名前を出して欲しいと懇願してきたのでここらで載せておきます。)
しかし、苦い思いばかりでもない。自身の成長を1番実感している年でもある。
110分+PK戦という、壮大な尺を使ったアミノバイタルカップ城西戦の自作自演劇場、人生最初で最後の全国大会の舞台での早慶戦では、自身のプレーを表現することができたと思う。
ただ、2年前の雪辱を果たすと誓った関東大学サッカーリーグ2部の舞台での出場は、シーズン残すところ4試合なのにいまだ0分。見事に堀溝とベンチを温めまくっている。

こうしてざっくり振り返ってみると右往左往あったが、4年間でTOPチームの公式戦に1試合も出られずに引退していく人が多数を占める中で、そこそこ試合に出させてもらっていたことに気がつく。

中高時代のコーチや同期、アメフト部のガキやバレーボール部の坊主アナリストも

「よくやった」

そう言って労ってくれるだろう。別に自分の経歴を卑下して、サクセスストーリーぶっているわけではない。
ただ、そのような言葉をかけてもらえるだけで自分のサッカー人生が少しでも意義あるものとなり、自分を正当化してくれる気がするのだ。

もしかしたらスポーツ推薦がなく、地の底から這い上がってきたような選手が多いソッカー部には、私と似たような境遇・感情を持つ人も多いかもしれない。

 

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ただ、ほんとうにそれで良いのか。

自分の成功を決めるのは他人なのだろうか。

 

シーズンの終わり、すなわちサッカー人生の終わりが見えてきた最近、ふと思うことがある。

仮に「2部優勝・1部昇格」という目標を達成し、優勝を祝うホイッスルがピッチに鳴り響いた瞬間、私は同期の健、紘生、茅野、豪、香山たちと同じ熱量で喜ぶことができるのか。ピッチ内で結果を出し続けてきた彼らと同じ立場で喜ぶ資格はあるのだろうか、と。

試合に出られていない部員には一度、時間を取ってこの問いを考えてみて欲しい。

 

私の回答としては “Yes”だ。

「またひとりで話し始めて止まれなくなってるよ」なんて言葉が香山、紘生あたりから聞こえてきそうな自問自答具合だが、この答えが出てくるのはソッカー部員として至極当たり前である。

この4年間、ソッカー部員としてチームの勝利を第一に考え、行動してきた。
特に4年目は、2ndキーパーとしていつ試合に出ても100%のプレーができるように淡々と準備を整え、その姿勢も見せてきたつもりだ。慈英にこき使われ、720pの画質の荒い動画に目を凝らし、相手選手の背番号を解読するリサーチ活動も、一寿が”ありがたいお言葉”と称し、宗悟がスカしながら最後に入ってくるベンチアップ前の円陣での声かけも、全ての行動が回り回ってソッカー部の勝利に繋がっている。だから喜べるに決まっている。

このことを頭では理解はしていても、なにか腑に落ちない。

現状、試合に出られていないのは紛れもなく自分の実力不足だ。
ただ、スポーツという結果が全ての世界で、チームの勝ち点に全く関与できていないこの状況に満足できるわけがない。

サッカーをやめてチームに全てをかけてくれるグラマネ、選手が不自由なくプレーできる環境を整えてくれるマネージャー陣がいるなかで、このようなことを考えるのは自己中心的すぎることも理解している。

しかし、結局のところ自身の成功を決定づけるものは自身の力で勝ち取ったピッチ内での結果だけだ。他人からどう評価を得ようがそれは関係ない。

 

あと1ヶ月もしないで、私の17年間のサッカー人生が終了する。

その締めくくりに1mmたりとも後悔は残したくない。
2年前、自分の力不足でチームを3部に降格させてしまった過去は、まだ自分の手で取り戻したとは言えない。

私にはまだ使命が残されている。

それを果たすべく残りの4試合、必ず結果を残す。

そして「2部優勝・1部昇格」という目標をなにがなんでも掴み取り、塾生で若き血を響かせる。

そのために最善の準備をし続け、天命を待とう。

 

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3年前の決意表明ブログのアンサーを書いていたつもりが、また決意表明で終わってしまいました。だから別パートとして少しだけ後輩たちにメッセージを送ります。

 

「人は階段状に成長していく」

お世話になった恩師がいつか言っていた言葉だ。私自身いまも心に留めている。
賢いみんなならなんとなく伝えたいことが分かると思う。

我々はある日突然サッカーが上手くなるわけでも、そして急に下手になるわけでもない。全てが日々の積み重ねだ。

その積み重ねはある日突然体感する。

止められなかったシュートが止められるようになったり、出せなかったパスが出せるようになったり、プレッシャーに打ち勝って勝利を掴み取ったり。フィールドの選手がどういう瞬間に自身の成長を感じるか分からないが、必ずそういう瞬間があるはずだ。

成長を感じ、階段を登る時は誰しもサッカーが楽しく、ネガティブなことなんて考えない。
ただ、成長を感じる瞬間はスポットで起こるイベントみたいなもので、グラフの横ばいの時間のほうがはるかに長い。もしかしたら、明日の練習で急に前十字靭帯を切ってしまうことだってあるかもしれない。

うまくいかない時、結果がでない時、試合に出られない時、その現状を受け入れると成長は止まる。というか階段を登る気がなくなる。
上で大層なことを書いているが、正直今シーズン、私も現状を受け入れかけた時があった。しかし、それは同時にこの組織がほんとうに恵まれていることを痛感する機会でもあった。

早慶戦という人生を懸けて挑むべき舞台が
常に前を向き続け、尊敬できる主将・副将が
いろんな葛藤を乗り越えてチームに貢献する姿勢を見せてくれる同期が
心動かされる、熱い言葉をかけてくれるグラマネが
生意気だけど、びっくりするくらいストイックな後輩が

頑張る理由なんていくらあってもいい。自分一人で乗り越えられないなら周りの人と一緒に乗り越えればいい。
その環境がソッカー部にはあると思います。

だから自信を持ってその歩みを進め、大きな足音を鳴らしながら一歩ずつ階段を登っていってください。

その足音を聞きつけ、一緒に歩いてくれる誰かがきっといるはずです。

 

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長く纏まりのない文章でしたが、お読みいただきありがとうございました。

最後にこの場を借りて、お世話になった方々に感謝を述べさせていただきます。

社会人スタッフの方々へ
淺海前監督、2,3年次は私のことを信じて起用していただきありがとうございました。現実から逃げ出したくなりそうになった時、厳しくも愛のある言葉で何度も立ち直ることができました。あの時の経験を組織に還元できるよう、残りの1ヶ月やり切ります。
中町監督、サッカー人生ラストの年に試練を与えてくださりありがとうございます。1年間の成長を結果で示すので待っていてください。いつか天然芝でガチンコシュート対決しましょう。
そしてなにより髙橋さん、高校時代を含めると約6年間、毎日本当にお世話になりました。練習参加初日に「もうちょっとできると思ってたなぁ」とぼやかれた時からはだいぶ成長できたと思います。髙橋さんのご指導があったからこそ今の自分があると思います。ありがとうございました。残り1ヶ月、まだまだ厳しいご指導の程よろしくお願いいたします。

同期へ
ソッカー部で得た一番の財産はみんなとの出会いだと思ってます。部室でこんなこと言ったらみんな冷たい目で私を見つめ、地獄みたいな空気が流れるでしょう。そんな中、鬼丸だけ笑っている姿が想像できました。あの笑顔はあんまり見たくないので文面で伝えます。ほんとうにみんなありがとう。
普段雑な扱いを受けている分、ここで一人ひとりマジレスをいれてやりたいところだけども、トップバッターの勝木だけで1万字はいっちゃうのでやめときます。なんとしてでも優勝して所でぶち上げましょう。
あ、入江だけは責任持って南米あたりに飛ばします。任せてください。

健、我空、千葉へ
こんなにもプレースタイルと性格がバラバラな4人が、こんなにも綺麗にバランスを取れるとは思いませんでした。引退しても輝ける場所がありそうですね。
みんなで競い合えた4年間は最高の思い出です。GK Familyに残せるもの全て残して引退しよう。あと4週間よろしく。

後輩GKたちへ(感謝とは違うけども)
ユンテ
来年はいろんなものを背負うことになるだろうけど、持ち前の負けず嫌いとガメつさを活かしてがんばれ。関東見に行きます。
快・テイラー
君たちが貪欲に上を目指す姿勢が来年は一番大事。確実にうまくなってるから自信を持ってください。めちゃくちゃ応援しています。
計盛、桂匠、大次郎
いい同期が揃っていると思います。残りの3年間、互いにリスペクトを持って存分に競い合ってください。誰が関東の舞台に立つか、楽しみにしています。
みお
いろんな想いを背負って闘う姿はかっこいい。自分の手で決断を正解にしてください。みおならできる。GKの面白さ、見出せたら教えてください。

家族へ
両親、いついかなる時もやりたいことをやらせてくれ、全力でサポートしてくれてありがとう。そしてソッカー部のファンでいてくれてありがとう。特に怪我をした時は、わかりやすく不機嫌になって扱い辛かったと思うけど、いやな顔せずに接してくれたことにはほんとうに感謝しかありません。これからは頼るのではなく、頼られる存在になれるようにがんばります。
兄、アスリートとして自分と向き合う姿勢を学ばせてもらいました。本気で尊敬しています。サッカーを始めたのも、慶應に入ったのも、なにかと後ろをついていっていました。完全に別の道に進むのは初めてだけど今後も仲良くやっていきましょう。

そのほか、ここでは書ききれない程いろんな人にお世話になりました。
私のサッカー人生に関わってくれた全ての方々に改めて感謝を述べ、ブログを締めさせていただきます。
ありがとうございました。

 

さて、明日のブログは学年唯一のマネージャー、中村友香(4年・慶應義塾女子高)が担当します。
彼女は中学の同級生でもあり、今年で10年目の仲。事あるごとに擦り続けてきた身長差ネタはさすがにもう賞味期限切れです。
先日中学の同窓会にて、10年後の自分にメッセージを書くという、タイムカプセル企画があったのですが、彼女の冒頭文は

『「2部優勝・1部昇格」という目標は達成できましたか?』

だったらしい。情熱的すぎてちょっとびっくりしました。たぶん岡﨑のパッションがマネ部屋で伝染しているのでしょう。
既に5年の春まで三田に通うことが確定している誇り高き文学部生として、彼女がソッカー部人生のラストにどんなことを綴ってくれるのか非常に楽しみです。期待してます!

《NEXT GAME》
10月27日(日)関東リーグ戦 第19節 vs早稲田大学 @慶應義塾大学下田グラウンド 14:00キックオフ

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