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2023.10.26 引退ブログ

「今を生きろ」(古川廣太郎)

平素より大変お世話になっております。
本日のブログを担当させていただきます法学部法律学科4年の古川廣太郎です。
いつもふわふわしている平山からバトンを受け取りました。平山とは入部当初喋った覚えはなく、今でもプライベートでは交流がない関係性です。卒業ブログは大体『―からバトンを受け取りました。―とはこうでこうで』のようにバトンを繋いでくれた人のエピソードを書くのですが、自分には平山とそのようなエピソードがありません。すみません。先日このブログの順番が決まった時、平山と『卒業ブログでバトン繋ぎのエピソードを作るためのご飯』を企画したのですが、ご飯に行くことは叶いませんでした。なのでブログを書き終わった後に一緒に『豚星』にでも行こうと思います。嘘です。いつも有難う。
さて本題に入ります。毎年この4年ブログで先輩方のそれぞれの4年間の生き様を知り、自分の糧にしてきました。今度は自分がこのブログを書く当事者になったのかと思うと時の速さを感じると共に色々な出来事、思い出が蘇ってきます。
面白かった出来事は今西の股間にボールが当たった時や竹内の関学戦くらいであまり確実な思い出はないです。僕自身別に後輩から尊敬されるような人間じゃないし、特にこのブログを読んでくれた後輩の涙腺が緩むことはないと思います。期待しないでもらって大丈夫です。ですがそんな自分もこの4年間はサッカーに1番向き合った日々だったと思います。その締めくくりは少しの笑いと少しの真面目な文章で終わらせたいと思います。
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『早慶戦に出場し、モテモテになる』。
遡ると自分の入部動機はこれでした。親に恩返しする、プロになる、そのために早慶戦で活躍している姿を見せる、そんな立派な入部動機ではなく、ただカッコ良くなりたくてこの部活に入部しました。プロになって最終的にはレアル・マドリードに入団するといつも豪語してくる塩貝健人にはここで謝っておきます。当時は余り深く考えずに早慶戦というキラキラした舞台に憧れて入部した覚えがあります。
ただこの目標達成のために自分は一生懸命努力をしました。肉体改造のためにジムに通い、10キロ増量しました。ひたすらパス練習をして基礎技術を上げ、ドリブル練習もしました。毎日努力をすることで早慶戦出場という目標を追い求めました。自分なら叶うと信じていました。そうするとどうなるか、今日や明日という日は理想的な未来である『早慶戦出場』にたどり着くための単なる通過点にしていました。自分がどこに向かっているのかを考える余り、自分がどこにいるのかを忘れてしまう。ソッカー部でサッカーをする価値は『早慶戦』にある。この凝り固まった考えが自分を覆い尽くし、毎日を盲目的に過ごすようになりました。当時の自分は時間は無限にあると思っていました。というか下級生だった自分から4年間という時間の有限性に気付くことは難しかったです。しかし大学1年の夏、そんな自分を正面から殴りつけ、自分がどのようにソッカー部でサッカーを過ごすのかを考えさせる出来事がありました。
『親しかった高校の後輩の自殺』

コロナで部活動は自粛に、授業はオンラインであった大学1年の夏、こんな衝撃的な悲しみが自分を襲いました。いつも体育会で活動する自分を応援してくれていた人でした。泣きながら電話をしてきた千葉から知らせを聞いた時は暫く頭の中が停止し、自分だけ異空間に放り出されたような感覚は今でも覚えています。後輩は線路に横たわり、自ら命を絶ちました。悔しかった。悲しかった。悩みがあったら聞いてあげれば良かった。あの時飯でも誘えば良かった。急に自分に襲いかかる後悔。その時思いました、『自分にも人生の終わりはある、そしてこのソッカー部においても、17年間続けたサッカーを引退することからは逃げられない』。この自分の経験をみんなに同情して欲しいわけではないし、一緒に涙を流して欲しいわけではありません。
後輩が亡くなった時、自分は初めて人生には終わりがある、そしてその終わりはいつ来るか分からないということを実感しました。人生100年時代と謳われる昨今ですが、まだ当時19歳であった自分が本当に100歳まで生存しているかどうか分からないという事実に気付きました。その事実に気付いた時、早慶戦出場という輝かしい未来のために毎日の練習を単なる『早慶戦のための通過点』と考えていた自分に疑問を抱くようになりました。自分はこの貴重なソッカー部生活の『今』という瞬間の連続を楽しめているのか、『今』という時間軸に確実に存在しているのか。
物心ついた時から自分は将来の結果のために日々を過ごしてきました。受験の時は志望校に合格するためにTODOリストを作って勉強する、健康な体になる、将来芸人になるために一発ギャグの練習をする。そうやって努力すれば必ず素敵な将来が待っていると思っていました。現在の生活を、将来の幸福に向かうための移動手段としか考えられない。そしてその幸福を迎えた成功体験もある。そのような自分にはソッカー部で過ごす日々を楽しむことができませんでした。でも後輩の自殺をきっかけに将来に期待していいのか、そもそもその将来を迎えられる保証はあるのか、毎日の当たり前に感謝しているのか、そんな違和感を抱くようになりました。

ではここで結論を言いましょう、自分は4年間『早慶戦』に出場できませんでした。努力を尽くしたものの、残念ながら素敵な将来は待っていませんでした。その現実を突きつけられた今何を思うか、それはソッカー部で与えられた真剣にサッカーができるという『今』の瞬間の連続をもっと楽しみたかった、没入したかったと思います。自分はあの時抱いた違和感に対して見て見ぬふりをしてソッカー部の毎日を『早慶戦出場』のための道具として過ごしました。何故なら自分が『早慶戦出場』という目標を達成できない将来が怖かったからです。そんな将来を当時は想像したくはありませんでした。引退というある種の終わりをいずれ迎えることに向き合うことから避けてきました。日々朝4時に起きて辛い思いをして練習をしている意味がその4回しかないチャンスに委ねられている、そんな運命に向き合いたくありませんでした。毎年場内警備をしている時は『さすがに来年は出場できる』と考えないと深い悲しみに襲われそうな恐怖がありました。
ではその目標が叶わなかった今、自分に何が残るのでしょうか、何が収穫としてあったのでしょうか。そんな空虚な自分に甚だ失望します。将来に自分の行動の結果を委ねていた自分は初めてここで現実を知りました。こんな過ごし方だと自分が死ぬ時も同じような感情になってしまうと思います。この自分の4年間を通して後輩たちに伝えたいことはシンプルにこれです。
『今を生きろ』
この部活にいる誰もが『早慶戦に出たい』、『関東リーグに出たい』という目標を持って入部すると思います。自分自身もその思いで入部しました。というかその強い思いが毎日の始発電車に自分の身体を運んでいたと思います。こんなきつい思いをしたんだからいつか報われる、そんな風に思う日は何度もありました。でもそうやって日々訪れる『今』を清算せずに、その行動の結果を『未来』に先送りしていると自分の人生を生きられないようになります。そして早慶戦に出場できれば報われた気持ちになりますが、出場できなかった自分には何が残るでしょうか、何のためにこんなに頑張って来たのでしょうか。こんな哀れな思いを4年目にして抱くようになります。嫌です、自分の後輩たちにはそんな思いをして欲しくありません。未来のために現在を犠牲にしないでください。あらゆる瞬間は最後の瞬間です。自分であれば大学2年時の日大戦で奮闘し評価をされたこと、TOPで走れず下のチームに降格を告げられたこと、ブリオベッカ浦安競技場で亜細亜大学に敗北した経験、関東メンバー入り間近で肩が外れたこと。全てがこれから先経験することはないです。だから後輩たちには毎日訪れる人生最後の瞬間を楽しんで欲しいです。『今』を力強く生きて楽しんで欲しいです。
この4年間で自分が得られたこと、それは自分が『弱い人間』であることを身に染みて感じたことです。毎日自分に向き合うことから避けて来ました。いつかは輝かしい未来が来ると思っていました。そんな弱くて哀れな自分を自分自身が一番自覚できて幸せです。有難う、ソッカー部。といってもまだ終わっていないけど。
引退まで残された時間は長くありません。でも楽しいです。可愛い後輩、特にエドサや倉掛、そして同期、そのような恵まれた環境でサッカーをできる『今』という瞬間に感謝をしています。関東リーグに出場できるかどうかは分かりませんが毎日の与えられた練習を一生懸命取り組みながら、もしそのような機会を掴めたらその時は頑張りたいと思います。

最後に両親や周囲の人たちに感謝を述べたいです。
まずは両親。いつもサポート有難う。恩返しは少しずつします。
次に監督をはじめとする社会人スタッフの皆さん。常に迷惑ばかりを掛けてしまいましたが最後まで指導していただき有難う御座いました。監督には『助っ人外国人』としていじっていただきながらも、厳しく指導していただき有難う御座いました。刀野さんには親身に相談に乗っていただき、有難う御座いました。そして宮川さん、入部当初の爽やかな姿からは一転、3年の時を経てヒゲがモサモサの姿になっていた時は驚きましたが最後まで指導していただき有難う御座いました。宮川さんがいなければ自分はこの部活を続けられなかったと思います。将来は僕も経営者になり、ポルシェに乗りたいです。有難う御座いました。
ソッカー部同期や高校の同期や大学の友人たちへ、いつも有難う。志木高同期、ラメール兄さん、ラグビーニキ、法学部登山同好会、bad hop国分寺サウナニキなど。常にみんなの存在が自分のモチベーションでした。
志木高の後輩たちへ
本当にこんな情けない先輩で申し訳ないです。実は入部当初は全員に負けたくないと思っていましたが、すっかり負けて老害になってしまいました。こんな先輩をバカにするのもいいですが、君たちも実は後輩たちに見られているかもしれません。将来の慶應ソッカー部を強くするのは君たちです。任せたよ。最後に香山には新しいイヤホンを、タケルにはビルドアップを、たいしには中だるみ脱出の方法を、千葉には身長が伸びる方法を、マヒロには食生活を教えたいと思います。あ、浦山にはお笑いを。一葉は分かりません。

次のブログは祖父江圭吾(4年・滝高)です。
祖父江には女の子との喋り方、口説き方、女の子にモテる服装など様々なことを教わりました。彼とは1年の頃から共に過ごし、祖父江がニワトリヘアであった時代からスタバに行ったり、課題をやったり、合コンをしたり、ケーキを食べたり、今ではゴールドジムで物凄い形相で共に身体を追い込んでいます。そんな祖父江は今や関東リーガー、下級生の頃は周囲にからかわれていた彼も今や慶應の右サイドの支配者です。彼はどんなことを思い、どのようにこの部活に向き合ってきたのか。そんな彼のブログを是非お楽しみに!

《NEXT GAME》
10月29日(土)関東リーグ戦 第19節 vs 中央学院大学 @慶應義塾大学下田グラウンド 14:00キックオフ

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