2023.10.12 引退ブログ
「もっと熱く、もっと冷たく」(託見知行)
平素よりお世話になっております。山本雄士より紹介を預かりました、商学部4年の託見知行です。
P山こと雄士はほんっとうに天邪鬼なところがあって、10年の付き合いではありますが、仲良く話すことができるようになったのは高校3年生の時くらいだったと思います。算数オリンピック5位の計算能力を持っていても、なかなかP山の真意を読むことができず最初は距離を詰められずにいました。ただ、彼は本当に良いやつなんです。最高に熱くて仲間想いな可愛いところもある、いじればいじる程輝く存在です。そんなP山が今度は関東リーグの舞台で誰よりも胸を張って(物理的に)潰し屋になりきる(サッカーの面で)日を心から待っています。あと少し、頑張ろうね。
そんなP山と高校生時代3年間がむしゃらに全国制覇という目標に向けて走り続け、今は塾高コーチとして高校生と共に全国制覇を目指して4年目。現役時代も含めれば今年で7度目の挑戦だ。
4年間のコーチ人生。今までを振り返ると失敗の連続だった。同期のブログからみんなの4年間を覗いてみると、何かを全うしようという姿勢がカッコ良くて、今までそこまで深く知ることのできていなかった仲間の胸の内を知ることができて、この仲間と、場所は違えど最後まで走りきろうと思うことができた。慶應義塾高等学校サッカー部というみんなとは異なる環境に身を置いている自分は、今回のブログでどんなことを書くべきかと迷ったが、大学サッカー生活4年間自分が感じてきたことをありのままに書くことが誰かの心に届けばと思い、このブログを書き進めることにしました。
独りよがりな文章かもしれませんが、是非お手隙の際に一読いただけると光栄です。
1年目
高校生まではGK。にも関わらず、コーチを始めて1年目にいきなり1つのカテゴリーを担当することになった。正直最初は何も分からなかった。その上、この年はイレギュラーな年で、新型コロナウイルスの感染拡大のため、高校ソッカー部は活動自粛を余儀なくされた。そこで、当時グラウンドマネージャーの関さん(R3卒)と亮平くん(R3卒)が大学の練習に呼んでくださったことによって、”指導する”というノウハウを学ぶことができた。それと同時に縮こまっている自分がとても恥ずかしく感じられた。練習にコーチングスタッフとして参加させていただいているのにも関わらず、遥かに自分より上手い選手、サッカーを理解している選手しかいない空間で、選手を助けてあげることやチームを良い方向に導く一助になることが全くできていなかったと思う。ただ、このように自分の行動に恥じらいと後悔を感じることができたのは亮太の存在があったからだ。
亮太は、1年生にも関わらずTOPチームの練習に呼ばれたらやり過ぎなまでに遠慮なくプレーし、コミュニケーションもたくさんとっていた。この姿は、未熟な上にその未熟さを言い訳にする弱気な自分にとって頑張る理由になっていた。仲間の姿に背中を押され、毎日選手に何かを学んで少しでも上手くなって帰って欲しいというその一心でがむしゃらに過ごしていた日々だった。
2年目
サッカーを必死に学び、それを少しでも選手に伝えようとそれだけに一生懸命だった1年目。ただ、遠慮なく”自分らしさ”を全ての練習で出せてはいなかった。今年こそと意気込んだ2年目は、初めて公式戦のあるBのカテゴリーを指導することになった。TOPの1つ下。TOPに1番近くで影響を与えることのできる大切な立場である。
果たして「自分らしさ」とはなんだろう。神奈川県3部リーグという大舞台で戦う1年を戦い抜く前に必死に考えた。そして、コーチとして唯一の同期のスギのおかげでそれに気が付くことができた。スギにはいつも助けられている。間違っていることはしっかりと注意してくれ、頑張ったことや正しく励んだことに対してはしっかりと褒めてくれる。そんなスギがいたからここまで高校サッカー部が好きになれたし、必ず全国制覇するんだと毎日意気込んで練習に臨むことができた。いつもはなかなか照れ臭くて言えないけど、本当にありがとう。そんな真っ直ぐなスギは、その日も「託見のいい所は、自分の思うことをしっかりと相手に伝わるまで伝え続けられることだよね。」と伝えてくれた。その日から『もっと熱く』伝え続けることに拘り続けてきた。
少しずつ選手の活躍の助けになれるようになってきた1年であったのは確かだが、結果は10チーム中8位。僅か1勝のみでチームを降格させてしまった。悔しさはもちろんあったが、それよりも勝たせてあげられなかった自分の無力さに失望した。
3年目
ここまで何も結果を残せていない2年間。正直自分に自信はひとつもなかった。ただ、この年大方監督が育休に入られることになり、急遽TOPの監督代理が必要となった。戦う舞台は去年成績を残すことができなかった神奈川県3部リーグより1つ上の2部リーグ。そして、全国制覇に繋がる総体。想像しただけで自分には到底できないことだと思ってしまった。しかし、コーチ3年目にして自分のチームの結果が出てこない理由が分かってきた感覚もあった。それは、「選手に考えさせることの少なさ」である。もちろん、熱く指導することは自分の良さである。ただ1番忘れていけないのは、高校サッカーの舞台でもちろん主役は高校生であり、高校生の成長や活躍の手助けをするのが学生コーチの自分の役割であると再確認した。このようにコーチとしてあるべき姿を見つめ直し、少しこれまで理想にしていたコーチ像からアップグレードした目標を持つことができた自分は、TOPの監督代理に挑戦したいという想いと、選手を全国制覇に直接導けるチャンスを絶対に活かすんだという野心に突き動かされ、この大きすぎる役割に名乗りをあげた。
そして始まった3年目のコーチ活動。TOPの監督代理とCのカテゴリーを掛け持ちする多忙な日々になった。TOPの監督代理は5節の平塚学園戦から引き受けることになった。もっとできることがあるはずだと、このチームを良くできるはずだと意気込んで始まった僕の新たな挑戦は、また失敗の連続だった。選手のコンディション管理やチームの意思統一、自分が思う以上に多くの課題に直面し、反省が続く日々だった。
平塚学園 0-1 守備は良いが攻め手にかけた。
日大藤沢B 0-2 試合の入りと決定力の低さが課題に。
創学館 0-2 総体予選。大きな舞台への経験不足と勢いのある相手に飲み込まれた。
厚木北 1-3 空中戦への弱さが露呈した。
三浦学苑 3-1 やっと掴んだ勝利。しかし守備の規律にまだ課題が残る。
桐蔭学園B 2-1 今まで創り上げてきた良い守備から攻撃で点を取ることができた。1番良い試合。
4連敗からやっとの思いで2連勝。今でもこれらの試合で感じたことは鮮明に頭に残っている。何かを改善すると必ず次に新しい課題が出てきて、結果の付いて来ない日々が本当に苦しかった。ただ、選手の方が絶対にもっと苦しかったと思う。もっと楽しんで試合をやらせてあげたかった。しかし、この経験で1番大切なことを学ぶことができた。それは、創り上げるべきチームは僕を無しにして纏まるチームであるということだ。ここまで『もっと熱く、もっと熱く』と熱い想いを選手にぶつけてきた毎日だったが、それだとピッチ内で苦しい試合展開の時、熱くチームを鼓舞できる人が育たなかった。その役割を僕が担ってしまっていた。選手のために、愛を持って放任することの必要性を学んだのだ。もちろん、全て選手に放り投げるわけではない。試合で苦しい流れの時、今までなら率先して喝を入れていたが、その想いを少し我慢してチームを見ていたら、自ずとチームの中でその役割を全うできるようになることがあった。その役割を担う人が見つからず、失点することもあった。ただ、それは今後の成長に繋がる1失点になれば得点よりも大きなことかもしれない。ただ、今まで自分の理想としていた『もっと熱く』という信念が揺らいだわけでは一切ない。『もっと熱く、もっと冷たく』が新たに目指すべき姿となった。
4年目
3年目のTOPの結果として、自分が指導している時こそ結果は出なかったが、大方監督が戻ってきてから少しずつ結果が出始め、そこには、僕が選手と共に追い求めていた規律のある守備が見られた。Cでも何人かの選手をCでの経験を持ってTOPに上げることができ、リーグ戦の結果も大満足とまではいかなかったが、試合を踏むごとに一つひとつ積み上げて、シーズン通して大きな成長を遂げることができたと感じられた。これまでの2年間とは違う達成感もあった。
そして、ラストイヤー。全国制覇には、現役時代も含めて7度目の挑戦だ。
今年は最高のコーチ仲間であるスギ、稜真、カゲ、幸と4年間培ってきたものを全面に押し出しながら、より綿密にコミュニケーションを取ってここまでシーズンを戦ってきた。これからのリーグ戦残り4節と、選手権全国制覇まで残り10試合。もっとチームは良くなるはずだし、良くしていける自信が漲っている。選手からも前向きで強気な気持ちを感じることが多い。
残りの14試合に向けて何か特別なことをするつもりはない。これまでよりも選手にもっと熱く、もっと冷たく真っ直ぐに選手を信じ続けて向き合うだけだ。
その先に全国制覇があると信じて疑わず、走り続ける。
同期へ
場所は違えどみんなの頑張る姿に沢山勇気をもらっています。チームを4年として引っ張る姿や、がむしゃらに戦う姿。その一つひとつが僕が本当に苦しい時の原動力になっているし、僕も頑張らないとなと喝を入れられているようにも感じます。必ず三部初代王者の目標を達成しよう。僕も2つの大きな目標に向かって残り頑張ります。
みんな、いつもありがとう。
これまで一緒に全国制覇を目指してきた選手・今目指している選手へ
ライセンスも何もない生意気な大学生の話をいつも聞いてくれてありがとう。
信頼して上手くなるために沢山質問してきてくれてありがとう。
毎日笑顔でグランドに来て、練習中はキツイことも沢山あるだろうけど、練習後はバカみたいに一緒に笑いながら次の練習に向かってくれてありがとう。
そして何より、こんなに貴重で濃い4年間を経験させてくれてありがとう。
まだまだ伝えたいことはあるけど、4年目はまだ終わっていないので残りは全国制覇した後の納会で話します。
大方先生へ
いつもわがままな僕を見守っていてくれてありがとうございます。きっと他のチームでは僕の指導は認められないことも多いと思います。自分が、このブログにもある通りもっと熱く、もっと熱くと選手に自分の想いをまっすぐ伝え続けてこられたのは、大方先生が本当にそれが行き過ぎてしまった時に制御してくださったからです。それなのにも関わらず、いつも自分の意見を曲げず真っ向から自分の考えをぶつけてしまう未熟さを改めて、社会人生活を送りたいと思います。大方先生がご指導してくださる時に、必ず仰ることがあります。それは「まっすぐ思っていることを伝えられること、その熱い想いは託見の良いところだから客観的な視点も持つんだよ。」ということです。どこまでもその人の良い所を伝えながら指導してくださる姿は、僕が選手と向き合う時に大切にしていることの1つです。感謝してもし切れませんが、まだ僕のいる7年間一度も結果で恩返しすることができていないので、なんとしても今年全国制覇してやりましょう。残り短い間ですが、わがままな僕をこれからも宜しくお願いいたします。
両親へ
いつもありがとう。
そして、4年間、いやこれまでずっとサッカー中心の生活で振り回してごめんなさい。小学生の頃から週末は決まってサッカーの試合があって家族でどこかに遠出することもできませんでした。ただ、それでも朝早くからご飯を作って送り出してくれるママ。車で送ってくれて、試合の後は最後まで試合の結果を興味深く聞いてくれるパパ。その支えがなければここまでサッカーを続けてくることはできなかったと思います。このままだと何も親孝行をしないまま来年新潟に行ってしまいそうなので、これからの家族との時間を本当に大切に過ごします。いつも口ばっかりで行動に移せないダメ息子だけどこれからも宜しくお願いします。
面白い同期のブログと比べ、何も面白さのない独りよがりの暑苦しい文章に最後までお付き合いいただきありがとうございます。
次回のブログは内野実咲(4年・慶應義塾湘南藤沢高等部)です。
いきなりですが。
実咲、いつもありがとう。
これは僕が実咲に1番かける言葉です。今になってはこれは一種の”くだり”のようになってしまいましたが、思い返すと、本当に実咲が選手のために頑張る姿を見る度にそれを口にしていたら口癖のようになってしまったことがこの起源でした。
ここでも伝えさせてください。
実咲、いつもありがとう。
ただ、最初に部活で出会った時、お米の炊飯の仕方をエビと僕で実咲に教えたのに、僕だけ老け顔だからって同期じゃなくて社会人コーチだと思っていたことだけはずっと許しません。
そんな選手想いの実咲のブログ、期待しています。
《NEXT GAME》
10月15日(日)関東リーグ戦 第17節 vs 神奈川大学 @慶應義塾大学下田グラウンド 14:00キックオフ