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2021.10.30 引退ブログ

「安易なプレーなんか出来るわけがない」(酒井綜一郎)

平素よりお世話になっております。皆からバトンを引き継ぎました、法学部政治学科4年、主将の酒井綜一郎です。伝えたいことが山のようにあるので、前置きは省略させていただきます。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

○第一幕:決意
「何故あなたはソッカー部を選択したのか」という問いに対してブログを綴っていた同期も多いと思うが、改めて私も皆に同じことを問いたい。

あなたは何故、ソッカー部を選択したのですか。

私の場合、高校の時に成し遂げられなかった責務を果たすためである。高校3年時、慶應義塾高等学校ソッカー部の主将を務めたものの、神奈川県1部リーグ降格という結果で幕を閉じた。田嶋(4年・三菱養和SCユース/暁星高)のブログにもあった通り、結果が全ての世界である。高校でサッカー人生を終えた多くの同期に、降格という結果で引退させてしまったからこそ、非常に申し訳ない気持ちで一杯だった。私は、主将として果たすべき責務を、全うすべき役割を担わなければならないと思った。だからこそ、彼らの分まで背負って大学でプレーをする決意をした。
大学ソッカー部に入部したての頃は3軍であったものの、順調に昇格していき、1年の秋頃には1軍のスタメンとしてピッチに立つことが出来ていた。2年、3年はほとんどの試合に出場させていただき、徐々に自覚、責任感が芽生えていった。そして、2021年1月、学生による主将決めが始まった。どういう代にしたいか、何を成し遂げたいか、それに相応しい主将は誰なのか。ミーティングにミーティングを重ねた結果、最終的に立候補した私が務めることとなった。

仲間に高校の時のような思いは絶対にさせない。

そう決意した。監督からも、高校で降格させてしまった経験があるからこそ、それを活かさなければならないとお話をいただいた。もう一度、高校時の仲間も私の船に乗せて、勝利の喜びを味わわせてあげたい。そのために結果に拘り続ける1年にしようと心に決めた。

○第二幕:現実
しかしながら、現実はかなり厳しいものであった。どんなに頑張っていたとしても、見てくれた方に「良い試合をしていたね」と言われたとしても、1つの判断ミス、1つの技術的ミスが結果を狂わし、なかなか勝ち点を積み重ねることが出来なかった。監督はよく練習に身が入っていないと感じると、次のようなことを言う。「早慶戦前日と同様のモチベーションで今日の練習に臨めているのか。」全くその通りだ。心のどこかでまだ大丈夫、次勝てば問題ない、なんとかなる、俺達は頑張っている、そう思って負けた次の週を迎えたことがあった。だからこそ、このような危機的現状に陥ってしまった。
全くもって私は3流の主将である。自分のことだけで精一杯になり、組織に危機感を芽生えさせることすら出来なかった。そんな中、一時キャプテンマークを巻けなくなった何試合かの間で、冷静になってチームを客観視した時に気が付いたことがあった。

○第三幕:想い
私は決して1人ではない。最も近くには、副将の田嶋と篠原がいる。主務の彬、トレーナーのたかき。グラマネには、あべしん、ともきがいて、瑶達マネージャーがいる。元から全てのことを私が担っていたわけではないが、当たり前であるこの事実を再認識した時に自然と気持ちが軽くなった。人それぞれ役割があって、それを全うしている。今までも認知はしていたものの、それをしっかり理解し、見ようとはしていなかった。だから、誰が何をしてくれているのか、その全てを知りたくなった。日々の練習を作るのには実際どれほどの時間が掛かっており、検温未記入者の選手にリマインドするにはどれほどの手間が掛かるのか。合宿所には毎日誰が泊まってくれていて、リサーチ班がどれほどの時間を費やして相手分析を行なってくれているのか(他にも沢山ありますが、割愛します)。各々には果たすべき役割があり、担うべき責任がある。ただ、同じ組織に所属している以上、誰が何をしてくれているのか、理解しておく必要がある。私自身もまだまだ知らないことがあるのかもしれない。ただ、多くのことを知ったからこそ、私は思う。

安易なプレーなんか出来るわけがない。安易な行動なんか出来るわけがない。

試合において、ヘディング1つ、クリア1つ、対人1つ、決して負けるわけにはいかない。試合だけではない。日々の練習から手を抜くことなど許されるはずがない。私達は毎年プロになる選手が1人いるかいないかのチーム。だから何だ。それが他大学に負けていいという理由に繋がるはずがない。良い試合をしても負けては意味がない。
ピッチ外も同じ。これら全てのことを理解した上で、安易な行動が出来るわけがない。軽率な行動が出来るわけがない。この大学生活の4年間をサッカーに捧げると決めた以上はサッカーを最優先すべきだと私は思う。彼女とのデートでミーティングに参加出来ない?バイト?就活?知りません。サッカーに全てを費やしてくれている仲間がいる以上、その期待に応えなくてはならない、その努力が報われるような努力をしなければならない、し続けなければならない。サッカーが全てであってくれ。

皆の役割を理解した時、必然的に私の役割も理解した。私の役割、それはピッチで誰よりも戦うことだ。今日の試合、私は誰よりも戦う。途中どんな状況になったとしても誰よりも戦う。足がもげても、呼吸が出来なくなっても、私は戦う。

後輩へ
まずはこの1年間、サッカーの喜びを沢山伝えることが出来ず申し訳ない。これからも沢山きついことがあるだろう。もしかしたらグラウンドに行きたくないと思う日が来るかもしれない。私も1軍(A)に上がりたての頃は、毎日練習に行きたくなかった。練習においてミスをしたくないし、自分のミスで練習の雰囲気が悪くなるのが嫌だったからだ。だが、サッカーが嫌いになったことはない。辞めたいと思ったこともない。それは単純にサッカーが好きだから。勝利した時の喜び、皆のしわくちゃな笑顔、その瞬間を味わうのが何よりも好きだから。
皆、以下の3つのことを約束してくれ。
どんな時も組織を愛せ。ソッカー部がいかに恵まれているのか、自分という人間がいかに恵まれているのかを知ろうとしてくれ。全てを知った時に重圧を感じるかもしれないが、自然と力がみなぎってくるはず。それはこれまでとは比べ物にならないだろう。愛があるから、どんな状況でも折れることはない。愛があるから、叱れる。愛があるから、涙が出る。愛があるから、力が溢れ出す。愛があるから、目の前に強いシュートが飛んで来たとしても顔を背けることはない。
勝手に限界を作るな。この世に天才など存在しない。確かに、橋本(4年・横浜FCユース/希望ヶ丘高)は周りの選手よりも少しだけ優れており、スタートラインは一緒じゃなかったのかもしれない。だが、今の橋本を作り出した99%は、彼の努力だ。毎日FKの練習をして、シュートの練習をして、ジムに通って、眉毛を整え、マツ育をしている。彼はブログで、「(Aチームの)舞台への距離は遠くない」と綴っていた。それは間違いないだろう。ただ、その舞台で輝けるかどうかは別の話だ。考えてみてほしい。慶應で1番上手い橋本が1年の頃から人の何倍も努力をしていた。そうして今の橋本がある。先ほども言ったが、君達のスタートラインは若干、いやかなり後ろだ。そこから彼を追い越す、もしくは並ぶためには、どれほどの努力をしなければならないだろう。最高の瞬間を味わいたい、最高の景色を最高の場所で見たいなら、人並みの努力じゃだめだ。「もう無理」なんて絶対に口にするな。途中で諦めた選手には諦めたところからしか景色が見られない。最高の瞬間を味わいたいなら、馬鹿にされるくらい努力し続けろ。慶應で出られる選手ではなく、慶應を勝たせる選手に成長しろ。
戦え。皆が分かっている通り、主将の私は決して上手くはない。だが、空中戦と対人には絶対的な自信がある。それは中学からの10年間、磨き続けてきたからだ。自分の武器を見つけろ。そして磨き続けろ。そうすれば、その武器1つで他大学のJ内定者とも渡り合える。私の言葉を信じろ。ただ、それでも厳しい時はある。ミスする時もある。要らないプライドは捨てろ。今までの努力を思い出せ。試合において、ミスを後悔している時間が惜しくなるはずだ。

分からないことがあったらいつでも頼ってこい。いつでも叱ってやる。いつでも鼓舞してやる。それでも達成出来なかった時は、一緒に泣こう。

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最後に、この場を借りて感謝を伝えます。

監督、社会人スタッフの方々へ
本当に感謝しかありません。サッカーはもちろんのこと、人として大切なことを沢山教えて下さり、ありがとうございました。褒めて下さったことよりも、叱って下さったことが圧倒的に多いですが、沢山叱って下さったからこそ、大切なことに気付けた今の私がいます。これからどんな壁にぶつかったとしても、心が折れることは早々ないと思います。

同期へ
4年間一緒に歩んでくれてありがとう。一緒に戦ってくれてありがとう。最後まで3流の主将で申し訳ない。沢山笑ったし、沢山泣いたし、沢山喧嘩した。名前を挙げたい人が多いが、長くなるのでLINEでそれぞれ送りますね。清水(4年・Sockers FC Chicago Academy/William Fremd High School)、送られてこなくても、あんまり気にしないでね。皆、これからも良きライバルであってくれ。

両親へ
18年間、自由にサッカーをさせてくれてありがとう。お父さん、小さい頃から何かと送迎してくれてありがとう。お母さん、どんなに朝が早くとも毎日おにぎりを作ってくれてありがとう。2人とも、これまでずっと試合会場に足を運んでくれてありがとう。食事を管理してくれたこと、精神的、金銭的にサポートしてくれたこと、決して当たり前ではありません。私を最優先して行動し続けてくれたこと、感謝してもし切れません。本当にありがとう。ゆっくりになるかとは思いますが、必ず恩返ししていきます。

今後共多大なるソッカー部へのご声援、宜しくお願い致します。

○終幕:試合を前に今思うこと
※試合前に力が入ってしまう選手は、試合が終わってから読んで下さい。
皆が知っての通り、10月24日(日)の早慶戦で怪我をした。病院で、宮内先生から3ヶ月の怪我だと診断され、頭が真っ白になった。慶應が関東1部リーグに残留するためには、残りの2戦、必ず2勝しなければならなかったからである。私が社会人でサッカーをすることは絶対にない。そのため、残りの1週間が私のサッカー人生において最後の時間であった。その終点を目前にして、私は大きな怪我を負ってしまった。怪我を言い訳にするつもりはなかった。ただ、絶望した。私よりも重大な怪我をした経験がある選手が同期にも後輩にもいることは分かっている。ただ、怪我とはある程度疎遠であった私にとって、初めての経験であった。病院を出る足取りは重く、怪我をしているからこそ、上手く前に進めない。私の横を、人々が悠々と追い抜いていく。一方、私は階段をもまともに降りることすら出来ず、電車内では席を譲られる始末。全く情けない。多くの同期が怪我に関して綴っていたが、私には正直理解は出来ても実感が湧かなかった。だが、今私自身が怪我に直面したことで皆が書いていた文章の重みに気が付いた。病院からの帰り道、自然と涙が出た。次の日の練習(駒澤戦前日)、痛み止めを飲んで、トレーナーにテーピングで足を完全に固定してもらったものの、アップすらまともに出来なかった。「この状態なら拓殖戦も厳しいかもしれない」とトレーナーから告げられた時、練習中であったものの、皆に隠れて、慶應ボード裏で1人泣いた。アイシングを作りながら、仲間が必死でボールを追いかけている姿を見て、「俺にもまだやれることはある。皆を鼓舞しなければいけない」と分かっていても、仲間の必死な姿を見れば見るほど涙が溢れた。

私も皆とプレーヤーとして戦いたい。必死になって、ボールを追いかけたい。ただそれだけのことなのに、それが出来ない。

そう勝手に諦めていた。だが、今は違う。幸いなことにまだ残留を勝ち取れる状況にいる。大切な同期や後輩達とプレーヤーとして最後の試合を戦い抜きたい。何故なら、それが私の1番全うすべき役割なのだから。駒澤に勝利し、繋いでくれた仲間には感謝しかない。だからこそ、私も最善の準備を今日までしてきた。メンバーに入るかも分からない状況ではあるが、たとえメンバーに入らなくとも全力で皆を支えることを約束する。
最後に、早慶戦の後半、円陣時に言ったことを再度言わせてくれ。
試合展開なんか分からない。先に先制するかもしれないし、先制されるかもしれない。だけどそんなの関係ない。最後に笑うのは俺達だ。俺が折れるまでは、絶対誰も折れるな。勝つぞ。

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