2024.10.10 引退ブログ
「煌めき」(浦山昂大郎)
平素よりお世話になっております。法学部政治学科4年の浦山昂大郎です。
森田、紹介ありがとう。そのようなあだ名がついた経緯はよく分かりませんが、最近は練習中に「フォイ!」とテニスの掛け声のような声を出してきてとても驚きました。慶應が誇る筋肉FWの森田くんのプレースタイルを一言で言えば猪突猛進。そのすさまじい勢いでボールだけでなく相手DFの頭にヘディングをお見舞いすることもしばしば。猛々しい見た目に反して繊細な心を持っている森田ですが、ゴールへの並外れた嗅覚と筋トレへのストイックさは1年生の頃からリスペクトしています。慶應のボンバイエとして、ゴールを奪う姿期待しています。あと1ヶ月間、B1で一緒にやってきた仲間として頑張ろう。
今回このブログを書くにあたって、なかなか思考が整理できず何を書こうかと数日間悩みましたが、この卒業ブログでは今の自分の率直な心境と今までお世話になった人への感謝の気持ちを綴ろうと思います。拙い文章ですが最後までお読みいただければ幸いです。
「何でソッカー部入ってるの?」「何でサッカー続けてるの?」
かつての私は「サッカーが好きだから」と即答していたが、卒業が近づくにつれこの問いに対する答えが私の中で曖昧になっていることに気付いた。大学4年間で紆余曲折あり、人生一の挫折を味わい、身体的にも精神的にもボロボロになった時も辞めなかった理由は?本当に好きだからなのか。
改めてこの問いを見つめ直すため、4年間を振り返った。
高校3年生の冬、私は早慶サッカー定期戦を観に行った。試合は0-0で前半を折り返し、後半9分。CKのこぼれ球をオーバーヘッドしたボールは、早稲田のゴールネットに吸い込まれた。ゴールを決めて拳を掲げる選手と、一斉に立ち上がる観客。あの時の光景が何日経っても頭から離れない。あの時の高揚がいくら寝ても忘れられない。「あの舞台に立ちたい」そう思った瞬間、私の入部への決意が固まった。
期待と不安を抱えながら入部したソッカー部生活。右も左も分からず、入部からわずか1ヶ月でC2(4軍)チームへの降格を言い渡された。当時C2チームはサッカーとフットサルを並行して行っており、半ば不本意ながらフットサルとサッカーの2部練を行っていた。最初はルールを覚えるので精一杯で、ボールを持っても何もできなかった。フットサルの夜練習の後電車に乗って帰り、翌日は4時に起きて始発の電車に乗って練習に向かう。
それでもきついと感じたことはなかった。それほど毎回の練習が新鮮で新しい学びがあり、とにかく楽しかった。1年目にはフットサル全国大会という舞台も経験させていただいた。当時指導してくださっていた四戸前監督はよく「昨日の練習の時の自分より1%でもいいから成長しろ」と仰っていた。その言葉は自分のソッカー部生活の指針になっていったと思う。毎日のサッカーノートにはその日自分が成長したことを書き、それを見返して練習に向かっていた。試合に出られた数はサッカーでもフットサルでもあまり多くはなかったが、自分が1試合ごとに成長している感覚があった。
楽しい、もっと上手くなりたい。そう思えた1年間だった。
2、3年目は自分にとって大きな挫折を経験した2年間だった。公式戦に出場した数は数えるほどしかなく、90分間アップして終える試合が続いた。同期が早慶戦の舞台に立っている姿をスタンドで見ている自分が情けなかった。悔しくて仕方がなかった。何のために朝暗い中始発の電車に乗って練習に行って、きついランを走って、1日3部練の山中合宿を乗り越えたのか分からなくなっていた。
でもそんな状況だからこそ試合に出られる状況が当たり前ではなく、今まで自分が多くの人に支えられてきたということに気付くことができた。B2(3軍)チームの時の当時のGMの秀太さんからはC(4軍)チームにカテゴリー降格した後も気にかけてもらい、たくさんアドバイスを頂いた。Cチームの学生コーチの横幕さんや蓮さんは、夜遅くに戦術ボードを持って質問しに行っても嫌な顔ひとつせず仕事もある中教えてくれた。昨年の学生コーチの創太さんは、試合の映像を切り抜いて送って自分の苦手な守備について分かりやすく教えてくれた。フットサルの先輩である大将さん、隆さんは、全国の舞台でビビり散らかしている私を鼓舞してのびのびプレーさせてくれた。今西さんは毎日自主練に誘ってくれて一緒に上にあがろうと言ってくれた。マネージャーはどんなに暑い日もどんなに寒い日もいつも選手の練習のサポートをしてくれていた。他にも多くの人から数え切れないほどの恩を感じた。
4年目になった今、私は今までお世話になった人たちに恩を返せただろうか。否、全く返せていない。4年目にして初めてB1(2軍)チームに昇格した。しかし出場した数試合ではチームを勝たせることはできず、最後の早慶戦にも出場することはできなかった。入部当初の私の目標は4年間かけて達成できなかった。
改めて最初の問いに戻ると、そんな私がなぜ今もサッカーを続けているのか?
サッカーが好きだから?
違う。好きでも他のことならこんな挫折を経験しても続けない。とっくのとうに辞めている。
私はたった数秒のワンプレーが一生人の心に刻まれる瞬間を見てきた。高3の時の早慶戦のオーバーヘッドゴールも。翌年の早慶戦のはしけんさんの左足ゴールも。昨年2部昇格を決めた熊澤さんのヘディングゴールも。今年の前期リーグ早稲田戦での健のハーフラインからのロングシュートも。1つのプレーでこんなに心を動かされる経験は、このソッカー部だからこそ得ることができた。私自身もこのチームで人の心を動かしたくて、その一瞬の煌めきのような瞬間を求めて今もサッカーを続けている。人の心を動かすこと。それがチームスポーツであるサッカーの醍醐味であり、「慶應らしさ」だと私は思う。
「慶應に関わるすべての人の心を動かす」を体現しているこのチームで、私は残り1ヶ月間、最後まで走り抜けたい。
15年に及ぶ私のサッカー人生は結果を見れば成功とは言えなかったのかもしれない。それでも私は
大学4年間をサッカーに捧げたことに
この慶應義塾体育会ソッカー部を選んだことに
何一つ後悔していない。
今週末のIリーグ最終節。プレーオフの可能性、4年間での最後の試合、様々な重圧は当然かかってくるが、今までの努力、悔しさ、思い、全てをぶつけることができる最高の舞台だと思う。
楽しもう。そして必ず勝とう。
最後になりますが、この場を通じて感謝の気持ちを述べさせていただきます。
中町監督、浅海前監督、刀野コーチ、並びに社会人スタッフの皆様。4年間大変お世話になりました。選手として、人としてこのソッカー部で一回りも二回りも成長させていただきました。刀野コーチには最後の1年間、B1チームでご指導いただきました。自分のサッカー人生のラストイヤーを刀野コーチの熱く厳しい指導を受けながら過ごせたことは、自分にとって何よりの財産になりました。宮川監督にはサッカーでは1年間、フットサルでは3年間ご指導いただきました。宮川監督の「やらないことを決めろ」という教えを胸に刻んで今後の人生に活かしていきます。
社会人スタッフの皆様、本当にありがとうございました。
たくさんご指導いただいた先輩方。大変お世話になりました。引退しても相談に乗ってくださったり、試合があれば応援してくださったりと、人として尊敬し、信頼できる先輩方と一緒に過ごせてとても幸せでした。ありがとうございました。
後輩へ
立石、神志那をはじめとした生意気な後輩が多いことは否めませんが、気さくでまっすぐで、良いやつらだと思います。みんなが必死に自主練をしている姿には自分も毎日刺激をもらっています。入部当初に抱いた志を忘れることなく、1日1日を過ごしてほしいと思います。特に今出場機会に恵まれずもがいている後輩には、「一歩でも前へ」ということを伝えたいです。些細な努力でも、些細な行動でも見ている人はきっといます。とにかく昨日の自分より少しでも一歩でも成長する努力を、腐らずに続けてほしいです。
同期へ
例年の4年生に引けを取らない個性の強い代だと思います。4年間いろんなことがあったけど乗り越えられたのはみんなのおかげです。4年間本当にありがとう。
最後まで一緒に頑張ろう。
グラマネの皆へ
一葉、凌万。2人がいなければ今のチームはないし、このチームのグラマネである2人を同期として、友人として誇りに思っています。いつもありがとう。
眞木と紳はいつもチームのために献身的に動いてくれてありがとう。来年楽しみにしています。
両親
父へ
サッカーを始めたきっかけは父との公園での練習でした。これまで15年間厳しい言葉をかけながらもサッカーを教えてくれてありがとう。試合に出る時は長い距離運転して応援に駆けつけてくれてありがとう。
母へ
いつも美味しいご飯を作ってくれてありがとう。練習後ヘトヘトで帰ってきても、母の料理を食べて次の日には元気に練習に行くことができていました。いつもサポートしてくれてありがとう。
4年間何不自由なくサッカーに打ち込ませてくれてありがとう。
2人にもらった恩は、これからの人生で必ず返します。
今まで支えてくれてありがとう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
さて、続いてのブログは栗原祥太(4年・桐光学園高)です。
麻雀をこよなく愛する男栗原。練習中はキレキレのドリブルと鋭いクロスでチャンスを演出し、練習後には「うーらうーら」と訳のわからない日本語を話しながらニヤニヤして近づいてきますが、時折話す意味不明な単語は麻雀用語なのでしょうか。部室ではコンプライアンスに引っかかるような会話をして周りを盛り上げる彼の卒業後のキャリアはMリーガーか、はたまた海賊王か。切れ味鋭いブログを期待しています!
《NEXT GAME》
10月13日(日)関東リーグ戦 第17節 vs立教大学 @立教大学富士見総合グラウンド 14:00キックオフ