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■関東社会人サッカー大会 準決勝 VS.ジョイフル本田つくばFC (0-1敗戦)

2013/11/30(土) 13:30 KICK OFF

慶應BRB

ジョイフル本田つくばFC

0 0 前半 1 1
0 後半 0
得点者 23分 ジョイフル本田つくばFC

 

 警告・退場
慶應 先発 番号 ポジション 番号 慶應 SUB
関根 宏一郎 1 GK GK 31 辻 柾次
 佐潟 隆平 32 DF DF 20 今村 匠実
三上 佳貴 3 DF DF 7 金房 拓海
冨田 賢 4 DF MF 40 大塚 尚毅
大山 元輝 5 DF MF 30 原田 亮
久保 雅史 10 MF MF 17 小坂井 深
加美 義人 37 MF FW 14 三浦 良介
古賀 久善 36 MF
太田 大輔 12 MF
森田 達見 11 FW
甲斐 悠佑 18 FW
慶應 選手交代 OUT IN OUT IN
HT 古賀 久善 大塚 尚毅
72分 森田 達見 三浦 良介
85分 加美 義人 原田 亮

戦評

今を去ること2ヶ月半。2013年11月30日。快晴のひたちなか陸上競技場は昼下がり。センターラインを挟んで陣取る2チーム22人。ただの社会人にしては締まった体つき。片やオール青。茨城代表つくばFC。理想と現実の狭間に解を見つけ、周囲が無理と笑った道を這い上がるセミプロ集団。片や黄紺黄。東京代表慶應BRB。自ら掲げた旗印は生涯文武両道。サラリーマン達はどこまで高楊枝を貫けるのか。初顔合わせに因縁はない。ただ、今日の勝利こそをぶら下げて一年間、あるいは数年間を過ごしてきたのは同じ。勝つのはどちらか。勝つにふさわしいのはどちらか。始まるのは関東社会人サッカー大会準決勝。勝てば関東リーグ昇格、負ければ今年ここまでの勝利は消え、気が遠くなるほどに思える一年前へ逆戻り。13時30分。予定通りに笛の音響く。キックオフの瞬間は既に色褪せた記念写真。ハーフタイム含めた1時間45分後、0-1ながら完敗することなど知らず、若き血をたぎらせ、自らの存在を賭け、ひたすらにボールに食らい付く様を切り取った、慶應BRB2013年の一枚。

13時45分。慶應BRBは彼我の実力差を知る。3-4-3のシステムは情報通りも、完成度までは肌を合わせるまで分からなかった。特徴は大きく開いた両ウィング。外に目を配ると中が空き、時に切れ込むダイアゴナルに対応すると外が空く。手薄になると目利きの中盤4枚がすかさず突いてくる。都リーグにここまでやってくるチームはなかった。BRB守備陣は左右に翻弄され、前半三分の一が過ぎても相手の動きに目が慣れず、最終ラインで何とか帳尻を合わすのみ。攻めても相手の運動量の前に、BRB自慢の中盤が十重二十重に囲まれる。特にサイドに出たボールは徹底的に狙われ、BRB選手のフォローより早く、つくばFC中盤二枚、コースカットではなく本気でボールを奪いに来る。都リーグにここまでやってくるチームはなかった。相手攻撃をやっとこ凌ぐ。繋いだボールは中盤でやられる。たまさかの前線配球は、待ってましたと相手DFに跳ね返される。このサイクルを15分。攻守において相手が一枚上だと全員認識。面白い。力の差は諦めの理由ではない。そういう相手にどう勝つかだけの話。チームの名前から、スマートなばかりのサッカー人生と思われてるなら、むしろ付け入る隙。慶應BRBは怯まない。試合終了後に静寂と嗚咽のロッカールームが待っていることは、まだ誰も知らない。勝負に身を置く醍醐味を力に変え、強い敵との定石通り、一歩も引かずにボールと相手に食らい付いた。

13時53分。失点。相手右サイドから逆へと大きな展開。BRB守備陣が中に寄せていた分、ボールを受けた相手左MFは余裕をもってクロス。逆サイドゴールポスト付近で待つのは、最初にサイドチェンジを行った右FW。左から右、右から左。首を二度振らされたディフェンスに正確なマークは望めない。頭で合わされネットが揺れる。0-1。いや、待て。むしろつかえが取れたのはこっちだ。このまま0-0で押し込まれ続けたら、後半残り15分で足が止まる。相手が一点取ってプレスを緩めてくれたところに乗っかって、なし崩しに残り10分ぐらいまで針を進めちまえ。必ず昇格がちらついた相手の腰は引けてくる。そしたらどさくさに紛れて泥棒のようなゴール。延長に入ったらもう強いも弱いもねえ。そんな勝負をこれまで死ぬほど見たりやったりやられたりしてきたじゃねえか。プランを実行する力は、大丈夫、ある。周りを見回して確信する。その確信の魂が抜かれ、持って行き場のないまま過去形になるまであと1時間22分。この勝負が一点先取したまま押し切るそれ、同じく死ぬほど見たりやったりやられたりしてきたパターンで決するまであと1時間22分。

14時29分。慶應BRB初シュート。ふざけているわけではない。劣勢を一歩ずつ挽回し、最初のシュートに至るのに後半29分までを要したのだ。深い所までボールを運ばれる展開は相変わらずだったが、相手が余るなら俺が二人見ればいいんだろとDF陣、ハーフタイムのサプリメントに何かを入れたとしたか思えない鬼神の働き。追加点の匂いを感じさせない。一方攻撃は型にはまらない交代2選手が活性化。後半頭からMF大塚尚毅、個人能力でゴールに至る道筋を示す。後半27分からFW三浦良介、全身を杭にして相手陣内に自分を打付ける。相手が出所を絞れなくなってきたところでMF久保雅史、飽くなき上下動で遂に右サイド突破、深くえぐってセンタリング。エース甲斐悠佑、ここしかないタイミングで右足。ボールはサイドネットの外。すり抜けた同点機。しかし手応えは掴んだ、ような気がした。ともかく試合を通して初めてBRBへの波を感じた瞬間。あと16分で虚構と終わる、その先の未来を感じさせた瞬間。

14時35分。0-1のまま残り10分。ここまでプラン通り。後はどさくさを起こす何かを召喚するのみ。センターバックの攻撃参加。セオリー無視のロングボール。一か八かのドリブル勝負。相手陣内からの猛烈なチェイス。ハンドルを回せ。今がその時だ皆でぶん回せ。パワーゲージが10000越えたら1点入る。絶対に入る。14時43分。左コーナーキック獲得。大塚が力強いフォームでボールを放つ。相手の足には昇格の重り。頭上を越す弾道を見送るばかり。待っていたのは右DF佐潟隆平、千葉県3部から移籍して最後の最後にスタメンを掴んだ男が、2013年慶應BRBの全てを凝縮させてヘディングシュート。

外れるはずのないシュートがボール一つ分だけ外れた理由は何か。磁場のゆがみでもあったのか。入射角と反射角の物理法則が今この時だけ変わったのか。あるいはもしや。もしや自分たちが知らないだけで、試合が始まる前からそう決まっていたのか。所詮そこまでのチームなことに、やってる当人達だけが気付かなかったのか。佐潟が頭を抱えて崩れ落ちる。2分後の長い笛で慶應BRBの2013年も終わる。強い相手に目論見通りの試合を進め、準備も含めて後悔するところはない。何度振り返っても、これしかやり方はなかった。ただ最後のシュートがボール一つ分だけ外れたのだ。ロッカールームに虚ろな目で座り込むのは、全てのアマチュア社会人サッカー選手だ。仕事と家庭の狭間に心身の削りしろを見つけ出し、うすうすのピロンピロンになるまで削りまくった挙げ句、負けて内蔵を持ってかれたような喪失感。君の生活は一体何だ。都4部からJFLまでのどこかに天井があるのは分かりきっているのに、ぶつかるまで突進を止めない君の理由は何だ。負けてもう一度挑むにしても、勝ってカテゴリーを上げるにしても、どのみち今年100%と思っていた真剣度が来年の必要度からは80%でしかなくなる世界に、君は何を見るのか。転勤のロシアンルーレットに射貫かれる以外、自分で引き際を決めるしかない世界で、君の削りしろはあと何年分なのか。

ちょっと黙っててくれないか。虚ろな目のアマチュア社会人サッカー選手は言う。そんなことは百も承知だから、言われなくても後で考えるから、今はここに居させてくれよと、慶應BRBの選手が言う。2013年11月30日。快晴のひたちなか陸上競技場は黄昏近し。分厚いコンクリートに包まれたロッカールームは、今シーズンと来シーズンの緩衝地帯。少しだけ彼等をそっとしてあげておいてほしい。

写真

スタメン。GK関根、DF右から佐潟、冨田、三上(主将)、大山、中盤は底に加美、古賀、右に久保、左に太田、FW甲斐、森田。

スタメン。GK関根、DF右から佐潟、冨田、三上(主将)、大山、中盤は底に加美、古賀、右に久保、左に太田、FW甲斐、森田。

この日のBRBを象徴する一枚。試合には負けたが、1歩も引かなかった。

この日の慶應BRBを象徴する一枚。全員よく走り、飛び、強い相手に1歩も引かなかった。もう一度やっても同じ戦い方をするだろう。

甲斐のシュート外れる。少ない決定機で勝利を盗む形に持ち込みたかったBRBとしては痛恨。一方でこれを含めてBRBのシュート数は2本。つくばFCは12本。攻守に差のある相手だった。

甲斐のシュート外れる。少ない決定機で勝利を盗む形に持ち込みたかったBRBとしては痛恨。一方でこれを含めてBRBのシュート数は2本。つくばFCは12本。攻守に差のある相手だった。

後半43分佐潟渾身のヘディングシュート。甲斐が囮となり、三浦が相手を押さえ、トミケンが後ろから飛び込む。できることを全てやってなお、シュートは枠をボール1つ分それた。

後半43分佐潟渾身のヘディングシュート。甲斐が囮となり、三浦が相手を押さえ、トミケンが後ろから飛び込む。できることを全てやってなお、シュートは枠をボール1つ分それた。