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2023.10.09 引退ブログ

「The World According to You.」(鈴木隆弘)

 

平素よりお世話になっております。板倉秀和から紹介を預かりました、法学部法律学科4年の鈴木隆弘です。

板倉は練習後に家の近くまで車で送ってくれる心優しき男です。
いつもありがとう。皆にも好かれる彼ですが、裏では色々言われていたりします。話盛っちゃうし、老害キャラをおいしがるし、スカしちゃうし、話盛っちゃうし。そんなイタさん、失礼、板さんはなんと今日(10月9日)が誕生日です。後輩の皆さん、盛大に祝ってあげてください。きっと満面の笑みで「あー、飯行こう!」と言ってくれるでしょう。ちなみに、僕からはCKで極上のブロックをプレゼントしたいと思います。

板倉の話が長くなってしまいましたが、そろそろ本題に入りたいと思います。ん、未来の自分への手紙じゃないのかって?違います。手紙は書きません。

今年2023年は、ソッカー部員にとっては熊澤に初めて(?) 彼女ができた記念すべき年ですが、世間的に注目されているのは、やはりウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年と東京ディズニーランドの開園40周年でしょう。僕自身、ディズニー作品やディズニーリゾートが大好きということもあり、今年中に1回は東京ディズニーランドを訪れたいと考えています。一緒に行ってくれる人、募集中です。
さて、そんな僕の引退ブログは、東京ディズニーランドに開園当初からあるアトラクション、「カリブの海賊」の話から始めようと思います。

「カリブの海賊」は、アドベンチャーランドと呼ばれるエリアにあり、そこではルイジアナ州ニューオーリンズの街並みが再現されています。鉄細工で飾られたバルコニーや、パステルカラーの建物群を眺めながら道を歩けば、不思議と心が満たされていくものです。
しかし、ロイヤルストリートを抜けて「カリブの海賊」に向かう途中、誰もが疑問に思うはずです。「なぜ『カリブの海賊』がニューオーリンズの街中にあるのだろう?荒くれ者の海賊がいるような雰囲気ではないし、そもそもニューオーリンズはカリブ海に面してないじゃないか…」。
この疑問を解くヒントは、実はエリア内にたくさんあります。まずは「カリブの海賊」のアトラクションを振り返りましょう。豪華な屋敷の裏口から出航したボートは、ブルーバイユー・レストランを横目に暗く入り組んだ水路を進みます。ここで、「このようなルイジアナ州特有のバイユー(入り江)は海賊たちの隠れ家になっていたのか。だから『カリブの海賊』の出発点はニューオーリンズで間違っていないのだな。」と気付くことができます。
続いて、エリアの建築物に目を向けます。ニューオーリンズの街並みを形作る建物はコロニアル様式です。つまり、ニューオーリンズは植民地政策時代のヨーロッパの影響を強く受けているわけです。余談ですが、「カリブの海賊」の屋敷に関係しているジャン・ラフィットという海賊はフランス人です。
当時のヨーロッパ諸国は、アメリカ大陸で産出される銀が大きな財源となっており、その銀をヨーロッパへ運ぶガリオン船がカリブ海を数多く往来していました。当然、それらを狙って海賊は現れます。中には、植民地政策のライバル国に雇われた私掠船も混ざっていました。そういった時代において、ニューオーリンズは銀を運ぶガリオン船やそれを襲う海賊の拠点としてだけでなく、植民地から移送された奴隷たちが働くプランテーション農業の場として盛んになっていったのです。
こうしてニューオーリンズの隠された歴史が見え始めます。「美しいロイヤルストリートの街並みの根底にあるのは、海賊たちの略奪行為や植民地政策時代の奴隷貿易なのかもしれない。」そう考えられるようになると、ニューオーリンズに「カリブの海賊」がある理由、ひいては、エリア全体のテーマ自体がうっすらと捉えられる仕組みになっています(多少僕の妄想も入っていますが、ご容赦ください)。
このように、ディズニーランドでは1つの事柄に対してあらゆる方向から光を当てることで、“セカイ”を構築していきます。そこでは、あらゆるオブジェクトに意味が込められ、色彩から音響まですべての在り方に理由があります。なぜなら、限られたスペースや人的資源で壮大なイメージや世界観を表現しきらなければならないから。極限まで無駄を減らし洗練された空間だからこそ、ディズニーランドは夢の国たり得るし、たとえ3時間待ちの列が待ち受けていたとしても、僕たちは数千円払ってまで訪れるわけです。

さあ、ブログを読んでくれている皆さん、ディズニーランドに行きたくなってきませんか?しかし、このようにして夢の国ディズニーランドの魅力を深ぼれば深ぼる程、現実に退屈してしまう人もいると思います。現実世界では明確な意味や理由を見いだせない事柄が身の回りに溢れているからです。時には理不尽に感じることもあるかもしれません。
ソッカー部の活動においてはどうでしょう。ミスして怒られる仕事集、練習時間より長いミーティング、絶対にタイムに入れないランなどなど。他にもあるのかな、ねえ古金谷君?
なぜ、そうしたきついことを4年間も頑張るのか。この部活に食らいつく確固たる理由を見つけられなければ、4年間を通して6半練に通うのは辛いと思います。
大学に入ってまでサッカーを続ける理由を、最終的に何を得たいのかを見つけようとしたとき、困ったことにそれを教えてくれる人はどこにもいません。だって、その答えは人それぞれだから。明確なビジョンを持っている人は「プロになるため」「支えてくれる家族に恩返しするため」「頑張る同期のスタッフに報いるため」「ラーメンをおいしく食べるため」と語ります。どれも大きなモチベーションになるでしょう。でも、それはその人だけの理由であって自分のものではありません。やはり、自分がソッカー部で戦い続ける意味は自分で見つけ出さなければいけないのです。これを見つけるのは案外難しい。ソッカー部員の多くが4年間向き合い続ける課題だと思います。そうした中で、4年生が最後に掴み取った答えの微かな片鱗が引退ブログで語られるものなのだと思っています。だからこそ、先輩方の引退ブログはとても心に響くし、本人のインスタグラムのフォロワー数も伸びるのでしょう(僕はインスタグラムをやってないので知りませんが)。

さて、サッカーを頑張る理由に少しでも疑問を持っているそこのあなた。1つ僕が提案したいのは物語を作ることです。自分だけの物語を。なぜ自分はサッカーを始めたのか、誰の影響を受けてきたのか、どんな挫折があってどう乗り越えたのか、そして、どのように終わりに向かうのか。その物語が完成するとき、その中にあなたが頑張る理由、頑張らなければならない理由が隠れていると思います。引退ブログの多くが、その人のサッカー人生を振り返った魅力的な物語になるのは決して偶然ではないはずです。
あなた自身に語られるサッカー人生はあなただけの物語ですし、その中で浮かび上がる理由もあなただけのものになるはずです。
ちなみに僕の4年間を語るには次の一節で十分です。
「一本の麺に世界を見、一滴のスープに天を見る」

自分だけの物語。それは身の回りの事象を自分なりに解釈し、自らの言葉で語り直したもの。そして自分だけの“セカイ”を作るもの。これはサッカー人生だけでなく、生きていくうえで常に必要不可欠なものだと思います。この世界は個人が完全に理解するには広すぎますし、時間が進むごとに学ばなければならないことが増える一方です。だからこそ、自分が語ることのできる“セカイ”として捉えることしかできません。先ほどの「カリブの海賊」やニューオーリンズの街並みに関しても、ディズニーがアメリカの歴史を再構築して意味を与えた、ディズニーにとっての“セカイ”と言えるわけです。
自分だけの“セカイ”。それは、「俺に言わせりゃ、つまり世の中はこういうことなんだよなっ」と語るようなものです。このようなことは、そこらの居酒屋に行けば、陽気なおっちゃんが嬉々として語ってくれると思います。それは誰にでも認められる「事実」ではないでしょう。でも、その本人にしてみれば紛れもない「真実」です。

こうした「~に言わせれば」というのは、英語では “according to ~“ と表現するらしいです。僕の大好きな映画、「ガープの世界」の英語タイトルは、𝑻𝒉𝒆 𝑾𝒐𝒓𝒍𝒅 𝑨𝒄𝒄𝒐𝒓𝒅𝒊𝒏𝒈 𝒕𝒐 𝑮𝒂𝒓𝒑。ガープによると世界はこのように語られる、となります。
大変長らくお待たせいたしました。ここでようやくこのブログのタイトルです。
The World According to You.
自分だけの“セカイ”、あなたはどう語りますか?

 

最後にこの場を借りて、周りの人々にメッセージを送りたいと思います。

けいと、板さん、ぴーやま、石川、直井先生、そうたへ
みんなとサッカーをする日々が楽しくて仕方がないです。このメンバーで最後の1年を戦えたことを誇りに思います。特に、板さん、ぴーやま、石川は本当に大好きです、いつも心から感謝しています。だから、車に乗せてください。
Iリーグは苦しい試合が続くけれど、刀野さんに美味しいビールを飲んでもらうために最後まで戦い抜こう。

Bチームの後輩へ(この部分だけ駒澤戦後に書いています)
まず、迷惑を掛けてごめんなさい。僕は出場できないですが、次の拓殖戦は絶対に勝てると信じています。
藤平、来週は頼んだ。お前ならもっとやれると信じている。まずは行いを改めよう。
勝木、上手くいかなくてもメソメソすんな。いつもの気持ち悪い笑顔を見せてくれ。
司、Bの声出し隊長としてチームを盛り上げておくれ。
相場、あんまし鬼丸に言い過ぎないであげて。
堀溝、まあ、何も言わなくていいか。
石川と共にさんざん文句を言われてきましたが、みんな大好きです。最後まで力を貸してください。

リサーチ自チーム班メンバー(左貫、清水、永田、源、漱介)へ
いつも仕事の無茶ぶりに対応してくれてありがとうございます。非常に助かっています。漱介の育成も含めて来年も頑張ってください。特に清水、なんか色々引き継いでいるっぽいけど、リサーチも頼むよ。例年、自チーム班の先輩は飯に連れて行ってくれなかったけれど、今年は行きます。たぶん。

両親へ
脳震盪で運ばれたり、耳を切ったりして心配を掛けてごめんなさい。毎日のように出現するゴキブリを素手で捕まえる父、真夏にも関わらず全身真っ黒の服で歩いて買い物に行く母を心から尊敬しています。いつもありがとう。

最後に兄へ
初っ端からブログのことイジってごめんなさい。兄貴のデカくてぺらぺらな背中についてきたおかげで何とかここまで来ることができました。本当に感謝しています。早く静岡で素敵な人を見つけてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は“ぴーやま”こと山本雄士(4年・慶應義塾高)が担当します。とにかく尖ることをモットーにしている彼は、この4年間でさまざまな(学年ミーティングの)話題を我々に提供してくれました。そんな彼は僕にとっては、ピッチ内外で共に死線を越えてきた戦友であったりします。学年随一の尖り屋が最後にどのようなブログを書くのかが楽しみで仕方がないです!と言いたいところですが、正直なところ不安の方が大きいです。皆さん是非、エンターテイナーとしての彼の生き様をブログで見届けてください。

《NEXT GAME》
10月15日(日)関東リーグ戦 第17節 vs 神奈川大学 @慶應義塾大学下田グラウンド 14:00キックオフ

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