2022.11.08 引退ブログ
「必死のパッチ」(宮本景)
平素より大変お世話になっております。今年度主務を務めました、法学部法律学科4年の宮本景です。
森紹介ありがとう。入部当初の彼はサイドを刈り上げたトサカヘアーで、上京したばかりの私には近寄り難い存在でした。しかし、「人は見かけにはよらない」とはまさにこのことで、実際に森と話すと、いつのまにかその優しさの虜になっていました。今は大好きです。(人としても漢としても)
さて本題に移ります。いよいよ卒業ブログを書く時期がやってきました。最近色んな後輩から「景くんおもしろいブログ書くんだろうな〜」と言われ、非常に焦りながら今このブログを書いています。振り返ってみると、私のソッカー部生活は激動の4年間でした。特に面白い話はないので、自分の想いを精一杯書こうと思います。最後まで読んでいただけたら幸いです。
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2020年10月26日。
副務(次年度の主務)決めミーティングで立候補したその日から、僕の大学生活はソッカー部一色に染まった。これまで2時間の練習をして帰るだけだった生活が一変し、毎日下田にいる日常になった。
平日は自分の所属するカテゴリーの練習とTOPチームの練習に参加。週末は関東リーグのチーム付き。練習以外では合宿所宿泊、早慶戦の運営、様々な会議への出席、問題発生時の対処などなど。自分を取り巻く環境、タスク量、責任が大きくのしかかった。
正直に言って本当に毎日体が限界だった。毎日の2部練、精神的な疲労が積み重なり、いつまで経っても体は軽くならなかった。
サッカーには大きな支障が出ていた。思っているように足が動かない。頭が働かない。プレースピードについていけない。毎試合足が攣ってしまう。一歩が出ない。
自分の不調とは裏腹に、同期はどんどんカテゴリー昇格をしていく。1年の時はDチームで一緒にプレーしていたのに、そこまで差はなかったはずなのに、焦る気持ちがさらにプレーを悪くしていく。明日こそは、次こそは、と自分に言い聞かせる毎日。どれだけもがいても状況は変わらなかった。
それでももがくことをやめなかった。
同期のために選手を辞めてグラマネになってくれた秀太、
毎日素晴らしいメニューを考えてくれるコーチ陣、
見えないところで数々の仕事をしてくれているマネージャー、
ミスが許されない中で毎試合運営をしてくれる学連、
選手のために身を粉にして働くマネジメント部門の仲間の存在があったから頑張れた。
特に、1年の頃から一緒にいることが多かった三浦と横幕の存在は大きかった。
TOP練、担当カテゴリーの練習、普通部(附属中学)の指導をしている彼らはまさにスーパーマンで、1日3部練を毎週こなしていた。自分の全てをソッカー部に捧げていた。
毎日限界まで追い込んでいる2人が隣にいたからこそ頑張れたのだと思う。
副務として迎えた3年目は選手として全く結果を残すことはできなかった。
しかし、ソッカー部を支える仲間の存在を知ることができた。
これが本当に自分を強くしてくれたと思う。キツい時に立ち返る場所となった。
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主務として迎えた4年目。シーズンインで運良くBチーム(3カテゴリー制)に所属することとなった。これまでとは違い、すぐ上にTOPチームがある状況だった。
やっとここまで来られたと思ったのも束の間、Iリーグに3チームをエントリーする関係でBチームをB1とB2に分けることとなった。B1への生き残りをかけたサバイバルが始まった。
とにかく必死で練習に取り組んだ。これまでにないチャンスをものにするため、とにかく食らい付いた。相変わらず体の疲労はあったが、必死のパッチで一歩を出した。
4月3日。カテゴリー分けが発表された。
横幕から全体ラインにカテゴリーの割り振りが送られた。めちゃくちゃ緊張しながらそのラインを開いたのを覚えている。
B1
村井、古川、伊藤、直井、、、下にスクロールしていくとそこに宮本の文字があった。
なんとか生き残った。ソッカー部入部して以降、初めて自分の力でカテゴリー昇格(今回の場合を昇格と呼んでいいのかは分からないが)を掴み取った瞬間だった。
TOPチームを目指すべき選手がB1に残留しただけでこんなに喜ぶのは恥ずかしい話だが、自分にとってはやっとTOPチームを目指せる立ち位置に行けたことが本当に嬉しかった。
4年目にして一花咲かせる千載一遇のチャンスに気持ちが昂った。
そして、B1の担当学生コーチは三浦だった。
どん底にあった3年目の救いの光だった三浦に、選手として恩返しができる。そんな状況が本当に嬉しかった。
B1チームの練習は本当にハードだった。火曜日は三浦のラン、水曜日はテソンさんの対人、と週の立ち上げから鬼強度のメニューが続いた。特に火曜日のランメニューは毎週キツかった。選手をいじめ抜くために三浦が考案したランメニューの数々。練習後に「選手がキツそうにしてるところ見るの楽しいんだよね」と笑いながら言ってくる時の三浦は悪魔そのものだった。
心が折れそうになったことは数知れず、毎週自分の限界との戦いだった。キツい時にはマネジメント部門のみんなの顔を思い出した。そうすれば一歩が出た。三浦に悪魔のような笑顔をさせないために、自分に打ち勝つために、必死のパッチで走り続けた。
いつしか疲労があっても走り続けられる体になっていた。足が攣ることはなくなり、キツくても一歩を出せるようになっていた。
「走力」が自分だけの武器になっていた。
初めてのIリーグ1部の舞台。これまでIリーグ2部でも全く結果を残せなかった自分が通用するのだろうか。どれくらいの強度なのだろうか。下級生が多いB1で勝つことができるのだろうか。不安は山ほどあったが、自分たちがどのチームよりも走れる自信があった。三浦にいじめられ、テソンさんに鍛え上げられたB1の戦士たちであれば戦い抜くことができる自信があった。必死のパッチで食らい付いた日々は揺るぎない自信となっていた。
ほとんどの対戦相手に技術レベルでは負けていた。メンバー表の前所属チームで絶対に勝つことはできなかった。それでも最後まで上位争いをすることができた。絶対に走り負けることはなかった。その根幹となっていたのは間違いなく火曜、水曜の「フィジカルフェスティバル2days」だった。三浦とテソンさんを信じてきて本当によかったと思っている。
自分はというものの、B1での出場機会はかなりあったが、結局一度もTOPチームに昇格することはできなかった。
埋め合わせのために呼ばれた練習試合、急遽TOP練で出場することとなった紅白戦、TOPとB1合同での山中合宿等、何度もあったチャンスをものにすることはできなかった。
しかし、まだ諦めていない。今シーズン最後の追加登録が明日にある。
最後の最後で一花咲かせて無名校出身の自分でも通用することを証明したい。これまで自分を支えてくれた人たちに恩返しをしたい。のぞみは薄いかも知れないけど、廣田に追加登録をしてもらう準備はできている。
このブログを通して伝えたいことは「必死のパッチでやること」です。
必死のパッチとは、「必死」という語を強調した最上級とされ、主に関西地方で用いられる表現です。僕の母親がよく使います。
とくかく必死で食らい付いてください。どれだけキツくてももがき続けてください。
その先には絶対に成長があります。必死のパッチでやった者にしかたどり着けない境地があります。
「必死のパッチ」でやりましょう。
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最後にこの場を借りて感謝を伝えさせてください。
社会人スタッフの皆様へ
お忙しい中日々ソッカー部のために尽力してくださり、本当にありがとうございます。未熟な私を時には優しく、時には厳しく指導してくださりありがとうございました。
ソッカー部を通して培った学びをこれからも忘れず精進して参ります。
両親へ
これまで何不自由なくサッカーを続けさせてくれてありがとう。サッカーを通してたくさんの大切な仲間に出会うことができました。本当に感謝しています。
かあさん、丈夫な身体に産んでくれてありがとう。おかげで多忙な毎日でも大きな怪我なくここまで来ることができました。主務と選手の両立はこの体なくしては不可能だったと思います。
とうさん、いつも熱烈応援してくれてありがとう。仕事の合間を縫って京都から夜行バスで試合を観にきてくれたこと、すごく嬉しかったです。土砂降りの中傘もささずレインコートで写真を撮ってくれている姿に感動しました。
2人がB1の試合を毎試合チェックしては「スタメンおめでとう」とか「次は頑張って」とか言ってくれたことが心の支えになりました。TOPチームで活躍する姿を見せられなくてごめん。ラスト悔いのないよう駆け抜けます。
B1のみんなへ
1年間よく走りきった。特に山中は本当にしんどかったね。(来年もがんばれ)
頼りない4年ばかりでごめん。こんな4年に最後まで付いてきてくれてありがとう。
いつもはふざけているけど、根は真面目で、サッカーに真摯に向き合うみんなが大好きです。
またみんなでご飯行こう。(氏家の奢り)
マネ部屋のみんなへ
いつもいつも助けてもらってばかりでした。本当にありがとう。
どんな仕事を頼んでも嫌な顔一つせずに引き受けてくれるみんなのおかげで主務をやり抜くことができました。
これからも色々引き受けてもらうかもしれないけど、その時はよろしくね。
スタッフ部屋の住人へ
秀太
グラマネになってくれてありがとう。いつも味方でいてくれてありがとう。
秀太の運転で関東に行くのももう1回しかないと思うと寂しいな。
最終節何がなんでも勝とう。最後までよろしく。
蓮
学生コーチとして途中入部してくれてありがとう。蓮のおかげで確実にソッカー部も学年も強くなった。
あと、屁ばっかりこいでごめん。もうおれの屁を聞くのも数日だから我慢してください。
横幕
いつも滑り役に回ってみんなを笑わせてくれてありがとう。横幕がいると場が和むような気がする、知らんけど。
めちゃくちゃ忙しい中でも自分の夢を追いかける横幕はおれの誇りだよ。
三浦
B1のコーチをしてくれてありがとう。
今年はまじでずっと三浦といた気がする。どれだけ辛くても三浦といたから乗り越えられた。
アリガート。
森
学生トレーナーになってくれてありがとう。
森の優しさに何度も救われた。色々あったけど4年が最後までやってこれたのは森のおかげだと思う。
社会人になったらピチピチのノンスリーブ着るのはやめてね。
廣田
学連引き受けてくれてありがとう。
話は相変わらず長いけど、ミーティング中にすぐ上裸になるけど、なんやかんや廣田の独特な感性が好きだよ。
最終節相撲で慶應を勝たせてくれ。
次回のブログは副将の川野太壱(4年・横浜FCユース/慶應義塾高)です。
副将としてチーム内外でソッカー部のために尽力してくれています。彼がいるといないとではチームがガラッと変わってしまいます。
冷静に状況を見てチームを勝利に導く慶應の頭脳・タイチがどんなブログを書くのか楽しみです。
《NEXT GAME》
11月12日(土)関東リーグ戦 最終節 vs 日本体育大学 @日本体育大学横浜・健志台キャンパスサッカー場 11:00キックオフ