2016.11.03 引退ブログ
慶應の伝統とは何か(川原一哉)
今回ブログを担当させていただきます総合政策学部4年、グラウンドマネージャーの川原一哉です。まず始めに、日頃より慶應義塾体育会ソッカー部を応援してくださっている全ての関係者の皆様方にこの場をお借りして御礼申し上げます。本当にありがとうございます。そして、皆様方の応援が日々私たち現役生の力と責任感に繋がっております。今後とも、よろしくお願い申し上げます。
さて、ソッカー部は先日の早慶戦を勝利したことによって1部残留が確定となり、より一層全日本大学選手権(インカレ)の出場に向けて全力を尽くすことの出来る環境が整いました。定期戦や天皇杯で早稲田に敗れ悔しい思いをしましたが、今シーズン最後の早慶戦に勝利したことは非常に意義あることだと考えております。そして私は、個人的にこの勝利は慶應ソッカー部の伝統を継承出来た瞬間だったと考えます。今回はこの慶應の伝統について、後輩に伝えたいことを書かせていただきます。
私がソッカー部に入部したシーズンは降格争いをしたシーズンでした。前期からなかなか勝利を掴めず、こんなにも関東リーグで勝つことは難しいのかと痛感しました。そして何よりも記憶に残っているのは、4年生の姿です。後期リーグも終盤にさしかかり、いよいよ残留が危うくなってくると4年生は頭を丸めて練習に参加していました。緊張感が部を包み込み、笑顔など一つない究極に締まった雰囲気が作り出されていました。学生スタッフを中心にそういった雰囲気を作り出し、試合に臨む準備をしていたのです。そうして背水の陣で戦い抜き、なんとか残留を決めました。
それから2年間、私たちソッカー部は他のチームよりも一丸になりひたむきにやらなければ勝てない、そういったチームなのだと考えるようになりました。「勝てないのは気持ちが足りないから」、「もっとチームが一丸にならなきゃいけない」、「仕事のミスを無くす」このような言葉が当たり前になっていました。そして今シーズン、関東リーグ優勝を目標に掲げて臨みましたが、その目標は達成出来ず、変更せざるを得ない結果になりました。仕事をミスしないようにする、チームが一丸となるようにマネジメントする、ひたむきにこうしたことを体現しようとしましたが、関東リーグ優勝は成し遂げられませんでした。
私は、この結果を受け止め考えた時にある問題に気づきました。それはそういったソッカー部の過去に頼っていたという問題です。確かにひたむきに締まった雰囲気で、ミスを無くし一丸になることは大切だと思います。ですが、だからといって試合に勝てません。逆に、これらが徹底できていない時に勝てる時もありました。つまり大切なのは、思考停止しないことだと考えます。ソッカー部は伝統があるチームだからこそ気づかないうちに思考停止に陥ってしまうと思います。「ソッカー部はこうやって乗り越えてきた」「一丸じゃないからソッカー部らしさが出ない」「粗相が出たから負けた」といった言葉を試合に勝てない時によく聞きますが、これらはソッカー部の伝統やソッカー部らしさではありません。その時々で先輩達が考えてきたチームの在り方です。その時のチームではそういったことを大切にしていたのです。しかし、今のチームにそれがぴったり当てはまることはまずありません。一人ひとりが違えば、チームは変わります。目標も変われば、マネジメントの方向性も変わります。ソッカー部の伝統は、考える力にあります。学生達が協力し合って問題を発見し、解決策を考え、それをチームに当てはめていく。その時々で異なる困難や環境に対して対応する。その積み重ねが今のソッカー部です。今回早稲田に勝てたのは、これが出来ていたからだと思います。
後輩に伝えたいことは、先輩達が築き上げてきた伝統というものを正しく解釈し、過去のマネジメントと混同させないでください。伝統は、学生が考えて行動することです。ミーティングやスタッフ決め、代替わり、スカウティング、これらに対してもその時々でやり方は変わります。自らの頭で考え、本当に問題なのは何なのかを見つけ、今のチームでどう解決するのかを考えてください。全国の競合も常に進化しています。大まかな特徴はあれど、変容しています。長い歴史の中で今に繋げてくださった先輩方の経験や意見を参考に、勇気を持って思う存分やりたいことをやってください。これが私が4年間で最も後輩に伝えたいことです。今回、早稲田に勝つことで少しだけ体現できたと思います。しかし、大学選手権に出場し優勝することでさらに後輩たちに残すものがあるのは言うまでもありません。自らの4年間と同期の為、後輩の為、応援してくださる方々の為、まずは必ず大学選手権の出場権を獲得します。応援宜しくお願いします。
PS.同期への感謝は全て終わったら伝えたいです。
《NEXT GAME》
11/5(土) 関東リーグ戦 第21節 vs筑波大学
@フクダ電子アリーナ 14:00キックオフ