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2023.11.16 引退ブログ

「務め」(井上創太)

組織には必ず目標があります。
その組織の構成員は、その目標の達成をもたらす行動をするべきでしょう。

ソッカー部にはスポーツ推薦がない。しかし、関東リーグの舞台で、他大学と互角に闘ってきた。なぜなら、多様なバックグラウンドを持つ部員が、力を1点に集中させるという、ソッカー部のロマンがあるから。

僕はソッカー部の目標達成に貢献できたのでしょうか。

 

 

|理由|

サッカーほどに複雑なスポーツはあるでしょうか。縦105m×横68mの芝が敷かれた土地の上で、直径約22cmの球を使用する。この広いコートに22人もの人間が、たった22cmの球体を、操作しにくい「足」で蹴り合うわけです。1秒先、0.1秒先の未来で22人が何をしているかは、誰にも分からない。このようなシステムを持つサッカーは複雑系と呼ばれますが、これがサッカーの1つの魅力であると思います。アディショナルタイムの決勝弾、最後まで何が起こるか分からない。劇的なドラマが待っているからこそ、サッカーの観戦は見応えがあり、サッカーチームを応援したいと思える。

このようにドラマがあることも魅力的ですが、僕が思うサッカーの魅力は、この偶然を限りなく抑え、必然を起こしていく「戦術」「ゲームプラン」が存在することです。

偶然を発生させる無数の因子を限りなく減らしながら、ゴールまでボールを運ぶイメージをピッチに立つ11人が共有し、90分という長い時間の中で、監督・スタッフも含めた「チーム」が試合をコントロールできるということに、ロマンを感じる。これはサッカーが複雑系であるからこそ感じる魅力でしょう。

また、この戦術が構築される過程で、多くの人間が関わります。選手やサポートスタッフが、血の滲むような努力をして、戦術を体現できるように努力をする。こういった準備の過程で集まった「想い」がピッチの上で体現されるということに、心を動かされます。

以上が、僕がサッカーの指導者を目指した理由です。選手ではない立場でサッカーと関わることで、サッカーには「必然」があることを伝えたいと思い、大学入学と同時に、中等部サッカー部で指導をさせていただきました。

そして、大学2年生の3月。ソッカー部に「学生コーチ」という役職で入部しました。「慶應の勝利に何かしらで貢献できるだろう」という寛大な姿勢で、社会人の方に、同期の皆さんに、認めていただいたのだと考えています。

 

 

| [組織目標] ≠ [自己実現] |

冒頭の質問に戻ります。
僕はソッカー部の目標達成に貢献できたのでしょうか。

現時点の僕が、この2年間を振り返ると、答えはNoです。

2部残留を目指した2022シーズン、3部初代王者を掲げた今年の2023シーズン。僕は、ソッカー部の目標を達成する一端として、入部させていただいたはずです。であるのに関わらず「自分がやるべきこと」の基準が、組織目標に貢献することではなく、自己実現にすり替わっていた。「学生コーチ」という立場を都合よく解釈して、上記のような自分のモチベーションを満たす行動選択をし、組織に貢献できていると勘違いしていた。自分が持つサッカーの視点で、担当させていただいたカテゴリーでIリーグを勝利しよう。そんな浅はかな使命を感じていました。本来であれば、関東リーグの勝利を全部員で目指すこと。その過程を通じて、社会で活躍する人材に成長することが目標であるのに。

学生スタッフではないにしろ、スタッフに近い存在。ソッカー部が目標を達成することに尽力しなければならないことを自覚しなければいけなかった。学生主体の中核をなす立場であって、社会人と学生を繋ぐべきであること。競争と一体感を掲げる中で、学生が迷わないように真っ先にコンセプトを理解して、体現しなければならなかった。慶應の強みは、多様なバックグラウンドを持つ全ての部員の力が1点を向くことである。自分こそが稀な存在として、バックグラウンドを活かす貢献すべき張本人であることに気づいていなかった。

そして何よりも、「GMを選出しない」という、学年の大きな決断によって、ソッカー部の一員になれた、という責任を自覚していなかった。僕はGMになることはできないが、組織が目標とする方向に尽力することはできる。自分の立場で、最も優先順位の高く設定すべきは、組織目標を達成する行動を続けることであった。自分の自己実現が達成されるのは、自らのスキルを発揮することによって、組織目標に貢献できたときだけである。

組織目標と自己実現。
僕は、この2つを擦り合わせる努力ができていなかった。

いざ組織の目標達成に貢献することを考えると、自分は何も貢献できる手段を持ち合わせていないことに唖然とした。関東リーグの1試合の勝利を引き寄せるような仕事は何もできなかった。様々な角度から、自分の無力さと至らなさを感じた。自分にしかできない仕事なんてないと思った時、今のままでは代替可能な歯車なのだと自覚した時、襲われる感情には何と名前をつければ良いのでしょうか。自分は与えられた役割を全うできず、自身の勝手な自己実現を満たすことに逃げていただけでした。

5~6歳からサッカーを始めましたが、常に逃げていたのかもしれません。高校時代に選手としての周囲との差を埋められないと思ったから、指導者という立場を選び、選手としての努力から逃げた。その指導者という立場でも、ソッカー部で与えられた役割を果たせず、自分ができる範疇に逃げた。そんな弱くて小さいだけでなく、考えが凝り固まった自分を目の当たりにしました。

主務でもない、GMでもない、MGRでもない、社会人コーチであるはずもない自分に何ができるのか。そもそも自分が果たさなければならない役割は何なのか。組織の視点に立って自分という存在を見ることで、周りにない自分の力が少しは見えてきたのかもしれません。

プラスを作ることができなくても、組織の穴を埋めるようなことはできないのか。部の運営面でも、落ちている仕事を拾って、1つ1つを高いクオリティで返していこう。組織の目標達成を、微々たる量でも前進させたい。ソッカー部での活動は終わりが近いですが、未だに貢献できたと言える自信がありません。3部初代王者を達成できなかったが、2部昇格の道が残っている。選手が、MGRが、スタッフが己の責任から逃げないように、自分も目の前に起こる事に向き合いたい。どんな形でもいい、チームに格別の勝利を。

 

 

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ソッカー部員の皆さん。

ソッカー部における、あなたの役割は何ですか?
その役割は組織の目標達成に貢献できていますか?
その役割はあなたの自己満足で終わっていませんか?
あなたはその役割に納得して、自分の全ての時間を注いでも構わないと思えていますか?

これを悩み続けることに意味があるかもしれません。組織の目標と自己実現を一致させる努力をしよう。そして、この類の悩みの総量が、多ければ多いほど、組織として強くなっていく可能性があるはずだから。

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大変稚拙な文章ですが、お読みいただきありがとうございます。
蛯名からバトンを受け取りました、法学部政治学科4年の井上創太と申します。

えびちゃん、紹介ありがとう。実はえびちゃんの見えないところでちゃんとご飯食べているので安心してください。と言いたいところですが、合宿所生活が終わる前に蛯名飯に連れて行ってもらおうと思います。
彼とは同じ慶應義塾高等学校出身で、高校1年生の時のクラスが隣でした。背がデカすぎる横浜FCユースの蛯名選手を見ると、戦々恐々として喋りかけらなかったです。ですが、僕が入部した当初は、早く馴染めるように、部のルールを覚えられるように色々と助けてくれました。その「デカい」、否、「デカくてカッコいい」背中で最後まで引っ張ってください。
あと1番大事なことを間違えていますよ。井上が通い詰めているスタバは「麻布十番」にあります。

 

僕は大学2年生の3月という、イレギュラーなタイミングで入部をさせていただきました。この縁を作ってくださった皆さんに感謝申し上げます。
雄士があの時、グラス片手に声をかけてくれなければ、自分の大学生活は大きく変わっていました、ありがとう。
入部前、事前に相談に乗ってくださった新里さん(R4卒)・蓮くん(R5卒)、ありがとうございました。
秀太くん(R5卒)・三浦さん(R5卒)・横幕さん(R5卒)。仕事に早く慣れて、スムーズに入れるように手引きをしていただき、本当にありがとうございました。

 

サッカーコーチの端くれとして、この2年間は大変貴重な経験をさせていただきました。
関東リーグの舞台、Iリーグの舞台は、本来であれば関わることのできなかった遠い世界です。選手の皆さん、偉そうに動画を送りつけてしまい申し訳ないです。皆さんがサッカー選手として成長する糧にしてもらえたら、大変光栄です。

 

日々支えて下さった方々へ。

凌万/一葉へ
苦しい時間を乗り越え、7月にスタッフ部屋に来てくれた2人を見て、身が引き締まったのを覚えています。
凌万はお菓子の食べ過ぎと、友香ちゃんへのだる絡みには気をつけてください。2つのモードと、案外打たれ強いメンタルで、スタッフを引っ張ってほしい。集合の時、小さな声で心に響くことをさらっと言う凌万には敵いません。
一葉はトンパのやり過ぎと睡眠時間には注意してください。0repの筋トレとプロテインで強化された体と、強い責任感で、悩み過ぎないこと。隣の菊田と一緒に課題に向かえば、多くの人を巻き込んで闘えるはずです。

笹へ
睡眠・ご飯・お風呂までを共にした、サッカーグランド付きの5LDK(?)の家での生活は、僕の厳しい指導が実り、笹が洗濯物を畳めるようになったので、快適になりました。笹の朝シャワーBGMに始まり、パソコンの音で終わる毎日と、お互い一度は涙した合宿所生活もあと少しです。二人三脚で、一歩も乱れずに、ここまで進んでこられたことに感謝しています。

「笹の決断を正解にする」
4年間を共にしている同期の皆にしかできないことです。ですが、いつも隣にいる自分にしか、彼の決断を正解にできないことが沢山ある。日々、彼が迫られる数々の選択を、全力で正解にしていくことで、彼の決断を正解にできると考えてきました。

3部初代王者を達成できなかった今、2部昇格をしなければ笹の決断は正解にできません。我々らしく最後まで、熱く・冷静に、昇格に必要な1歩を凌万/一葉と共に進もう。

同期へ
皆の大切な4年間のうち、2年間を共に過ごせたことが誇りです。選手がピッチで闘志をみなぎらせてプレーする姿。マネージャーが、筆舌には尽くし難い量の業務を高い質で平然とこなしている姿。いずれも原動力となりました。感謝は口に出せる方じゃないので、みんなへの思いはまたの機会で。

両親へ
一般的にみたら遅すぎる入部は、反対されると思ったのですが、二つ返事で応援してくれたのは驚きました。最後まで好きなことをやらせていただき、ありがとうございました。

 

 

大勢の方に支えられて、ソッカー部での生活を送ることできました。また、2023シーズンにご尽力していただいた方への感謝を以て、引退ブログを締めさせていただきます。

 

 

次回のブログは、山崎健翔(4年・桐蔭学園高)が担当します。
2022年2月3日。覚えている方がおかしいと思いますが、健翔と入部に向けて、初めてzoomをした日付です。持ち前のトーク力と笑顔で、ソッカー部の魅力と入部に向けて必要なことを伝えてくれて大変心強かったのを覚えています。「TRM vs東洋大学戦にきて、ソッカー部を感じてほしい!」と言ってくれたのが、遠くの昔のように感じます。そんな頼れる健翔ですが、スタッフ部屋ではサッカー以外のスポーツに興味津々なお茶目な一面も。ブログでは、何を語ってくれるのか。1日で読める量に収めてくれることを切に願っています。

《NEXT GAME》
11月18日(土)関東リーグ戦 最終節 vs 東京農業大学 @慶應義塾大学下田グラウンド 14:00キックオフ

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