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ソッカー部における民主主義(石出大地)

2016.10.11

石出
こんにちは。法学部政治学科4年、石出大地です。4年となり今、こうして何をテーマに書こうかと悩めていることは、私にとって奇跡です。私はソッカー部の部員として、サッカーの試合同様に「想定外の局面」が「サッカーを続けていくこと」に対していくつもいくつも襲いかかりました。けれど同期、先輩、後輩はもちろん監督、社会人スタッフ、OBの方々と本当に沢山の方々に助け支えていただいたおかげで今日まで来ることが出来ました。そんな感謝も綴りたいのですが、部の公式HPから発信するこのブログは、「これからソッカー部でサッカーがしたい」「大学生活の4年間をサッカーに打ち込みたい」と思ってくださる方々もご覧いただいているかもしれません。そんな皆様にソッカー部への感謝に替えてお伝えしたいと思います。

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<議論の場、ミーティングスペース>

それは「慶應義塾体育会ソッカー部における民主主義」です。あっ、読むのを止めようと思った貴方!堅いテーマですが、少しの間お付き合いください!
私は、我がソッカー部の一番の特徴は「ミーティング」にあると考えます。練習はカテゴリー別に各時間帯で行われます。個として「1つでも上のカテゴリーへ昇格」「関東のピッチで活躍」「プロ選手の舞台へ」という各自の目標達成の為に本気で日々練習に取り組んでいます。一方で、チームとして、組織として、「日本一になる為にするべきこと」をカテゴリーには関係なく全部員で考え抜きます。その大半が同期全員で重ねる「ミーティング」です。費やした時間は、おそらく4年間合計の練習時間に匹敵するかもしれません。ここでは、ソッカー部にある学年ごとの役割、学年ごとの目標、主将や副将、主務、グラマネ(学生コーチ)、学連幹事、 トレーナーの選出、そして学年に発生した問題などを話し合います。先に述べたように、通常はカテゴリー別、しかも日吉、三田、湘南藤沢各キャンパスに所属する同期全員が揃ってミ―ティングを持つことは想像以上に難しいことです。また何週間も、何カ月も掛けて議論する議題もあります。1つの「解」に辿り着くまで、壮絶な状況になることもあります。ソッカー部の代表となる運営スタッフになる役に就く人選がまさにそれです。ただ「ふさわしい人間」を選ぶという作業ではありません。自他分析を深く行い、言葉にして、それぞれの理想や想いをぶつけ合います。そして時には、「他者の至らなさ」を指摘し合います。やるせなく、悲しく、苦しい想いも伴います。過去の先輩方から聞いていた「自分の存在価値の模索」「人生で一番密度の濃い時間」「終わりのなきトンネル」という表現のどれもが当てはまる経験を私もしました。また試合に出たいと特に焦っていた時期は、「この時間を自主練に充てられたら」、大学のレポート提出前には、「この時間にもっと多くの文献が読めたのに」と恨めしく感じてしまうことさえありました。そして「なぜこんなにも時間が掛かるのだろう」「ここまで時間を掛ける必要があるのだろうか」と疑問を覚えました。しかし、大学のある講義で「民主主義は素晴らしい制度。しかしそれは、沢山の時間が必要とされ真の実現には根気の要るものでもある。」とおっしゃった教授の言葉で気づかされました。例えば、監督が「主将」を指名する、先輩が「主務」を決める、或いは、多くの推薦を得た者が「グラマネ」に決まるという伝統であれば、どうでしょう。時間は掛かりません。また決定事項に何か考えを持つ者があったとしても異論することは出来ないでしょう。けれど我々の伝統は、ミーティングの日程から始まりどのように役を決めていくかに至るまでその全てを「話し合い」 で進めていきます。議題によって、それぞれがマジョリティにもマイノリティにもなります。しかし、どんな時でもマイノリティが排除されることはありません。同時にトップチームの実力を持つものがマジョリティに君臨することもありません。つまり我々のソッカー部では物事の決定において民主主義理念に則りその実現がなされています。だからこそ時間が掛かるのです。

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<かけがえのない同期たち>

慶應義塾の祖である福澤諭吉先生は、『西洋事情』で英国議会を見学し、議会で対立する主張により大論争をしていた者たちが、議会が終わると一緒のテーブルで酒を酌み交わす仲間となっていた光景に、異なる人間を尊重する精神を学んだと言っています。そして慶應義塾においてもそのような場であることを求めましたが、まさに我がソッカー部にその精神が宿っています。「ミーティング」で口調は熱く激しくなろうとも、それは「ソッカー部を日本一の組織にする為」に依るものです。議論で闘うことはあっても本当にお互いを尊重し合います。この互いの主張を容赦無くぶつけ合う経験は、大学生活の中でもそう出来るものではありません。我々の重ねてきた時間は、自分に向き合い多様な価値と出会い考え、他者を受け入れるという経験の繰り返しであり、結果、人として成長出来たのではないかと考えます。

もちろん、ソッカー部はサッカーに打ち込める素晴らしい環境が整い最高水準の技術習得や向上が出来ることは言うまでもありません。ただ、部活を続けていく過程で時には「サッカーだけに専念したいのに」という気持ちに支配される時期が来るかも知れません。けれど、慶應義塾でサッカーをする意義をその時にこそ得られるのだと考えます。私は、時間ばかりが掛かりもどかしかったこれまでの時間こそが寛容と協力、譲歩という民主主義社会に生きる価値を会得し、同時に塾生として目指す「独立自尊」に近づける時間であったと確信し誇らしく思います。その他、ソッカー部にはまだまだ脈々と続く素晴らしい伝統がありますが、それは是非入部して感じ取ってください!

4年間重ねてきた膨大な時間はすべて「ソッカー部を日本一のチームにする」為のものでした。今、まさにトップチームが全ての部員の想いを背負いピッチで戦っています。目標に向かい我々の最後まで戦い切る姿をどうか観に来ていただけると幸いです。そして1人でも多くの皆様が、このソッカー部の門を叩き伝統を引き継ぎながら新たな価値創造をしてくださることを願っています。最後までお読みいただきありがとうございました。
―ソッカー部に関わってくださった全ての方に心からの感謝を込めて―

《NEXT GAME》
10/15(土) 関東リーグ戦 第18節 vs明治大学
@江戸川区陸上競技場 14:00キックオフ

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